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獣人の街グオルク ~創立祭~
創立祭 1 ~最初のお客さん~
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今日から五日間、グオルクの『創立祭』だ!
朝早くから準備のため、宿の中は、人がザワザワと動いていた。
僕達も朝食を食べ、創立祭の会場となる、広場に向かった。
昨日、僕達は、外灯の魔道具の説明をするために、色々と準備して、早めに宿へと帰った。
後は、当日、来てくれる人の様子を見て、置き方や配置を変更して行けば良いと言われたからだ。
あま、そうだよね…。
どんな反応が有るのか、不安ながらも楽しみだ。
そして、花火と共に『創立祭』が始まった。
僕達は、昨日の『リマ商会』のテントの横で、外灯の魔道具を並べて待機していた。
外灯は、全部で五個。
昨日、明かりが灯ってるのが分かるよう、暗くした方がいいと言われて、ネオさんが『リマ商会』のテントの横に布を結びつけて、僕達側にあった屋台の台に反対側を結びつけて、一角だけ少し日影を作り、そこに外灯を二個置いた。
外灯の中の『折り魔紙』には光魔法をかけてもらっているので、すでに黄色く変化している。
通路側に置いた低いテーブルの両脇に、外灯を一個づつ。
ベットの横に置くような、小さな机の上に一個置き、その横でアレイが椅子に座って、昨日まとめた『折り魔紙』の説明を書いたメモを読む…。
「頭に入ったかな…」と、ぶつぶつ言いながら…。
オルガとフェイは低いテーブルの前に座り、次々と広場に入ってくるお客さんの多さに、緊張していた。
「そこまで緊張しなくて良いよ」
『リマ商会』のテント側の小さな机の前に座った、羊族のテイルさんが微笑む。
クルリと巻いた小さな角が頭の両サイドに有る、ふわふわの白い髪の毛のテイルさんは、グオルクの役所の受付の人だ。
役所と『リマ商会』が連携して提供する外灯の魔道具なので、ネオさんと交代で、受付を担当してくれるそうだ。
「それにしても、人がたくさん集まって来るな…」
「創立祭は初めて?」
「「「はい!」」」
三人の声が合わさる。
「僕は、グオルク来るのも初めてです」
『クルーラ』周辺の町にしか行ったことがない…。
「僕も!」
「僕は父様に一回連れてきてもらったけど、一泊で直ぐに帰ったから、ほとんど見て回ってない…」
アレイは、アレクさんに連れてきてもらった事が、有るんだ…。
「ふふっ。三日間はここで仕事だから、見て回れないけれど、残りの二日間で見て回って、楽しんでいってね」
「「「はい!」」」
ここでの仕事はあと三日。
その後二日間お休みで、翌日は創立祭の片付けの手伝い。
そんな話をしていると、最初のお客さんがやって来た。
ライクやライカくらいの犬族の子供に手を引っ張られ、ひょろりとした大人が近付いて来た。
「父さん早く!」
「分かった分かった…」
よろよろと近付いて来た犬族の親子とバチッと目が合うと、二人は足を止めた。
えっ…なに…。
そしてキョロキョロと辺りを見回しながら、そろりそろりと近付いて来る。
「…学校で教えてもらった、ランプ…」
子供がボソボソと、話し出す。
「小さな魔力で明かりが灯るランプは、ここで有ってるよ」
オルガがそう言うと、子供がパァッと明るい顔をして、父親の方を見る。
「僕、これ欲しい!」
「だけどな…」
一応、魔道具だから、最低限でも多少の金額になる。
戸惑い、渋るのも、分からなくはない…。
「明かりを灯してみる?」
フェイがそう言うと、子供がニコニコと微笑んでフェイの方に近付く。
フェイが、低いテーブルに置いた外灯の中の『折り魔紙』の『ツル』を指差す。
「魔力は使える?」
「指先ほどの小さいの。今、練習中!」
「それで十分だよ。中の『ツル』に向かって魔力を飛ばしてみて」
フェイがそう言うと、子供は人先指を立てて眼を閉じる。
すると、ゆっくりと指先に小さな光が集まってくる。
「それくらいで大丈夫だよ」
オルガがそう言うと、「えい!」と子供が魔力を『ツル』に向かって放った。
すると、魔力を獲た『ツル』がぼんやりと光を放つ。
「光った!」
子供が眼を大きく見開いて、外灯の光を覗き込む。
「すごい!僕でも明かりが付けれる!」
「だろう」
フェイがニコリと微笑む。
「僕達は夜、本を読んだり、文字の練習したり、剣の練習する時に明かりを灯して使っているだよ」
「父さん!」
子供が父親の腕を掴んで見上げる。
「だがな…」
「僕、もっとお家のお手伝いするから!おやつも、ちょびっと減らして良いから!」
うわ~泣きそう…。
小さい子がおやつを減らしてまで、この外灯…ランプを欲しいと言ってくれるなんて…。
「いっぱい本を読んで勉強するから!ね!」
必死に言う子供と、迷う父親に、テイルさんが、そっと声をかける。
「今、子供達のために、役所と連携して中古を安く購入出来るよう、手配させてもらってます」
その声に父親の方がハッとする。
「『創立祭』で使っている外灯なんですよ」
そう言って、上空の外灯を指差す。
「『創立祭』が終わったら、中古として配布させていただきます。ただ、数が限定なのと、魔力でしか明かりが灯らないので、格安にはなってます」
「父さん!」
子供は興奮して父親の腕をブンブンと左右に揺らす。
「…あと、定数より募集された方が多い場合、抽選にはなります。それだけはご了承ください」
それを聞いて、父親の方が子供の方を向く。
「絶対に買えるとは言えないぞ」
「うん!」
父親の方が大きなタメ息をついてテイルさんに言う。
「申し込みをさせてもらいます」
「やったぁ!」
子供はブンブンと尻尾を振り回す。
良かったな…。
オルガは内心、ホッとしながら微笑んだ。
「ありがとうございます。こちらで、手続きを…」
そう言って『リマ商会』側の小さなテーブルへ案内し、父親が持って来ていた応募用紙に色々と書き込んでいた。
子供はニコニコとしながら、自分の魔力で明かりが灯ったランプを見ている。
「良かったな」
フェイがそう言うと、子供は満面の笑みで返事した。
ポツリポツリと来る親子は、同じようなやり取りをして、応募用紙に記入していた。
本を読みたい、勉強したい…。
くらい部屋や、外の月明かりではなく、部屋の中で、自分の魔力で明かりを灯し、やりたいことが出来れば良い…。
少しでも、そんな子供達の役にたってくれれば良い…。
朝早くから準備のため、宿の中は、人がザワザワと動いていた。
僕達も朝食を食べ、創立祭の会場となる、広場に向かった。
昨日、僕達は、外灯の魔道具の説明をするために、色々と準備して、早めに宿へと帰った。
後は、当日、来てくれる人の様子を見て、置き方や配置を変更して行けば良いと言われたからだ。
あま、そうだよね…。
どんな反応が有るのか、不安ながらも楽しみだ。
そして、花火と共に『創立祭』が始まった。
僕達は、昨日の『リマ商会』のテントの横で、外灯の魔道具を並べて待機していた。
外灯は、全部で五個。
昨日、明かりが灯ってるのが分かるよう、暗くした方がいいと言われて、ネオさんが『リマ商会』のテントの横に布を結びつけて、僕達側にあった屋台の台に反対側を結びつけて、一角だけ少し日影を作り、そこに外灯を二個置いた。
外灯の中の『折り魔紙』には光魔法をかけてもらっているので、すでに黄色く変化している。
通路側に置いた低いテーブルの両脇に、外灯を一個づつ。
ベットの横に置くような、小さな机の上に一個置き、その横でアレイが椅子に座って、昨日まとめた『折り魔紙』の説明を書いたメモを読む…。
「頭に入ったかな…」と、ぶつぶつ言いながら…。
オルガとフェイは低いテーブルの前に座り、次々と広場に入ってくるお客さんの多さに、緊張していた。
「そこまで緊張しなくて良いよ」
『リマ商会』のテント側の小さな机の前に座った、羊族のテイルさんが微笑む。
クルリと巻いた小さな角が頭の両サイドに有る、ふわふわの白い髪の毛のテイルさんは、グオルクの役所の受付の人だ。
役所と『リマ商会』が連携して提供する外灯の魔道具なので、ネオさんと交代で、受付を担当してくれるそうだ。
「それにしても、人がたくさん集まって来るな…」
「創立祭は初めて?」
「「「はい!」」」
三人の声が合わさる。
「僕は、グオルク来るのも初めてです」
『クルーラ』周辺の町にしか行ったことがない…。
「僕も!」
「僕は父様に一回連れてきてもらったけど、一泊で直ぐに帰ったから、ほとんど見て回ってない…」
アレイは、アレクさんに連れてきてもらった事が、有るんだ…。
「ふふっ。三日間はここで仕事だから、見て回れないけれど、残りの二日間で見て回って、楽しんでいってね」
「「「はい!」」」
ここでの仕事はあと三日。
その後二日間お休みで、翌日は創立祭の片付けの手伝い。
そんな話をしていると、最初のお客さんがやって来た。
ライクやライカくらいの犬族の子供に手を引っ張られ、ひょろりとした大人が近付いて来た。
「父さん早く!」
「分かった分かった…」
よろよろと近付いて来た犬族の親子とバチッと目が合うと、二人は足を止めた。
えっ…なに…。
そしてキョロキョロと辺りを見回しながら、そろりそろりと近付いて来る。
「…学校で教えてもらった、ランプ…」
子供がボソボソと、話し出す。
「小さな魔力で明かりが灯るランプは、ここで有ってるよ」
オルガがそう言うと、子供がパァッと明るい顔をして、父親の方を見る。
「僕、これ欲しい!」
「だけどな…」
一応、魔道具だから、最低限でも多少の金額になる。
戸惑い、渋るのも、分からなくはない…。
「明かりを灯してみる?」
フェイがそう言うと、子供がニコニコと微笑んでフェイの方に近付く。
フェイが、低いテーブルに置いた外灯の中の『折り魔紙』の『ツル』を指差す。
「魔力は使える?」
「指先ほどの小さいの。今、練習中!」
「それで十分だよ。中の『ツル』に向かって魔力を飛ばしてみて」
フェイがそう言うと、子供は人先指を立てて眼を閉じる。
すると、ゆっくりと指先に小さな光が集まってくる。
「それくらいで大丈夫だよ」
オルガがそう言うと、「えい!」と子供が魔力を『ツル』に向かって放った。
すると、魔力を獲た『ツル』がぼんやりと光を放つ。
「光った!」
子供が眼を大きく見開いて、外灯の光を覗き込む。
「すごい!僕でも明かりが付けれる!」
「だろう」
フェイがニコリと微笑む。
「僕達は夜、本を読んだり、文字の練習したり、剣の練習する時に明かりを灯して使っているだよ」
「父さん!」
子供が父親の腕を掴んで見上げる。
「だがな…」
「僕、もっとお家のお手伝いするから!おやつも、ちょびっと減らして良いから!」
うわ~泣きそう…。
小さい子がおやつを減らしてまで、この外灯…ランプを欲しいと言ってくれるなんて…。
「いっぱい本を読んで勉強するから!ね!」
必死に言う子供と、迷う父親に、テイルさんが、そっと声をかける。
「今、子供達のために、役所と連携して中古を安く購入出来るよう、手配させてもらってます」
その声に父親の方がハッとする。
「『創立祭』で使っている外灯なんですよ」
そう言って、上空の外灯を指差す。
「『創立祭』が終わったら、中古として配布させていただきます。ただ、数が限定なのと、魔力でしか明かりが灯らないので、格安にはなってます」
「父さん!」
子供は興奮して父親の腕をブンブンと左右に揺らす。
「…あと、定数より募集された方が多い場合、抽選にはなります。それだけはご了承ください」
それを聞いて、父親の方が子供の方を向く。
「絶対に買えるとは言えないぞ」
「うん!」
父親の方が大きなタメ息をついてテイルさんに言う。
「申し込みをさせてもらいます」
「やったぁ!」
子供はブンブンと尻尾を振り回す。
良かったな…。
オルガは内心、ホッとしながら微笑んだ。
「ありがとうございます。こちらで、手続きを…」
そう言って『リマ商会』側の小さなテーブルへ案内し、父親が持って来ていた応募用紙に色々と書き込んでいた。
子供はニコニコとしながら、自分の魔力で明かりが灯ったランプを見ている。
「良かったな」
フェイがそう言うと、子供は満面の笑みで返事した。
ポツリポツリと来る親子は、同じようなやり取りをして、応募用紙に記入していた。
本を読みたい、勉強したい…。
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