眠っていた魔力紙を折紙みたいに折ったら、新しい魔法の使い方が出来たので、役立てます。

ゆう

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獣人の街グオルク ~~

街の散策 5 ~訪問~

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 作業を見ていたフェイがソレを見て、ポソリと「カッコいいな…」と、呟いた。
 でしょう!
 オルガはニコニコとして、描いた紙をフェイの方に向ける。
「フェイの短剣のイメージ!あの時見た光景を思い出して描いたんだ!」

「…ソレ、壁掛けにしても、かっこ良くないか?」
「アレイもそう思う!小物の手拭きとか、ショールとか、膝掛けとかにしても、良い感じに出来上がりそうなんだけど!」
 オルガが楽しそうにそう言うと、フェイが真剣な眼差しでオルガの肩をポンと掴む。
「『リマ商会』に行こう…」
「僕も賛成!久しぶりに危険を感じる…」
「…えっ?」
 オルガはキョトンとして二人を見た。
 

 フェイが入り口付近に有った屋台で焼き菓子を買い、ココから役所まで行く、馬車乗り場を教えてもらってきた。
 今、歩いてきた道をもう少し進むと、西区と東区の境界線に出て、そこから中央区側に乗り場があるそうだ。
 アレイはオルガが出した紙を袋にしまい、「ほら、行くぞ」と手を引いてくる。
「でも、まだ散策中…。反対側の通り…見てないし…」
 オルガがそう言うと、アレイが少し困った顔をして言う。
「まだ数日、グオルクにいるんだから、また来よう。目的の紙を買ったし、チーズケーキは食べれただろう」
「うん…」
 オルガとしては、もう少し外を歩きたかった。
 いつもと違うものを見るからか、刺激されて、ワクワクして、今まで思い付かなかった、模様が浮かんでくるからだ。
 でもソレが、ココで描いて、人に見られる分けにはいかないのと、『クルーラ』の案件になってくるのだけは分かった…。
「…ちょっと早いけど…帰ろうか…」
 オルガが寂しそうにそう答えると、フェイがオルガの頭を撫でる。
 こんな時だけ、二人は大人に見える…。
 状況を判断して、直ぐに行動に移せて…。
「リマ商会で、屋台で買ってきた焼き菓子を食べよう」
 そう言って、フェイが買ってきた焼き菓子を見せてくれる。 
「ヤナックさん。お菓子どころでは、なくなるけどね」
 アレイは苦笑いして、オルガを見る。
 …多分、そうなるんだろう…。
 属性模様を描ける人は、たくさんいると思うんだけどな…。


 三人は教えてもらった通りに境界線まで出て、中央区方面、役所行きの巡回馬車に乗り、役所で降りると、『リマ商会』へと入っていった。


 昨日の今日で、『リマ商会』の案内所の人は、直ぐにヤナックさんに連絡を取ってくれた。
 朝、来たときは、直接ヤナックさんの執務室に、手紙を持って行ったけれど、日中はお客さんとか来ているかも知れないしね…。
 直ぐに返事が来て、大丈夫だと言うことで、僕達はヤナックさんの執務室に向かった。
 慣れた廊下を歩き、二階の部屋の前まで来るとアレイが扉をノックした。
「どうぞ」
 と、中から返事が来たので、アレイが扉を開けて中に入り、オルガも部屋の中に入って、見知った人が居たから驚いた。
「リーンさん!」
 ソファーに座り、微笑むリーンさんは、僕を森で拾ってくれ、助けてくれた人。
 『クルーラ』でも、最近はあまり会えないでいた。 
 オルガは思わず駆け寄った。
「いつグオルクへ!」
「落ち着いて。ほら、ここに座って」
 リーンさんにそう言われて、オルガはハッとして頬を染めた。
 ココはヤナックさんの執務室…。
 ヤナックさんへの挨拶も無しに、思わずリーンさんに突撃してしまった。
「…ごめんなさい」
 オルガは、しょんぼりしてリーンさんの隣に座る。
「…いいさ。今、お前達の事を話していた所だったんだ」
 リーンさんの向かい側のソファーに座っていたヤナックさんがそう答え、アレイとフェイの方に手招きして、二人もソファーに座るよう促される。
 ごめん…。
 二人とも、立ち尽くしていた…。

 改めて、リーンさん達が話していたのは、今朝、オルガが送った手紙の事。
 手紙が『クルーラ』のヒナキさんの所に届いたとき、リーンさんも来ていて、返事を持って、グオルクにやって来たそうだ。
 確か、リーンさんは固定の転移魔方陣を持っているので、あちこちに一瞬で移動できると言っていた。
 多分、グオルクの何処かに、転移魔方陣が繋がっているので、直ぐにグオルクまで来てくれたのだろう…。

 リーンさんによれば、『折り魔紙』を折る熊族のユナは、熊族の町ベイエルのアレイ達の屋敷で預かってくれるそうだ。
 『折り魔紙』の納品も、普通の物質転移魔方陣を使って運べるように、設定してくれるそうだ。
 やはり思っていた通り、ユナが折ったモノを『クルーラ』に送り、点検した後で、『リマ商会』の方に送るそうだ。
 今はまだ、ユナが小さいので、徐々に魔素が多い地域に行って、少しづつ魔素慣れしてもらって、それから…だから、もう数年かかるだろう。と言うことになった。
 ソレまでは、数量限定で、頑張ります!

 そして、オルガ達が今日、訪ねてきた訳を話す事になった。

 
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