眠っていた魔力紙を折紙みたいに折ったら、新しい魔法の使い方が出来たので、役立てます。

ゆう

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獣人の街グオルク ~~

街の散策 3 ~紙屋 1 ~

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 『折り魔紙』の解説書を作るための、普通の紙束が欲しい!
「紙屋に行こう!」
 オルガ達は紙屋に入り、店内を見回した。
 思ったより、紙の種類が多いぞ…。

 店内に入って最初に眼に入ったのは、壁に掛けられた属性模様の絵。
 属性模様は木工品の飾りに使われていたから、勉強したので覚えている。
 属性模様の絵の下にある棚には、属性模様が刻まれた小さな木工品の小箱と、属性模様の書かれた紙が置いてあった。
 そしてその下の棚に、属性模様の表紙の紙束、上を閉じてあるモノと、脇を閉じてあるモノが一冊づつ置かれている。
 それも全属性分だ…。
「「「…。」」」
 オルガ達は唖然とその光景に入り口で足を止めた。
 手前のテーブルの上には、表紙に模様の無い、上と脇を綴じた普通の紙束が置かれているのを見て、ホッとした。
 もしかして、凄く高級な紙屋さんに入ってしまったのか…?
 さらに店内を見ると、中央にカウンターが有って、その奥にも、何やら分別された紙が置かれていた。
 見ただけでは、良く分からないよな…。
 「う~ん」と、オルガが見回していると、カウンターの奥から猫族の店の店主が出てきた。
 店内に人が入ってきたので、出てきたのだろう…。
「どんな紙が欲しいんだい」
 店主に声を掛けられ、僕達が店主の方を見ると、店主は驚いて眼を丸くし、ニコリと微笑んだ。
「創立祭の時に、『リマ商会』の手伝いに来ていた子達じゃないか?」
「「「はい!」」」
 そうだ。
 見覚えがある。
 近くで屋台を出していて、一番最初に差し入れをくれた、猫族のおじさんだ!
 このおじさんなら、僕が人族だって知っているから、フードを取っても良いよね…。
 オルガはフェイとアレイの方を見て、二人が頷いたので、被っていたフードを脱いだ。
 ふう~、暑かった…。

 猫族のおじさんは、クルヤさんと言って、創立祭以外にも、役所前広場での催し物には参加しているそうだ。
 そしてオルガは、気になった属性の模様の描かれた紙の事を聞いた。
 これらは、『クルーラ』の魔力紙に模様を描かれてから、複製の魔法で魔力紙に複写したものだそうだ。
 文字を複写出きるのなら、絵も出きるのではないかと、色々と試した結果、出来上がったそうだ。
 すごい…。
 色付きの模様を複写出来る魔法だなんて…。
 これらは主に、魔法を使う者や魔法の研究者達に人気な商品だそうだ。
「…。」
 ふと思い付いたのだが、『折り魔紙』に属性模様が付いていたら、どうなるのだろう…。
 今、使っているのは無地だし、魔力を与えることによって、属性の色に変化しているのだが…模様によって、性能が変わるのだろうか…。
 気になる…。
 それに、色を複写出来る魔法を使える人って、貴重なんじゃないか…。
 そんな秘密を、簡単に教えてくれるはずがない…。
 一枚買っていって、ヒナキさんやアレクさんに見てもらって、相談した方が良いのかも…。
「一枚、見せてもらって良いですか?」
 オルガはそう言って、風の模様の紙を見せてもらう。
 属性模様は一方方向に並んでいるから、これを正方形にカットしてもらっても、意味が無い気がする…。
 中心に向かって模様を左右対称に…折り目が、折った時に模様が出るようにすると綺麗なのかも…。
 オルガの頭の中でイメージが浮かんできた。
 どうしよう…忘れないうちに、書き留めておきたい…。
 ココは紙屋さんなんだから、紙を購入して、ちょっと描かせてもらおう…。
「あの、覚え書きをするような紙は有りますか」
「あるぞ。普通紙、中質紙、上質紙と有るが」
 クルヤさんはそう言って、カウンターを挟んで向こう側に有る、無地の紙束が置いてある場所に移動した。
 クルヤさんの説明によると、店内には、グオルク産の三種類の紙と、人族産の三種類の紙が置いてあった。
 グオルク産の上質紙は、紙の表面がとても滑らかで、人族産の上質紙はもっと極めが細かく、紙の表面が滑らかだった。
 筆の運びが良いからと、主に絵を描いている人が使用しているそうだ。
 中質紙は、上質紙に比べると少し極めの荒い紙だ。
 これは『ベイエル』、アレイの家で使っていた紙質に似ている。
 普通紙は、紙の質が荒く、施設の子供達が、文字を書く練習に使っているような、メモに使うような紙だ。
 模様を描くなら上質紙…『ベイエル』に有った中質紙かな…。
 人族産の紙は、運ばれてくるのに輸送費がかかるので、グオルク産より少し割高だ。
 なので、グオルク産の中質紙の綴じていない、紙だけのモノを一束、十枚出してもらった。
 そして購入するからと、オルガはカウンター側の小さなテーブルの場所を貸してもらい、作業する事にした。
 アレイとフェイは見慣れた光景なので、驚きもせず椅子に座りオルガの作業を見学する体制に入っている。
 クルヤさんは何が始まるんだ?と、興味津々にオルガの方を見ていた。


 
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