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獣人の街グオルク ~創立祭~
創立祭 10 ~古本屋 1~
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「あっ…」
見つけてしまった…。
「どうした?」
「…。」
オルガは無言で少し先に有るテントを、『リマ商会』のテントと同じくらいの大きさのお店のテントを指差した。
本屋…古本屋だ…。
有るかな…とは思っていたけれど、見つけてしまった…。
「僕、あそこのテントに行って良い?」
ゲームより本の方に心が引かれた。
コレだけ大きい街だ。
いろんな本が置いてありそう…。
「相変わらずだな…」
フェイが苦笑いすると、アレイが笑う。
「僕も見てみたい!なんか面白いの有るかな~」
と、言うことで、オルガ達は古本屋のテントに向かった。
古本屋のテントは三面幕で囲まれていて、中にはいくつも机が並べられ、無造作に本が置かれ、積まれていて、テントの奥の壁際には、机の上に棚が置かれ、棚に綺麗に本が並べられている。
もしかして、棚に入っているのは、お高い本なのかも知れない…。
右側の壁側はカウンターになっていて、体格の良い熊族の男の人がペラペラと本を見ていて、小柄な人族の男の人はお客さんと話をしていた。
あっ…。
あのお客さん、人族の女の人だ!
人族の男の人は『リマ商会』にも何人もいるので、よく見かける。
獣人族の女の人も、全体の一割くらいと言われるが、『クルーラ』の三分の一は女の人だし、『グオルク』に来てからも、時々見かけていたので、珍しくはない。
だけど、人族の女の人を見るのは、アレクさんの奥さんレイラさん以来だ。
黒髪の横顔しか見えないが、慣れた様子で話をしているので、『グオルク』に住んでいるのかも知れない…。
「この絵、綺麗だよね」
アレイの声にオルガはハッとした。
アレイが手にしている本はの表紙は、大きな湖…向こう側が水平線になって見えないので、海と呼ばれる場所の風景かも知れない。
そこに浮島と、水の上に家が描かれていて、細い吊り橋で陸地と繋がった絵だった。
こんな場所も有るのかな…。
アレイはペラリと本をめくり、顔をしかめる。
「ウッ…思った以上に、細かい文字…」
本の内容より、文字の大きさに、アレイは本を閉じた。
「もう少し大きい文字が良い…」
本の文字の大きさは、書く人によっていろいろだ。
それに文字の書き方も、読みやすいのと、読みにくいのも有る。
僕達は、それぞれにテントの中の本を見て回ることにした。
テントに入って直ぐの机には、絵本が積まれていた。
使われている紙は、ザラッとした紙で、厚みがあり、片側を紐で閉じてある状態だ。
使い回した感があり、端の方はヨレヨレになっているものもある。
古本だからね…。
中に入っていくと、同じ様に紐で閉じた本が積み重ねられていて、アレイは気に入った表紙を見ては中を確認している。
フェイは絵付きの戦術、体術などが書かれた本をペラペラと見て、何か探しているようだ。
オルガは気になった一番奥の本棚の前に来て、何が置かれているのか、本棚から一冊抜いて手に取ってみた。
表紙には、『初級魔法』『火魔法』と書かれていた。
オルガが、『クルーラ』に来て、一番最初に見せてもらった本が『初級魔法』の本だ。
だけどソレよりも薄く、片側を紐で閉じてある本。
何が違うのだろう…と、ページをめくった。
始まりは一緒。
魔力や魔素についての説明。
自分の魔力を認識する方法。
だけど使い方が全く違った。
『火魔法』で、焚き火をするのに火を付ける方法。
木の表面の刺されを、軽くアブって燃やす方法など…。
そしてその注意点、応用と、いろいろな利用方法などが書かれていた。
コレって、普段の生活に使える『火魔法』と、言うことだろうか…。
『クルーラ』では、魔石や魔道具があるので、そんな風に『火魔法』を使っているのを見たことはない。
もしかして、他の『初級魔法』が有るのか?
オルガはそう思って、棚に入った本を順番に引き出しては見ていった。
全部有った…。
一番多かった同じ本は、『火魔法』『水魔法』『風魔法』。
食事を作るのに、洗い物をするのに、洗濯物を乾かすのに…。
そんな『初級魔法』が掲載されていた。
その中でも、一冊しか無かったのが『聖魔法』『闇魔法』。
やっぱりちょっと特殊なのかもしれない。
『聖魔法』は、怪我を治す…傷口を綺麗にして、表面の傷を治す方法。
だけど応急措置なので、完全に治ったわけではない。と書かれていた。
『闇魔法』は、探し物、迷子を見つける方法。
やはり普段の生活に密着した魔法ばかりだ。
使える使えないは別として、こんな事も出来ると、知らないよりは知っていた方が良い魔法ばかりだ…。
えへへっ…。
買っちゃおう!
それに、フェイに『聖属性』が見つかったんだから、役立つかも知れないからね。
オルガはお小遣いで本を買った。
好きなものを買えば良いよと言われても、結局、僕の場合は、こっちにお金を使っちゃうんだな…。
そう思いながら…。
見つけてしまった…。
「どうした?」
「…。」
オルガは無言で少し先に有るテントを、『リマ商会』のテントと同じくらいの大きさのお店のテントを指差した。
本屋…古本屋だ…。
有るかな…とは思っていたけれど、見つけてしまった…。
「僕、あそこのテントに行って良い?」
ゲームより本の方に心が引かれた。
コレだけ大きい街だ。
いろんな本が置いてありそう…。
「相変わらずだな…」
フェイが苦笑いすると、アレイが笑う。
「僕も見てみたい!なんか面白いの有るかな~」
と、言うことで、オルガ達は古本屋のテントに向かった。
古本屋のテントは三面幕で囲まれていて、中にはいくつも机が並べられ、無造作に本が置かれ、積まれていて、テントの奥の壁際には、机の上に棚が置かれ、棚に綺麗に本が並べられている。
もしかして、棚に入っているのは、お高い本なのかも知れない…。
右側の壁側はカウンターになっていて、体格の良い熊族の男の人がペラペラと本を見ていて、小柄な人族の男の人はお客さんと話をしていた。
あっ…。
あのお客さん、人族の女の人だ!
人族の男の人は『リマ商会』にも何人もいるので、よく見かける。
獣人族の女の人も、全体の一割くらいと言われるが、『クルーラ』の三分の一は女の人だし、『グオルク』に来てからも、時々見かけていたので、珍しくはない。
だけど、人族の女の人を見るのは、アレクさんの奥さんレイラさん以来だ。
黒髪の横顔しか見えないが、慣れた様子で話をしているので、『グオルク』に住んでいるのかも知れない…。
「この絵、綺麗だよね」
アレイの声にオルガはハッとした。
アレイが手にしている本はの表紙は、大きな湖…向こう側が水平線になって見えないので、海と呼ばれる場所の風景かも知れない。
そこに浮島と、水の上に家が描かれていて、細い吊り橋で陸地と繋がった絵だった。
こんな場所も有るのかな…。
アレイはペラリと本をめくり、顔をしかめる。
「ウッ…思った以上に、細かい文字…」
本の内容より、文字の大きさに、アレイは本を閉じた。
「もう少し大きい文字が良い…」
本の文字の大きさは、書く人によっていろいろだ。
それに文字の書き方も、読みやすいのと、読みにくいのも有る。
僕達は、それぞれにテントの中の本を見て回ることにした。
テントに入って直ぐの机には、絵本が積まれていた。
使われている紙は、ザラッとした紙で、厚みがあり、片側を紐で閉じてある状態だ。
使い回した感があり、端の方はヨレヨレになっているものもある。
古本だからね…。
中に入っていくと、同じ様に紐で閉じた本が積み重ねられていて、アレイは気に入った表紙を見ては中を確認している。
フェイは絵付きの戦術、体術などが書かれた本をペラペラと見て、何か探しているようだ。
オルガは気になった一番奥の本棚の前に来て、何が置かれているのか、本棚から一冊抜いて手に取ってみた。
表紙には、『初級魔法』『火魔法』と書かれていた。
オルガが、『クルーラ』に来て、一番最初に見せてもらった本が『初級魔法』の本だ。
だけどソレよりも薄く、片側を紐で閉じてある本。
何が違うのだろう…と、ページをめくった。
始まりは一緒。
魔力や魔素についての説明。
自分の魔力を認識する方法。
だけど使い方が全く違った。
『火魔法』で、焚き火をするのに火を付ける方法。
木の表面の刺されを、軽くアブって燃やす方法など…。
そしてその注意点、応用と、いろいろな利用方法などが書かれていた。
コレって、普段の生活に使える『火魔法』と、言うことだろうか…。
『クルーラ』では、魔石や魔道具があるので、そんな風に『火魔法』を使っているのを見たことはない。
もしかして、他の『初級魔法』が有るのか?
オルガはそう思って、棚に入った本を順番に引き出しては見ていった。
全部有った…。
一番多かった同じ本は、『火魔法』『水魔法』『風魔法』。
食事を作るのに、洗い物をするのに、洗濯物を乾かすのに…。
そんな『初級魔法』が掲載されていた。
その中でも、一冊しか無かったのが『聖魔法』『闇魔法』。
やっぱりちょっと特殊なのかもしれない。
『聖魔法』は、怪我を治す…傷口を綺麗にして、表面の傷を治す方法。
だけど応急措置なので、完全に治ったわけではない。と書かれていた。
『闇魔法』は、探し物、迷子を見つける方法。
やはり普段の生活に密着した魔法ばかりだ。
使える使えないは別として、こんな事も出来ると、知らないよりは知っていた方が良い魔法ばかりだ…。
えへへっ…。
買っちゃおう!
それに、フェイに『聖属性』が見つかったんだから、役立つかも知れないからね。
オルガはお小遣いで本を買った。
好きなものを買えば良いよと言われても、結局、僕の場合は、こっちにお金を使っちゃうんだな…。
そう思いながら…。
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