ゆうみお

あまみや。旧

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1章 一学期。

9.恋文

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(未来斗side)
「……ん?」
帰ろうと下駄箱に手を伸ばすと、靴の上に手紙が入っていることに気が付いた。
「なんだろ、これ。」
「え、未来斗それ……!」
「あはは、海斗が思ってるようなもんじゃないってー!………」






「……あ、恋文だわこれ。」
「まじか………」




「ええっ、未来斗が恋文だと!?」
「高校入って初めてじゃない……?」
「わぁー、すごいすごーい、誰から?」

「え、えっと……も、モブ男って書いてある。」
「モブか……まぁ、行ってみるのもいいんじゃないか?体目当てのゲイだったら手っ取り早く断れば……」
「ゆ、優馬……!?そんな簡単に言うなよっ!!」
「あ、あぁ、ごめん……?」
こいつ、R要素のない平和な日常もので何を……!!

「ねぇ郁人、体目当てって何?」
「澪は……知らなくていいことだよ?」



……でも、本当に変な人とかだったら、もしかしたら誘拐とかもあるかも、だし。

「どうしよう……なぁ海斗、俺、行った方いいかな………」
今まで少し嫉妬?で怒り気味だった海斗が言った。
「行った方がいいと思う。何かあったら俺が倒すから。」
冷たくて冷淡な口調。
でもどこか、嬉しくなって。
「わかった!まぁ、俺だって弱くないしな!」

「俺も強いと思う!」
「優馬は見た目からして期待できるぞ!」
「僕、この前不審者倒したよー!」
「あぁ、この前実家に行った時のやつか。」
「……僕は、何かあったら先生呼べるよ。」
「あはは、……郁人、澪つれてどこか遠いところで待ってて。」




ってわけで。


『貴方のことが好きです。
放課後校舎裏に来てください。
                        モブ男 』


(なんか、ベタだな………)
まぁ、海斗以外の男とのBL展開なんて望んでないけど。



「……あ、来てくれたんだ。鳳君。」
とりあえず海斗と優馬には相手から見えない場所に隠れておくように言って、俺だけそいつの前に現れた。


「話って、何?」


世の同性愛者には、危険な人が沢山いる。
同性愛者の全員が危険とはいわないけど、中には「やっぱり女の子の方がいいんだ」と言われて刺されることだって有りうる(BL漫画の見すぎ)

まぁ、同性愛者じゃなくても有り得るんだろうけど。


「えっとね~……俺、鳳君の事が前から好きだったみたいでぇ………」

(ち、近寄るなよ、臭い……!)

相手はまるで何日も風呂に入っていないんじゃないかというくらい油っぽくて、変な臭いがした。
そしてその臭いが、俺から数センチの程先にあったのだ。

「す、すいません……俺、好きな人が「はァ?誰??」ひぇ………」

流石の俺でも引いた。
(汚い……!気持ち悪い、匂いを嗅ぐなっ……!!)


もうやだこの変態……!!


(でも、こんなやつ絶対殴ったりしたら後が怖いし………)



それでも耐えられなくて、殴りかかろうとしたその時。

「あー、宝条海斗?」
「えっ……」


「知ってるよォ……?君、よく『アレ』と一緒にいるもんね?俺には全部お見通しだからね……?」
「ッ……!!」




どうしよう………






ーーおまけーー
「わぁー、猫だー」
「猫だね、可愛いね。」
正門の前で澪の保護者なう。
「わぁー、熊だー」
「熊だね、かっこいいね。でもあれ、生きてるよね……?」

「……郁人もかっこいいよ?」


……んー、そんな天使みたいな顔で見られても。
てか、後ろに熊いる、熊さんが誰かの畑荒らしてる。

(……まぁ、澪が可愛ければなんでもいいや。)


さりげなく現れた熊さんはその後捕獲されました。

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