166 / 182
獣人の街グオルク ~~
街の散策 5 ~訪問~
しおりを挟む
作業を見ていたフェイがソレを見て、ポソリと「カッコいいな…」と、呟いた。
でしょう!
オルガはニコニコとして、描いた紙をフェイの方に向ける。
「フェイの短剣のイメージ!あの時見た光景を思い出して描いたんだ!」
「…ソレ、壁掛けにしても、かっこ良くないか?」
「アレイもそう思う!小物の手拭きとか、ショールとか、膝掛けとかにしても、良い感じに出来上がりそうなんだけど!」
オルガが楽しそうにそう言うと、フェイが真剣な眼差しでオルガの肩をポンと掴む。
「『リマ商会』に行こう…」
「僕も賛成!久しぶりに危険を感じる…」
「…えっ?」
オルガはキョトンとして二人を見た。
フェイが入り口付近に有った屋台で焼き菓子を買い、ココから役所まで行く、馬車乗り場を教えてもらってきた。
今、歩いてきた道をもう少し進むと、西区と東区の境界線に出て、そこから中央区側に乗り場があるそうだ。
アレイはオルガが出した紙を袋にしまい、「ほら、行くぞ」と手を引いてくる。
「でも、まだ散策中…。反対側の通り…見てないし…」
オルガがそう言うと、アレイが少し困った顔をして言う。
「まだ数日、グオルクにいるんだから、また来よう。目的の紙を買ったし、チーズケーキは食べれただろう」
「うん…」
オルガとしては、もう少し外を歩きたかった。
いつもと違うものを見るからか、刺激されて、ワクワクして、今まで思い付かなかった、模様が浮かんでくるからだ。
でもソレが、ココで描いて、人に見られる分けにはいかないのと、『クルーラ』の案件になってくるのだけは分かった…。
「…ちょっと早いけど…帰ろうか…」
オルガが寂しそうにそう答えると、フェイがオルガの頭を撫でる。
こんな時だけ、二人は大人に見える…。
状況を判断して、直ぐに行動に移せて…。
「リマ商会で、屋台で買ってきた焼き菓子を食べよう」
そう言って、フェイが買ってきた焼き菓子を見せてくれる。
「ヤナックさん。お菓子どころでは、なくなるけどね」
アレイは苦笑いして、オルガを見る。
…多分、そうなるんだろう…。
属性模様を描ける人は、たくさんいると思うんだけどな…。
三人は教えてもらった通りに境界線まで出て、中央区方面、役所行きの巡回馬車に乗り、役所で降りると、『リマ商会』へと入っていった。
昨日の今日で、『リマ商会』の案内所の人は、直ぐにヤナックさんに連絡を取ってくれた。
朝、来たときは、直接ヤナックさんの執務室に、手紙を持って行ったけれど、日中はお客さんとか来ているかも知れないしね…。
直ぐに返事が来て、大丈夫だと言うことで、僕達はヤナックさんの執務室に向かった。
慣れた廊下を歩き、二階の部屋の前まで来るとアレイが扉をノックした。
「どうぞ」
と、中から返事が来たので、アレイが扉を開けて中に入り、オルガも部屋の中に入って、見知った人が居たから驚いた。
「リーンさん!」
ソファーに座り、微笑むリーンさんは、僕を森で拾ってくれ、助けてくれた人。
『クルーラ』でも、最近はあまり会えないでいた。
オルガは思わず駆け寄った。
「いつグオルクへ!」
「落ち着いて。ほら、ここに座って」
リーンさんにそう言われて、オルガはハッとして頬を染めた。
ココはヤナックさんの執務室…。
ヤナックさんへの挨拶も無しに、思わずリーンさんに突撃してしまった。
「…ごめんなさい」
オルガは、しょんぼりしてリーンさんの隣に座る。
「…いいさ。今、お前達の事を話していた所だったんだ」
リーンさんの向かい側のソファーに座っていたヤナックさんがそう答え、アレイとフェイの方に手招きして、二人もソファーに座るよう促される。
ごめん…。
二人とも、立ち尽くしていた…。
改めて、リーンさん達が話していたのは、今朝、オルガが送った手紙の事。
手紙が『クルーラ』のヒナキさんの所に届いたとき、リーンさんも来ていて、返事を持って、グオルクにやって来たそうだ。
確か、リーンさんは固定の転移魔方陣を持っているので、あちこちに一瞬で移動できると言っていた。
多分、グオルクの何処かに、転移魔方陣が繋がっているので、直ぐにグオルクまで来てくれたのだろう…。
リーンさんによれば、『折り魔紙』を折る熊族のユナは、熊族の町ベイエルのアレイ達の屋敷で預かってくれるそうだ。
『折り魔紙』の納品も、普通の物質転移魔方陣を使って運べるように、設定してくれるそうだ。
やはり思っていた通り、ユナが折ったモノを『クルーラ』に送り、点検した後で、『リマ商会』の方に送るそうだ。
今はまだ、ユナが小さいので、徐々に魔素が多い地域に行って、少しづつ魔素慣れしてもらって、それから…だから、もう数年かかるだろう。と言うことになった。
ソレまでは、数量限定で、頑張ります!
そして、オルガ達が今日、訪ねてきた訳を話す事になった。
でしょう!
オルガはニコニコとして、描いた紙をフェイの方に向ける。
「フェイの短剣のイメージ!あの時見た光景を思い出して描いたんだ!」
「…ソレ、壁掛けにしても、かっこ良くないか?」
「アレイもそう思う!小物の手拭きとか、ショールとか、膝掛けとかにしても、良い感じに出来上がりそうなんだけど!」
オルガが楽しそうにそう言うと、フェイが真剣な眼差しでオルガの肩をポンと掴む。
「『リマ商会』に行こう…」
「僕も賛成!久しぶりに危険を感じる…」
「…えっ?」
オルガはキョトンとして二人を見た。
フェイが入り口付近に有った屋台で焼き菓子を買い、ココから役所まで行く、馬車乗り場を教えてもらってきた。
今、歩いてきた道をもう少し進むと、西区と東区の境界線に出て、そこから中央区側に乗り場があるそうだ。
アレイはオルガが出した紙を袋にしまい、「ほら、行くぞ」と手を引いてくる。
「でも、まだ散策中…。反対側の通り…見てないし…」
オルガがそう言うと、アレイが少し困った顔をして言う。
「まだ数日、グオルクにいるんだから、また来よう。目的の紙を買ったし、チーズケーキは食べれただろう」
「うん…」
オルガとしては、もう少し外を歩きたかった。
いつもと違うものを見るからか、刺激されて、ワクワクして、今まで思い付かなかった、模様が浮かんでくるからだ。
でもソレが、ココで描いて、人に見られる分けにはいかないのと、『クルーラ』の案件になってくるのだけは分かった…。
「…ちょっと早いけど…帰ろうか…」
オルガが寂しそうにそう答えると、フェイがオルガの頭を撫でる。
こんな時だけ、二人は大人に見える…。
状況を判断して、直ぐに行動に移せて…。
「リマ商会で、屋台で買ってきた焼き菓子を食べよう」
そう言って、フェイが買ってきた焼き菓子を見せてくれる。
「ヤナックさん。お菓子どころでは、なくなるけどね」
アレイは苦笑いして、オルガを見る。
…多分、そうなるんだろう…。
属性模様を描ける人は、たくさんいると思うんだけどな…。
三人は教えてもらった通りに境界線まで出て、中央区方面、役所行きの巡回馬車に乗り、役所で降りると、『リマ商会』へと入っていった。
昨日の今日で、『リマ商会』の案内所の人は、直ぐにヤナックさんに連絡を取ってくれた。
朝、来たときは、直接ヤナックさんの執務室に、手紙を持って行ったけれど、日中はお客さんとか来ているかも知れないしね…。
直ぐに返事が来て、大丈夫だと言うことで、僕達はヤナックさんの執務室に向かった。
慣れた廊下を歩き、二階の部屋の前まで来るとアレイが扉をノックした。
「どうぞ」
と、中から返事が来たので、アレイが扉を開けて中に入り、オルガも部屋の中に入って、見知った人が居たから驚いた。
「リーンさん!」
ソファーに座り、微笑むリーンさんは、僕を森で拾ってくれ、助けてくれた人。
『クルーラ』でも、最近はあまり会えないでいた。
オルガは思わず駆け寄った。
「いつグオルクへ!」
「落ち着いて。ほら、ここに座って」
リーンさんにそう言われて、オルガはハッとして頬を染めた。
ココはヤナックさんの執務室…。
ヤナックさんへの挨拶も無しに、思わずリーンさんに突撃してしまった。
「…ごめんなさい」
オルガは、しょんぼりしてリーンさんの隣に座る。
「…いいさ。今、お前達の事を話していた所だったんだ」
リーンさんの向かい側のソファーに座っていたヤナックさんがそう答え、アレイとフェイの方に手招きして、二人もソファーに座るよう促される。
ごめん…。
二人とも、立ち尽くしていた…。
改めて、リーンさん達が話していたのは、今朝、オルガが送った手紙の事。
手紙が『クルーラ』のヒナキさんの所に届いたとき、リーンさんも来ていて、返事を持って、グオルクにやって来たそうだ。
確か、リーンさんは固定の転移魔方陣を持っているので、あちこちに一瞬で移動できると言っていた。
多分、グオルクの何処かに、転移魔方陣が繋がっているので、直ぐにグオルクまで来てくれたのだろう…。
リーンさんによれば、『折り魔紙』を折る熊族のユナは、熊族の町ベイエルのアレイ達の屋敷で預かってくれるそうだ。
『折り魔紙』の納品も、普通の物質転移魔方陣を使って運べるように、設定してくれるそうだ。
やはり思っていた通り、ユナが折ったモノを『クルーラ』に送り、点検した後で、『リマ商会』の方に送るそうだ。
今はまだ、ユナが小さいので、徐々に魔素が多い地域に行って、少しづつ魔素慣れしてもらって、それから…だから、もう数年かかるだろう。と言うことになった。
ソレまでは、数量限定で、頑張ります!
そして、オルガ達が今日、訪ねてきた訳を話す事になった。
1
お気に入りに追加
84
あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる