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獣人の街グオルク ~~
施設の敷地
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ユーリさんが、馬車の扉を開けて、外に出ると、僕達も順番に馬車から降りた。
そして目の前には、木々で囲われた敷地と門が有り、その奥にいくつかの建物が見えた。
ユーリさんが背丈ほどの木製の門を開けて、中に入っていく。
僕達も後を追いかけて門から、敷地内に入った。
両脇が背丈の倍ほどの木々に囲まれていて、門から奥に向かって道が綺麗に整備され、とても歩きやすい。
二十歩も歩かない内に、開けた場所に出ると、建物が三棟、小さい小屋が一つが目に入った。
開けた場所の左手に、古い木造の二階建ての建物。
真ん中に、少し薄汚れた、お屋敷のような豪華な外観の二階建ての建物。
その二つの建物の間に、小さい小屋が有って、渡り廊下で三つの建物が繋がっていた。
そして右側に、二つよりは新しい、一般的な普通の二階建ての家が有った。
その家からは、舗装された道が真ん中の屋敷に繋がっている。
同じ敷地内なのに、全く違う建物が並んでいるのが不思議だった。
「左側の建物は、外観は古いけど中は綺麗よ。ここで働いている職員と、合宿所?卒業生がたまに来て泊まっていくのに使ってるわ」
ユーリさんが建物の説明をしてくれる。
「真ん中が、子供達の部屋や談話室、食堂など。子供達はココで暮らしている。外見だけは豪華な屋敷だけどね」
「「「…。」」」
「そしてこっちが、私達家族が暮らしている家。と、言っても、一階はお客さんが多いから、家族だけが使っているのは二階だけだけどね」
ユーリさんは楽しそうに説明してくれる。
何かいろいろと事情が有りそうだが、話してくれればで、聞かない方が良いだろう…。
ユーリさんが真ん中の屋敷の入り口に向かったので、僕達も後を付いて行った。
「ただいま!」
ユーリさんが扉を開けてそう言うと、パタパタといくつもの足音がして、小さい獣人の子供達が玄関先まで出てきた。
「「「「お帰りなさい!」」」」
元気が良い子供の声が響いた。
が、急に子供達は、ピタリと動きを止めて固まっていた。
小走りしている途中の姿で動かず、耳と尻尾をピンと立てて、顔を硬直させた四人がいた。
耳の感じからだと、兎族が二人に、熊族と、犬族の子供かな…。
「あら、突然の来客にびっくりしたのかしら」
ユーリさんが微笑んでそう言うと、子供達はゆっくりと動きだし、背中を向けて、一目散に逃げていった。
「「「…。」」」
…可愛いんだけど…。
「子供達を紹介するから、こっちに来て」
ユーリさんが、逃げていった子供達の後を追って、廊下を進み、左手に有る、扉が開けっぱなしの部屋の中に入った。
部屋はとても広く、入って直ぐの所に低いテーブルを、ソファーが四つで囲んだ場所があり、その奥の窓際に机と椅子が一組有った。
部屋の中心が、小さい子供達が走り回れるくらい何もなくて、部屋の奥の方に、一段高くなった場所があった。
そこには絨毯が敷かれ、犬族の大人が座って、こちらを見ていた。
「扉は開けたら閉めましょうね」
「「「「は~い!」」」」
元気な返事は聞こえてきたが、姿が見えない。
犬族の大人の人がクスクスと笑いながら、ぬいぐるみがたくさん置かれた部屋の角の方を指差した。
「おいで」と、ユーリさんに言われて、部屋の奥の犬族の大人の人の所まで行くと、ユーリさんは紹介してくれた。
茶髪の犬族の人はナスキムさんと言って、主に一番小さい子達を見ているそうだ。
「そっと見てごらん」
そう言って、ナスキムさんの側に有った大きなカゴの中を覗くと、真っ白な小さな猫族の赤子が二人、丸まって眠っていた。
かっ可愛い…!
産まれてまだ一年は経過してないくらいの、小さな赤子だ。
フェイとアレイの方を見ると、二人もニマニマと赤子を見ている。
時折、小さな手を動かして、顔をスリスリと擦って、尻尾の先を手で掴んで、抱え込むように動かして…。
眠っているのに、時々、無意識に動く仕草が可愛い…。
いつまででも見ていれる…。
これだけ小さい赤子に会うのは始めてだ。
アレイはライカやライクの産まれたばかりの頃を見ているかも知れないけれど…。
三人でカゴの中の赤子を見ていると、ごそごそっと、ぬいぐるみの間から四人の子供達が姿を見せ、そーっと近付いてきた。
僕達は気が付かないフリをして、その行動を見て、内心笑っていた。
足音を立てないように、ゆっくりと歩いて来る兎族の子供二人と、身体を低くして、ハイハイしながらゆっくりと近付くと子供達…。
気が付いて、見えてるって…。
またその姿が可愛い…。
子供達は最終的に、ユーリさんの足元にたどり着くと、ギュッとしがみついて、僕達の方を見ていた。
…警戒されてるな…。
「おやつを食べたら散歩に行くわよ」
「やった!」
「おやつ!おやつ!」
子供達はそう言ってユーリさんの足元から離れると、部屋の中心部をグルグルと走り出した。
…体力、有り余ってるみたいだ…。
折り魔紙を折ってもらっている子達は、まだ学校だから、それまでの間、子供達と遊ぶか…。
どんな子供達か、わからないが、警戒心の有る子供だと、なかなか話は出来ないだろう…。
ちょっとでも、小さい子達と仲良くなって、警戒心を解いてくれると良いな…。
そして目の前には、木々で囲われた敷地と門が有り、その奥にいくつかの建物が見えた。
ユーリさんが背丈ほどの木製の門を開けて、中に入っていく。
僕達も後を追いかけて門から、敷地内に入った。
両脇が背丈の倍ほどの木々に囲まれていて、門から奥に向かって道が綺麗に整備され、とても歩きやすい。
二十歩も歩かない内に、開けた場所に出ると、建物が三棟、小さい小屋が一つが目に入った。
開けた場所の左手に、古い木造の二階建ての建物。
真ん中に、少し薄汚れた、お屋敷のような豪華な外観の二階建ての建物。
その二つの建物の間に、小さい小屋が有って、渡り廊下で三つの建物が繋がっていた。
そして右側に、二つよりは新しい、一般的な普通の二階建ての家が有った。
その家からは、舗装された道が真ん中の屋敷に繋がっている。
同じ敷地内なのに、全く違う建物が並んでいるのが不思議だった。
「左側の建物は、外観は古いけど中は綺麗よ。ここで働いている職員と、合宿所?卒業生がたまに来て泊まっていくのに使ってるわ」
ユーリさんが建物の説明をしてくれる。
「真ん中が、子供達の部屋や談話室、食堂など。子供達はココで暮らしている。外見だけは豪華な屋敷だけどね」
「「「…。」」」
「そしてこっちが、私達家族が暮らしている家。と、言っても、一階はお客さんが多いから、家族だけが使っているのは二階だけだけどね」
ユーリさんは楽しそうに説明してくれる。
何かいろいろと事情が有りそうだが、話してくれればで、聞かない方が良いだろう…。
ユーリさんが真ん中の屋敷の入り口に向かったので、僕達も後を付いて行った。
「ただいま!」
ユーリさんが扉を開けてそう言うと、パタパタといくつもの足音がして、小さい獣人の子供達が玄関先まで出てきた。
「「「「お帰りなさい!」」」」
元気が良い子供の声が響いた。
が、急に子供達は、ピタリと動きを止めて固まっていた。
小走りしている途中の姿で動かず、耳と尻尾をピンと立てて、顔を硬直させた四人がいた。
耳の感じからだと、兎族が二人に、熊族と、犬族の子供かな…。
「あら、突然の来客にびっくりしたのかしら」
ユーリさんが微笑んでそう言うと、子供達はゆっくりと動きだし、背中を向けて、一目散に逃げていった。
「「「…。」」」
…可愛いんだけど…。
「子供達を紹介するから、こっちに来て」
ユーリさんが、逃げていった子供達の後を追って、廊下を進み、左手に有る、扉が開けっぱなしの部屋の中に入った。
部屋はとても広く、入って直ぐの所に低いテーブルを、ソファーが四つで囲んだ場所があり、その奥の窓際に机と椅子が一組有った。
部屋の中心が、小さい子供達が走り回れるくらい何もなくて、部屋の奥の方に、一段高くなった場所があった。
そこには絨毯が敷かれ、犬族の大人が座って、こちらを見ていた。
「扉は開けたら閉めましょうね」
「「「「は~い!」」」」
元気な返事は聞こえてきたが、姿が見えない。
犬族の大人の人がクスクスと笑いながら、ぬいぐるみがたくさん置かれた部屋の角の方を指差した。
「おいで」と、ユーリさんに言われて、部屋の奥の犬族の大人の人の所まで行くと、ユーリさんは紹介してくれた。
茶髪の犬族の人はナスキムさんと言って、主に一番小さい子達を見ているそうだ。
「そっと見てごらん」
そう言って、ナスキムさんの側に有った大きなカゴの中を覗くと、真っ白な小さな猫族の赤子が二人、丸まって眠っていた。
かっ可愛い…!
産まれてまだ一年は経過してないくらいの、小さな赤子だ。
フェイとアレイの方を見ると、二人もニマニマと赤子を見ている。
時折、小さな手を動かして、顔をスリスリと擦って、尻尾の先を手で掴んで、抱え込むように動かして…。
眠っているのに、時々、無意識に動く仕草が可愛い…。
いつまででも見ていれる…。
これだけ小さい赤子に会うのは始めてだ。
アレイはライカやライクの産まれたばかりの頃を見ているかも知れないけれど…。
三人でカゴの中の赤子を見ていると、ごそごそっと、ぬいぐるみの間から四人の子供達が姿を見せ、そーっと近付いてきた。
僕達は気が付かないフリをして、その行動を見て、内心笑っていた。
足音を立てないように、ゆっくりと歩いて来る兎族の子供二人と、身体を低くして、ハイハイしながらゆっくりと近付くと子供達…。
気が付いて、見えてるって…。
またその姿が可愛い…。
子供達は最終的に、ユーリさんの足元にたどり着くと、ギュッとしがみついて、僕達の方を見ていた。
…警戒されてるな…。
「おやつを食べたら散歩に行くわよ」
「やった!」
「おやつ!おやつ!」
子供達はそう言ってユーリさんの足元から離れると、部屋の中心部をグルグルと走り出した。
…体力、有り余ってるみたいだ…。
折り魔紙を折ってもらっている子達は、まだ学校だから、それまでの間、子供達と遊ぶか…。
どんな子供達か、わからないが、警戒心の有る子供だと、なかなか話は出来ないだろう…。
ちょっとでも、小さい子達と仲良くなって、警戒心を解いてくれると良いな…。
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