ゆうみお

あまみや。旧

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1章 一学期。

7.猫

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次の日。

「なぁ澪、俺の昼ご飯盗み食いしたの、誰だと思う?」
「ふぇ……?」


やばい。




朝来たら、机の上に僕の大好物、メロンパンが置いてあった。
しかも新発売の結構気になってたやつ……

神様からの贈り物かと思って、お腹が空いていた僕は遠慮なく食べてしまった。


(まさか、優馬のだったとは………)

なんか、デジャブ……


「なぁ、先生に急に呼ばれて急いでたから近くにあった澪の机に置いといてたんだけど、帰ってきたら中身が家出しちゃったんだよね?澪、どこに行ったか分かる?」


絶対、知ってて言ってるよね。


(圧が、怖い………)


どんどん壁際まで追い詰められて、次第には大体の女子が大好きな「壁ドン」をされた。


「っ…!」
「俺、今ちょっと怒ってるんだけど……?」



「ひ、ううぅうぅ………」

あまりにも身長差がありすぎて怖くなり、うさぎのように怯えた。


「なぁ?」



そんなこと気にもせずに、奴は攻めてくる。


「なんでそんなに怯えてるのかなー?もしかして、食べたとかじゃないよな……?」


肩がビクッと震えた。

(ど、どう…しよ………)



素直に言えば、許してくれるかな?


そんな甘い考えが、頭に浮かんだ。


(とりあえず、正直に言って謝らなきゃ!)




壁ドンされて見下ろされている状態で、優馬を見上げた。


「……つ、つくえのうえにあったから、たべた。」
「へぇー……犯人は澪なんだぁ?」


怒ってらっしゃる……!!


「ご、ごめん……!ほんとに、悪気はなくて………!」
「他には?他に言うことない?」


何気に今までで1番怖い……!!


(機嫌をとらなきゃ、機嫌を……!)



「はっ……!」



あることを思い出した。



それは、去年のこと。
去年の文化祭と冬休みのことだった。


あの日、いろいろあって猫耳をつけて鳴き真似をしろ、的なことがあったんだ。

そしてそれを見た途端、優馬がすごく嬉しそうにしていた。


(猫耳はないけど……今はこれくらいしかできない……!)



意を決した。


「ゆ、優馬!」
「ん?」









「に、、にゃー…。」







あの時と同じように、上目遣いも素振りも完璧。
でも、どうして上目遣いやこの素振りをしなくちゃいけないのか、よくわからない。



「ぐはッッッ!!!」
「ぅわっ!」



案の定、優馬は鼻血を出して死んだ。





「何してんの……?」
そこに、タイミングよく郁人が登校してくる。
「あ、郁人……埋めるの手伝って?」
「うん、僕は構わないけど……何があったの?これ。」

まぁ、何も知らなければ動揺する。
床に血を吐いて倒れる男がいるから。
さっきまで壁ドンにも気付かないくらい話に夢中だった周りも、ざわつき始めた。



(結局、何が1番平和だったんだろう………)




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