ゆうみお

あまみや。旧

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1章 一学期。

16.父親

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(澪side)

「にゃーん、にゃん、にゃん……にゃう。」

暇だから郁人と散歩中。

「あ、猫だ……!よく鳴くねー、可愛い。」
しゃがみこんで猫と遊んでいると、郁人が直ぐに気付いた。 

「ううん、今のは僕が鳴いた。」
「……そっか。今録音アプリ取れたから、もう1回出来る?」



「……にゃー。」


「うんばっちり。」


「鼻血、早く止めてね……?」




「猫って可愛いよね、僕、猫飼いたいな~」
「じゃあ僕が毎日鳴き真似でもしてあげようか?」
勿論、冗談。

「お願いします。」
「まじで……?」




「……あ、犬だ。」
「えっ」

見ると、そこには少し大きな人懐っこそうな犬が、リードで棒に括られていた。

「誰かを待ってるのかな?可愛い……」
「へっへっへっへっ」

わー可愛い


「……お手!」
「わぅっ」
「わたあめ!」
「くぅーん………」

流石に出来ないか。




「郁人、可愛いよ、撫でたら?」
振り返った、その時。





「ぼ、僕はいいかな………」




え?



「可愛いよ?」
「だ、大丈夫!大丈夫だから!!」

足が一歩一歩、下がってく。


……もしかして。



「犬、嫌い?」


「に、苦手かな………てか、澪は知ってるでしょ!?小1の時、それくらいの大きさの犬に襲われたんだよ!!」


あー……そういえばあったようななかったような。


「可愛い、のに………んぁ」

「っ…!」


頬を舐められた。
くすぐったい……。

「き、気安く澪に触らないでよ!!犬のくせにーーっ!」
「いや、この子に罪はないでしょ………」




「ただいま、ハル。……ってあ、桜木!」
「………え?」



「…あ、莉音……」


郁人がハッとして、リオンを見る。
女装男子の人だった。


「さっきぶりだね!何してるの?」
「さ、散歩……ねぇ、この犬、莉音の?」
「うんっ!触る?」
「だ、大丈夫………」



「えへへ…てか君、名前なんてゆーの?」
「双葉、澪だよ。」
「ミオ!?女の子…!?」

やっぱり、皆そう思うよね。


「男だよ、見た目でわかんない?」
「わかんないっ!」
可愛い笑顔で返された。


「この子、ハルって言うの?可愛い……」
後ろでめちゃくちゃ泣きそうな顔してる郁人はほっといて、犬を撫でながら莉音を見た。
「うんっ!可愛いよねー、お父さんの名前からとったんだ。」
お父さん……?


「あっ…お父さんって、海外旅行に行ってるんだっけ……?」
「うん、桜木には前に話したね!お父さん、雅治(まさはる)って名前なんだぁ!」
割と渋い。

「……まぁ、海外旅行なんて嘘だけど。」


……?

なにか聞こえた気がしたけど、気の所為かな。









(海斗side)

「ただいまー……」

「海斗、少し話がある。」


「………何?」


父さんから話か。

嫌な予感がする。






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