35 / 260
1章 一学期。
31.怖くない
しおりを挟む
(澪side)
汗が止まらない。
「……じゃあ、行くよ、澪。」
本当なら今すぐ消えてしまいたい。
「う、うん……」
でも……
「大丈夫?怖くない?」
覚悟を決めないと。
「怖く、ないよ………」
もう、逃げられない。
「じゃあ行こっか……肝試しへ!!」
「ほんとにいくの…!?」
めちゃくちゃ帰りたいです……っ
「大丈夫、生きて帰れる大丈夫大丈夫大丈夫………「澪?」ひぅっ…!!」
もうやだ……帰りたい。
怖い………
まさか、コースがこんなに怖いとは……
お墓、森の中、神社。それぞれの場所のどこかにスタンプのハンコがあって、それを今手に持っているスタンプカードに全て押して無事この場所に戻ってこれたら合格、というわけ。
でも、でもでも……
(怖すぎるよ………)
こんなの、聞いてない……
ーー
とりあえず歩いてみたけど、怖い……
人がいなくなって尚更怖さが増した。
少し前を歩く優馬を小走りで必死に追いかけた。
「…ゆ、優馬、離れて迷子になったら大変だし、あんまり早く行かないで。」
ぎゅっ、と優馬の服の袖を掴んだ。
「っ……!分かった、じゃあ手、つなご。」
恥ずかしいけど………それより今は怖いから、
「う、ん。」
……人と手を繋ぐ事なんて、二度とないと思ってたけど、
(悪いものでは無い、かな……)
自分よりも少し大きい優馬の手が、優しくて暖かくて、少しだけ落ち着いた。
「……っ」
いきなり冷たい風が吹いた。
「風かー……まだ少し寒いし、パーカーだけじゃ寒いなー……」
そう言いながら照れくさそうに笑う優馬。
まあ、僕はシャツの上にカーディガン着てるから、そこまででもないけど………
「………あ、あっためてあげよっか?」
「え?どうやって?」
「それは……」
そう言うと、僕は優馬をぎゅっと抱きしめた。
「えっ…」
優馬の方が身長が高いから、自然となる上目遣いは仕方ない。
「……少しはあったかい?」
「あったかすぎて、召されそう………」
「召されないで」
ーーー
それからしばらく歩いて、周りはもう何も見えないくらいに暗くなっていた。
本格的に怖くなってきたかも……
「………どう、しよ。」
「え?」
優馬?
なんか、様子が………
「………やっぱり、暗いのは……」
急に風が吹いて、その呟きは聞こえなかった。
「………」
?
風がやんでもまだ、優馬は下を向いていた。
「……何でもない。
こんな暗いところに2人きりだと、理性がたもてないなーって!」
……あ、いつもの変態な優馬。
なんか、元気なさそうに見えたけど、気の所為だったかな。
「……ところで、これは期待してもいいってこと?」
?
ふと下を見ていると、何故か自分の手の指が、優馬の着ていたパーカーの裾をつまんでいた。
「何?怖いの~?」
すごく嬉しそうにニヤニヤしている優馬。
……………
………
……ッ!!?
「な、なんで……!?違う!!怖くて気が付けば掴んでたとか……そんなんじゃない!!!」
「全部言ってるよー」
……っ!!
「もー……顔真っ赤にしちゃって~、可愛いなぁ、澪は。」
「頭撫でんな……ッ!!」
ムカつく……!!
なんか、ほっとした。
いつもの雰囲気だ。
「あ、てか何してもいいってことだよな?」
…………え?
ーーー
……何してんだろ、ほんと。
こんな夜道で、高校生の男2人で……手を繋ぎながら歩くなんて。
一体、何してんだろ………
隣で優馬は嬉しそうにしていた。
『じゃ、手、繋ごっか!』
……最悪だ。
こんな奴と、手繋ぐなんて………
でも。
(不思議と、怖くはない。)
それが、隣にこいつがいるからなのか、
手を繋いでいたからか、
そんなの、知らないけど。
汗が止まらない。
「……じゃあ、行くよ、澪。」
本当なら今すぐ消えてしまいたい。
「う、うん……」
でも……
「大丈夫?怖くない?」
覚悟を決めないと。
「怖く、ないよ………」
もう、逃げられない。
「じゃあ行こっか……肝試しへ!!」
「ほんとにいくの…!?」
めちゃくちゃ帰りたいです……っ
「大丈夫、生きて帰れる大丈夫大丈夫大丈夫………「澪?」ひぅっ…!!」
もうやだ……帰りたい。
怖い………
まさか、コースがこんなに怖いとは……
お墓、森の中、神社。それぞれの場所のどこかにスタンプのハンコがあって、それを今手に持っているスタンプカードに全て押して無事この場所に戻ってこれたら合格、というわけ。
でも、でもでも……
(怖すぎるよ………)
こんなの、聞いてない……
ーー
とりあえず歩いてみたけど、怖い……
人がいなくなって尚更怖さが増した。
少し前を歩く優馬を小走りで必死に追いかけた。
「…ゆ、優馬、離れて迷子になったら大変だし、あんまり早く行かないで。」
ぎゅっ、と優馬の服の袖を掴んだ。
「っ……!分かった、じゃあ手、つなご。」
恥ずかしいけど………それより今は怖いから、
「う、ん。」
……人と手を繋ぐ事なんて、二度とないと思ってたけど、
(悪いものでは無い、かな……)
自分よりも少し大きい優馬の手が、優しくて暖かくて、少しだけ落ち着いた。
「……っ」
いきなり冷たい風が吹いた。
「風かー……まだ少し寒いし、パーカーだけじゃ寒いなー……」
そう言いながら照れくさそうに笑う優馬。
まあ、僕はシャツの上にカーディガン着てるから、そこまででもないけど………
「………あ、あっためてあげよっか?」
「え?どうやって?」
「それは……」
そう言うと、僕は優馬をぎゅっと抱きしめた。
「えっ…」
優馬の方が身長が高いから、自然となる上目遣いは仕方ない。
「……少しはあったかい?」
「あったかすぎて、召されそう………」
「召されないで」
ーーー
それからしばらく歩いて、周りはもう何も見えないくらいに暗くなっていた。
本格的に怖くなってきたかも……
「………どう、しよ。」
「え?」
優馬?
なんか、様子が………
「………やっぱり、暗いのは……」
急に風が吹いて、その呟きは聞こえなかった。
「………」
?
風がやんでもまだ、優馬は下を向いていた。
「……何でもない。
こんな暗いところに2人きりだと、理性がたもてないなーって!」
……あ、いつもの変態な優馬。
なんか、元気なさそうに見えたけど、気の所為だったかな。
「……ところで、これは期待してもいいってこと?」
?
ふと下を見ていると、何故か自分の手の指が、優馬の着ていたパーカーの裾をつまんでいた。
「何?怖いの~?」
すごく嬉しそうにニヤニヤしている優馬。
……………
………
……ッ!!?
「な、なんで……!?違う!!怖くて気が付けば掴んでたとか……そんなんじゃない!!!」
「全部言ってるよー」
……っ!!
「もー……顔真っ赤にしちゃって~、可愛いなぁ、澪は。」
「頭撫でんな……ッ!!」
ムカつく……!!
なんか、ほっとした。
いつもの雰囲気だ。
「あ、てか何してもいいってことだよな?」
…………え?
ーーー
……何してんだろ、ほんと。
こんな夜道で、高校生の男2人で……手を繋ぎながら歩くなんて。
一体、何してんだろ………
隣で優馬は嬉しそうにしていた。
『じゃ、手、繋ごっか!』
……最悪だ。
こんな奴と、手繋ぐなんて………
でも。
(不思議と、怖くはない。)
それが、隣にこいつがいるからなのか、
手を繋いでいたからか、
そんなの、知らないけど。
0
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。
かーにゅ
BL
「君は死にました」
「…はい?」
「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」
「…てんぷれ」
「てことで転生させます」
「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」
BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。
傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく
藍沢真啓/庚あき
BL
婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。
目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり……
巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。
【感想のお返事について】
感想をくださりありがとうございます。
執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。
大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる