眠っていた魔力紙を折紙みたいに折ったら、新しい魔法の使い方が出来たので、役立てます。

ゆう

文字の大きさ
上 下
176 / 182
獣人の街グオルク ~~

記録

しおりを挟む
 結界が張られた部屋で秘密の話をして、あと、ユナが折る紙の形を記録に残したいのだけれど、やっぱりこの部屋で作業をした方が良い?と、聞いてみると、普通の紙で作る分には、談話室でも支障はないそうだ。
 魔力紙マリョクシを折った場合は、魔力に反応して、何か起こってしまうから、『クルーラ』に帰ってからにするように言われた。
 やっぱりな…。
 談話室では普通の紙を使って、遊び感覚で折れば良いとの事。
 良かった…。
 学校からユナが帰ってきたら、皆で紙を折って遊ぼう!


 その後、リーンさんに気になることをいろいろ聞いて、結界が張られた部屋を出た。
 思ったよりも時間が過ぎていたようで、お昼寝してい年小組のいる談話室へ向かうと、お昼寝は終わっていて、起きた五人は美味しそうにおやつを食べていた。
「戻ってきた!」
「「遊ぼう!」」
「絵本読んで!」
「ボール投げしよう!」
 僕達を見て、急いでおやつを食べようとする。
「ゆっくり食べなさい。まだ、帰らないから!」
 ユーリさんが子供達に、落ち着いて食べるように声掛けするが、子供達はソワソワとおやつを食べる。
 そんな様子を見て、思わず微笑んだ。
 遊びたいだろうけど、おやつも大事。
 
 そう思っていると、学校組の子供達も帰ってきた。
 廊下をバタバタと走る音がして、階段を上がっていくと、しばらくして階段を下りてきて、談話室の扉が開いた。
「「「ただいま!」」」
 相変わらず元気だ。
 
 学校に行っていた子供達の、今日のお手伝いは無いそうなので、おやつを食べて、そのまま一緒に遊ぶ事になった。
 フェイは学校組の子供達に誘われて、的当てに行き、アレイもボール投げをしたいと言っていた子供達と一緒に外の広場に向かっていった。
 もちろんユーリさんが一緒に付いて行っている。
 オルガは熊族のユナと羊族のモモと一緒に紙を折って、オルガが作り方の記録をする事にした。
「ユナが一番好きな形の折り方を、教えてもらえるか?」
「うん!」
 オルガがそう言うと、パタパタと小走りにユナは走っていき、奥の棚に並べてある折ったモノの前に行って、う~んと唸って悩んでいる。
 モモはオルガが出した紙を好きなように折って、何やら分からないものを折っている。
 普通はこうなるよね…。
 悩んでいる姿を、ラビオリと一緒に眺めていると、ユナは決めたようで、テーブルの方に一つ持ってきた。
 それは花のような形をしていて、『アヤメ』とユナが言った。
 オルガはこの間買った紙をカバンから取り出した。
 文字の練習に使う、ざらりとした紙だ。
 紙は縦長なので、まずは正方形にしなくてはいけない。
 オルガは紙の角を持って、一辺が重なるように三角に折り、重なっていない部分だけを三角の方に折る。
 その後から折った部分をペーパーナイフで切り取り、三角を広げると、いつもの正方形の形になった。
 それを五枚繰り返して作り、準備は整った。
 そしてユナに教えてもらいながら、オルガとラビオリは紙を折った。
 まずは角を合わせて三角に折って、また三角に折る。
 三角を広げて四角に折り、反対側も四角に折る。
 ここまでは『ツル』と一緒だ。
 次は紙の正方形の中心の折り線に向かって、両脇から折るけれど、『ツル』とは反対側を折った。
 それを元に戻して折り線に沿って広げてたたむのを四ヶ所…。
 今度はそれを横に半分に折って折り線を付けると、開いて『ツル』の先のように折り畳み…。
 ちょっと複雑な折り方になってきて、ユナにゆっくりと順番を見せてもらう。
 一ヶ所折ってしまえば、残りの三ヵ所は同じ折り方なので、まだ覚えやすい…。
 でもこれが折れるって事は、『ツル』は大丈夫だろう…。
 そして最後に、折った花びら部分を外にカーブして曲げると、ユナが持ってきてくれた『アヤメ』になった。
「すごいな…」
 オルガは思わず、そう口にした。
 ユナは嬉しそうに花の下の部分をもって、クルクルと回した。 
「今度は、途中段階を作ろう!」
 オルガはいつもみたいに、折る途中のモノを作る。
 『ツル』と一緒の部分は飛ばして、折り方が違うところから…。
 折った紙を、長方形の紙に貼って、矢印を書いて「こっちに折る」と書き込み、折り方の説明書を作り上げていった。
 うん。
 コレは何かに使えそう…。
 
 その後も、時間が許す限り、ユナに教えてもらって、説明書作りを進めた。




しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

処理中です...