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1章 一学期。
30.1年前とくらべて
しおりを挟む広場で時間を待っている時、未来斗が言った。
「まだ時間早いし、なんか面白いことしよ!」
「面白い、事?」
「そう!1年前の自分と今の自分を比べて、一番変わってた人がジュース奢り!」
「へぇ、楽しそう。」
1年前の自分……?
まぁ……俺はそんなに変わってないよな。
「莉音は、大丈夫?」
「うん!皆の1年前知りたい!」
良かった。
莉音とは今年仲良くなったし、疎外感を感じないか心配だったけど。
「じゃあ、まずは海斗!」
「俺…!?えっと…俺は、最初、どんな感じだった?」
「かっこつけたヘタレ!」
「糞チートだろ」
「低身長」
「生意気…とか?」
みんな酷い言い様。
「未来斗にそう思われてるとは思わなかった…あと優馬、お前の方が糞だから…!!てか俺、澪よりは身長高いし……郁人はあれは不可抗力だから…!!」
「あはは……ボクはかっこいいなぁって思ったよ?」
「莉音、神………」
「不可抗力なんて言うけどさー、お前が邪魔しなければ僕はあのまま澪とイチャイチャ出来たんだよ?」
1年前、郁人が転校してきた時の事だと思う。
ヤンデレが暴走した郁人が澪を部屋に閉じこめて養うっていうなんとも言えない日だった。
そこに海斗と未来斗が割り込んできて、海斗が………みたいな。
俺はそこにいなかったからあまり分からない。
「だって友達を拘束する奴なんて信用出来ないだろ?」
「僕は拘束器具を澪に付けるのが好きなの、邪魔しないで。」
「え、いややめて……」
「話を戻して、今の海斗って、なんか……丸く、なった?!」
「丸く……?そうか?」
言われてみれば、丸くなった気がする。
「確かに。あとなんか、可愛さが増した?」
「増してないだろ」「増した」「増してない…!!」
未来斗
「そういえば転校してきた時は俺と同じくらいの身長だったのに、大分差ついたな…」
「えっ…、そ、そんな訳……ッ」
「いや、誰が見ても海斗より未来斗の方が高いよ。」
「なっ……」
澪
「最初はナルシスト感があったけど、今はないよね………」
「そう?俺、かっこよくない?」
「ごめん、まだ要素あったわ。」
莉音
「ボクが海斗を知ったのは今日が初めてだけど……未来斗の前でよく雌になるイメージだなー。」
「そうなの!?」
「そ、それは気の所為だから!!」
まあ、海斗は未来斗に会ってから丸くなった、でいいのかな……。
ーーー
「じゃあ次、郁人!」
「桜木…!?はい!ボク1年前の桜木の事聞きたいです!」
莉音は郁人大好きなのかな?
「僕はそんなに変わってないと思うけど……」
「いや、結構変わったんじゃないか!?」
未来斗って分かりやすいよな。
語尾に必ず「!?」がつくから。
未来斗が無邪気にニコッと笑った。
「…だって最近は、澪を無理矢理家に連れ込んだり家に押しかけたりしてないもんな!」
「「「「「……ッ!!」」」」」
そうだった……
未来斗は知らないのか、つい最近またそれがあったこと。
(そういえば、何気ハブられてたしな………)
その純粋な笑顔を見ると、本当の事を伝える勇気なんて、出なかったよ。
「あ、はは……あ、優馬は何かある?」
海斗に珍しく名指しされた……。
「んー…目障りな所は変わらないけど、最近拘束器具を見ても反応しなくなった、よな?」
実は最近……郁人の前で鎖やら手錠やら枷の話をしても、全然反応してくれない。
実物がないと駄目なのかと思って、授業中珍しく居眠りしてる澪の手首を軽くガムテープで縛ったりもしてみたけど、それを見ても何も言わなかった。
ちなみにその後澪にバレてめちゃくちゃ殴られた。
「んー……まぁ性的興奮はするけど、堪えてるだけだよ?」
郁人の口からそんな言葉が出るとは思わなかった。
一応皆をまとめるゆるふわお兄ちゃんポジなんだから、弟達を汚すのはやめなさいって………
「まぁ、堪えなくてもいいんだったらいいけど……僕、性的興奮を感じるとヤンデレが出ちゃうからさ………」
なんて呆れてため息をつく郁人に、少し恐怖を感じた、ついでにちょっと引いた。
「桜木は、縛られると性的興奮する……っと。」
こっちの女装男子さんは何をメモってるの…!!?
「莉音、違う違う、僕が性的興奮するのはされるのじゃなくてされてるのを見る所、腐男子っぽいでしょ。」
丁寧に修正までしてるし………
ーーー
「………次、澪。」
「僕?えっと……変わってる、かな。」
澪は大分変わった気がする。
だって最初の方なんて……特に一学期、始まった頃なんかは、もうひどかった。
「澪ー!今日も可愛いね、結婚しない?」
「結構です、やめてください。」
「澪、いつでも婚姻届出せるからね!」
「……」ビリビリ
「澪~!チョココロネ買ってきたよ!」
「…ふーん、ありがと。たまには気が利くんですね。」
………あれ、なんか俺、パシリみたいになってない?最後。
まぁ、気のせいか。
二学期からはタメになってくれたけど、一学期中はほとんど敬語だったな。
ちなみに二学期が始まってすぐ、澪はチョココロネを捨ててメロンパンを選びました。
でも今は、薬物依存症な事とか夜寝れない事とか、中学時代の暴力事件の事とか、俺に話してくれて、少しずつだけど信頼してもらっている感じがする。
諦めないで話しかけてて良かったな……。
「言葉遣いも柔らかくなったし、笑顔も増えたし、なんだか絡みやすくなったよ。」
「優馬……」
まぁ、身長は伸びないけどねっ」
あ、
途中から声に出てた。
「……………この悪馬!!!」
泣きそう。
ーーー
「次は優馬。」
「う、うん……」
澪がピリピリしながらジト目でこちらを見た。
「えっと、俺は何かある?」
「……正直、1番キャラ変したのって優馬じゃないか?」
「え、そう?」
そんなつもり全くなかった。
「だって、お前元は屑な俺様みたいな奴だったじゃん。」
「俺、そんなふうに思われてたの!?」
確かに口調は変わった気がするけど…!!
「まあ皆もそうだけど、丸くなったよな!」
「確かに。うざいけど。」
「初めは独占欲強い屑男って思ってたけど、最近はゲスワンコって感じだよね。」
「郁人、それどういうこと?」
「……まぁ、俺が転校してきた日にお前を見て一番最初に思ったのは、変な奴、だったけど。」
海斗までひどかった。
「……まあでも、なんだかんだいいとこあるよね、優馬は。」
……!
澪にそんなこと言ってもらえるなんて………
「ほら、こき使えるとことか。」
あ、つまりパシリってことかな………
ーーー
「最後は俺!俺はなんか変わってる?!」
「「「「………いや、特には。」」」」
「皆で声が揃った!!イケメンになったじゃん!」
「そんな変わんないよ、てか未来斗は可愛いの部類。」
「なんでだよぉぉぉ……ッ」
まあ確かに未来斗は何も変わってない気がする。
口調も変わらず馬鹿みたいだし、少し身長が伸びたくらいで顔もあまり変わらない。
たった1年だから変わらないのも分かるけど、ここまで変わらない奴って初めて見た。
ーーー
「………結局、誰が一番変わったと思う?」
それが難しい。
未来斗は除外するとして、皆結構変わったから。
「莉音は、話を聞いてて誰だと思う?」
莉音は少し考えて、
「……んー、素直に言うなら優馬かな………」
「なッ……!?俺は変わってない!!」
「け、結構変わったと思うよ……?」
莉音が圧を押されて少し泣きそうになっている。
「やめろ、諦めてジュース買いに行ってきて。」
「いやだぁぁぁ!!!」
「買いに行け!!!」
子供かよってくらいに行きたくないと駄々をこねた。
流石に澪に怒られた。
ーーー
喋り方の特徴。
澪、大人しめの喋り方、たまに毒が入る。
「……いやうざいし、何なの。」
優馬、~だろ、とか少しかっこつけてる。
「澪だってそう思うだろ?」
未来斗、「!?」がつくか、馬鹿みたいな喋り方。
「そうなの!?俺てっきりペンギンは魚かと……」
海斗、少し疑問形な話し方、ツンデレ。
「べ、別にそんなの知らないけど……?」
常に無表情、もしくは赤面で話してる。
郁人、穏やかだけどヤンデレの時は一人称が「俺」になる。
通常「ん?どうしたの?僕に用?」
ヤンデレ「ん?何、どうしたの…?俺に用でもあるの?」
莉音、郁人の前ではキャピキャピしてる、人前では人に合わせて声を抑えてる。
「ふふ、桜木ったらかーわいいっ、…あ、優馬……あ、えっと…おはよ……」
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