1話30秒で読める140字小説集

醍醐兎乙

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脇見運転/城門を見張る門番/僕にしか届かない/宝の持ち腐れ/消音と消灯

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#36『脇見運転』

女には人が手に持つ電話を無意識に見る悪癖があった
人が使う実物の電話に
女の視線は吸い込まれ見てしまう

女が自分で携帯電話を使うと
ほどなくして動きが止まり携帯電話を無心で見ている

ある日
女が青信号を渡っていると
右折してくる車の運転手が携帯電話を操作していた

女は無意識に見つめて
歩みを止めた



#37『城門を見張る門番』

城門に配置された門番の男は
同じ場所に配置してあるサボりの常習犯に話しかけた

「お前が仕事をサボらなければ、俺達は助かるんだが」

「文句があるなら、僕をサボれるように創った生みの親に言ってよ」

古代の魔法使いに創られた
生きた城門は
扉を閉め続けるのに疲れると
すぐさま扉を開放してサボり始める



#38『僕にしか届かない』

彼は自称世界一賢い机らしい
持ち主の女性が、僕に座り
彼で勉強を始めると、途端に騒がしくなる

「そこの選択肢は、それじゃないよ」
「その翻訳は誤訳だよ」
「使う公式が違うから答えが出ないんだよ」

彼は優越感を隠さず、女性に間違いを指摘する

自称世界一賢い机の言葉が
人間の彼女に届く事は絶対にない



#39『宝の持ち腐れ』

女は、恋人と親友のために、怪しい懸賞で「空気椅子10分お試し券」を3枚手に入れた

頑丈で軽く、背もたれや肘置きも座る人の体に自動で合わせてくれる、そんな空気椅子を10分間だけ使えるお試し券


女は早速恋人の家に向かう

お試し券を使い
女は片手で振り下ろした

お試し権は残り2枚

「一枚余るわね」



#40『消音と消灯』

虫の鳴き声が響く夏の夜
男は、自室で見覚えのないリモコンを見つけた
本体の色は白く、赤いボタンと青いボタンがついている

男は自室の何かが反応するかもと思い
赤いボタンを押した

静寂、物音1つ男の耳には入らない

部屋を見回し、男は続いて青いボタンを押す

男の耳に虫の鳴き声が再び届き

男は光を失った


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