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約束
誘拐
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チイに食事を誘っても断られ、なら「休日に町を案内して欲しい」と頼むと、案内してくれることになった。
チイを迎えに行き、市場で昼食に焼きたてパンと惣菜を買い、市場の側にある公園のテーブルで食べ、町中の日用品や雑貨等が並ぶ商店街へやって来た。
ふらりと歩きなから店を見ていると、チイがアクセサリーの雑貨屋の、店頭に並べてあるブレスレットを手に取り眺めていた。
円くて、指の太さぐらいの綺麗な金茶色のブレスレットを光りにかざし、見上げていた。
「これ、気に入ったのか?」
ヒイロが声を掛けると、チイはハッとして振り向いた。
「綺麗だな…って思っただけ…」
チイがブレスレットをテーブルに戻したので、それをヒョイと持ち上げ、店の中に入っていった。
こういう物が好きなんだな…。
店内でお金を払い、ふと思い出す。
最近、擬態した獣人の失踪が相次いでいる。
見た目が可愛らしい、愛くるしい感じの真面目な獣人ばかりだ。
調べていくと、どうも誘拐され、物好きな金持ちに売られているらしい。
ハッキリとした証拠は、まだ無い。
行方不明者の足取りを追うと、共通して最近新しく出来た『ビースト』と言う店へ行っている事が判明、何らかの関係があるみたいだ。
「…。」
ヒイロは魔法を掛けた。
『転送移動』何か有ったとき助けに行けるように。
『防御』危害を加えられそうになったら守られるように。
小さいブレスレットだから掛けれるのはそれくらい…。
過保護だとレギの事、笑えないな…。
魔法を掛け終わるとチイのもとに戻り、ブレスレットを左手首に嵌めた。
「プレゼント」
「えっ!そんなの悪いです!」
チイは驚いていた。
…いろんな表情を見せて欲しい。
「俺がチイに付けたいだけ。気に入らなかった?」
「でも!」
戸惑うチイの左手を取り、付けたブレスレットに口付けた。
「お守りだよ。だから、外に出るときは外さないで」
チイの顔が赤くなって可愛らしい。
いつまでも、こうして、いろんなチイを見ていたい。
「ヒイロさん。ここ、往来ですから程ほどに…」
ホムラにそう言われてハッとする。
行き交う人がチラチラと、見ている!
そうだった…。
チイに浮かれていて、周りが見えなくなっている。
落ち着け、今の仕事を終えてからだ!
ヒイロは当初の目的を思い出して、身を引き締めた。
翌日、リマ商会へ行って、受付のチイおの腕にブレスレットが付けられているのを確認して、微笑んでレギの仕事部屋へ向かった。
ヤバい…顔がにやける…。
たが、レギには『転送移動』『防御』を掛けた事を話しておこう。
そうすれば、外せとは言わないだろう…。
しかし、調査は進まなかった。
連れ拐われた後の行方が分からないのだ。
中級者クラスの魔力を持つ者が関与して、気付かれ無いよう『移動』魔法を使っているのだろう。
居場所さえ分かれば人族と連携して、救出する手筈は進んでいる。
そう、人族でも被害が出ているのだ。
人族の警察には信用仕切れていない部分も有るらしいが、現実、共闘した方が情報が入ると言うことか分かり、取り敢えずは秘密裏に情報を交換している。
どこへ連れ去られた!
夕方、いつものようにレギの仕事部屋中には、レギと、ヒイロ、ホムラの三人が書類を拡げ話をしていた。
そこへ、チイと中の良いメイが飛び込んできた。
確か、今日、一緒に食事に行くと行っていたが…。
「メイ。どうした?」
メイは息を切らして、真っ青な顔をしている。
「…チイが…居なくなったの…」
三人の手が止まる。
…いなくなった?
「食事して…店を出て…そこまで一緒だったの!…振り向いたら…姿が…無くって…」
三人は真っ青な顔をして、ヒイロがソファーから立ち上がる。
ものすごい勢いでメイに近付き肩を掴んだ。
「どこだ!どこで消えた!」
「…最近新しく出来た『ビースト』と言う、お店の近く…」
レギと、ホムラの方を振り向く。
最悪の事態だ!
「レギ!」
レギがため息をつく。
「一番嫌なパターンになったな…。チイが呼べば、『転送移動』される」
「分かってる!」
ヒイロは恐ろしいほどの剣幕で怒鳴る。
チイ!意識を失っているのか!俺を呼べ!
「奴らの巣窟を一網打尽にする手筈は整っている。ただ…」
レギは冷静に話しながらも、冷気が漂ってくる。
…眠れる獅子も起こしやがった!
レギがぶちギレになる前に、俺を呼べ!
俺達の大切な人に何かあったら、俺まで冷静でいられなくなる!
「チイに何かあったら俺は正気を失うぞ!」
レギは握り拳に力を入れて、まだ正気を保っている。
「そうならない事を祈るよ…」
程なくして、足元に小さな魔方陣が出現する。
『転送移動』だ!
「レギ!」
ヒイロがそう叫ぶと、呼ばれたチイのもとに飛んだ。
チイを迎えに行き、市場で昼食に焼きたてパンと惣菜を買い、市場の側にある公園のテーブルで食べ、町中の日用品や雑貨等が並ぶ商店街へやって来た。
ふらりと歩きなから店を見ていると、チイがアクセサリーの雑貨屋の、店頭に並べてあるブレスレットを手に取り眺めていた。
円くて、指の太さぐらいの綺麗な金茶色のブレスレットを光りにかざし、見上げていた。
「これ、気に入ったのか?」
ヒイロが声を掛けると、チイはハッとして振り向いた。
「綺麗だな…って思っただけ…」
チイがブレスレットをテーブルに戻したので、それをヒョイと持ち上げ、店の中に入っていった。
こういう物が好きなんだな…。
店内でお金を払い、ふと思い出す。
最近、擬態した獣人の失踪が相次いでいる。
見た目が可愛らしい、愛くるしい感じの真面目な獣人ばかりだ。
調べていくと、どうも誘拐され、物好きな金持ちに売られているらしい。
ハッキリとした証拠は、まだ無い。
行方不明者の足取りを追うと、共通して最近新しく出来た『ビースト』と言う店へ行っている事が判明、何らかの関係があるみたいだ。
「…。」
ヒイロは魔法を掛けた。
『転送移動』何か有ったとき助けに行けるように。
『防御』危害を加えられそうになったら守られるように。
小さいブレスレットだから掛けれるのはそれくらい…。
過保護だとレギの事、笑えないな…。
魔法を掛け終わるとチイのもとに戻り、ブレスレットを左手首に嵌めた。
「プレゼント」
「えっ!そんなの悪いです!」
チイは驚いていた。
…いろんな表情を見せて欲しい。
「俺がチイに付けたいだけ。気に入らなかった?」
「でも!」
戸惑うチイの左手を取り、付けたブレスレットに口付けた。
「お守りだよ。だから、外に出るときは外さないで」
チイの顔が赤くなって可愛らしい。
いつまでも、こうして、いろんなチイを見ていたい。
「ヒイロさん。ここ、往来ですから程ほどに…」
ホムラにそう言われてハッとする。
行き交う人がチラチラと、見ている!
そうだった…。
チイに浮かれていて、周りが見えなくなっている。
落ち着け、今の仕事を終えてからだ!
ヒイロは当初の目的を思い出して、身を引き締めた。
翌日、リマ商会へ行って、受付のチイおの腕にブレスレットが付けられているのを確認して、微笑んでレギの仕事部屋へ向かった。
ヤバい…顔がにやける…。
たが、レギには『転送移動』『防御』を掛けた事を話しておこう。
そうすれば、外せとは言わないだろう…。
しかし、調査は進まなかった。
連れ拐われた後の行方が分からないのだ。
中級者クラスの魔力を持つ者が関与して、気付かれ無いよう『移動』魔法を使っているのだろう。
居場所さえ分かれば人族と連携して、救出する手筈は進んでいる。
そう、人族でも被害が出ているのだ。
人族の警察には信用仕切れていない部分も有るらしいが、現実、共闘した方が情報が入ると言うことか分かり、取り敢えずは秘密裏に情報を交換している。
どこへ連れ去られた!
夕方、いつものようにレギの仕事部屋中には、レギと、ヒイロ、ホムラの三人が書類を拡げ話をしていた。
そこへ、チイと中の良いメイが飛び込んできた。
確か、今日、一緒に食事に行くと行っていたが…。
「メイ。どうした?」
メイは息を切らして、真っ青な顔をしている。
「…チイが…居なくなったの…」
三人の手が止まる。
…いなくなった?
「食事して…店を出て…そこまで一緒だったの!…振り向いたら…姿が…無くって…」
三人は真っ青な顔をして、ヒイロがソファーから立ち上がる。
ものすごい勢いでメイに近付き肩を掴んだ。
「どこだ!どこで消えた!」
「…最近新しく出来た『ビースト』と言う、お店の近く…」
レギと、ホムラの方を振り向く。
最悪の事態だ!
「レギ!」
レギがため息をつく。
「一番嫌なパターンになったな…。チイが呼べば、『転送移動』される」
「分かってる!」
ヒイロは恐ろしいほどの剣幕で怒鳴る。
チイ!意識を失っているのか!俺を呼べ!
「奴らの巣窟を一網打尽にする手筈は整っている。ただ…」
レギは冷静に話しながらも、冷気が漂ってくる。
…眠れる獅子も起こしやがった!
レギがぶちギレになる前に、俺を呼べ!
俺達の大切な人に何かあったら、俺まで冷静でいられなくなる!
「チイに何かあったら俺は正気を失うぞ!」
レギは握り拳に力を入れて、まだ正気を保っている。
「そうならない事を祈るよ…」
程なくして、足元に小さな魔方陣が出現する。
『転送移動』だ!
「レギ!」
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