130 / 182
獣人の街グオルク ~創立祭~
創立祭の準備 3
しおりを挟む
黙々と『折り魔紙』を折って、外灯の魔道具の中に『ツル』を設置して…。
そして気がつけば、昼になっていて、ヤナックさんが呼びに来た。
「おお、頑張ってくれたな」
部屋の中にある、残っている外灯の数を見て言う。
後、一箱半!
今日は、追加は無いからね…。
実は、昨日、昼に別の仕事をして、戻ってきたら、外灯の入った箱が増えていた…。
部屋に入りきらないから、別の部屋に置いて有ったんだって!
僕が微笑むと、ヤナックさんはニヤリと笑って言う。
「今年は、夜でも明るい創立祭になりそうだ」
まあ、これだけの外灯を付ければね。
ふと、オルガは気になっていた事を聞いた。
「この外灯の魔道具、創立祭が終わっても、広場に出しておくんですか?」
「最小限を残して片付けるぞ」
片付けるのも大変だ。
もともと入っていた箱に入れれば良いだろうけど、置いておく場所も必要だ。
「この外灯の魔道具のほとんどは、中古と言うことで、販売するつもりだ」
「えっ?」
ヤナックさんは楽しそうに微笑んで言う。
中古として販売?
創立祭の数日間だけ使って、売ってしまうんだ。
「おまえ達の、昼からの仕事だ。昼飯を食べたら三人で、執務室の部屋に来てくれ。説明する」
「…分かりました」
そう言って、ヤナックさんは部屋を出ていった。
僕達の昼からの仕事?
オルガは食事に行き、後から来たアレイとフェイと一緒に食事をすると、ヤナックさんの話をして、三人で執務室へと向かった。
執務室で、ヤナックさんに説明されたのは、どうやって、外灯の魔道具を販売するか、だった。
隣にあるグオルクの役所と連携して、グオルクの学校に通う子供達に、中古の外灯の魔道具の、応募の用紙が配られるそうだ。
一家族一枚の応募用紙に、所在地と子供の名前、用途を書き込み、明日からの『創立祭』、三日間で申し込み、最終日に発表するそうだ。
予定個数にならなかったら、全員に。
多く応募があれば、抽選になるそうだ。
抽選に当たった家族は、通常よりも安く魔道具を購入できると言う流れだそうだ。
「明かりの魔道具は、ここ数年で、一家に一個から二個は、所有するようになった。けどな、魔道具に使う魔石は高額だ。だから、子供達が本を読みたくも、夜には読めない。窓辺の月明かりで読んでいるのを見かけてな…」
…分かる。
僕達は、光の魔道具が有るのが当たり前の生活をしているが、以前、熊族の町ベイエルで、夜、家の外、玄関前で本を読んでいる子供や、大人達を見かけた。
最初は何でだろう…って、思ってたけれど、家の中より外の月明かりの方が明るいからだ。
光魔法が使えても、集中力が切れると消えてしまうので、本を読みながら光魔法は使えないし、火魔法を家の中で使うのは危険すぎる…。
新しい家や、収入の多い家庭では、部屋に明かりの魔道具が設置され、魔力を与えると明かりが灯ったり、魔道具の光の魔石で部屋を明るくしたりと、夜でも家の中は明るい。
だが、子供達も働いて、家庭を支えている家では、そうは行かない。
だいたいの家庭では、明かりの魔道具を、みんなが集まる部屋や調理場で使っていて、寝室や自分の部屋にまで置いていないと言う…。
「それで今回、魔石ではなく『折り魔紙』の外灯なら、弱い魔力しか持っていない子供でも、明かりを付けることが出来る。魔力の練習にもなる。と、言う事で、『折り魔紙』の設置固定台だけ付けてもらって、魔石用のスイッチや魔石の固定台を付けてないんだ」
そう言ってヤナックさんは微笑む。
「そうすれば、簡単に量産出来るだろう」
なるほど…。
初期の外灯の形だ。
昔は、光の魔石に魔力を入れて、外灯の中心に置き、それを玄関に吊るしていた。
夜でも、家の入り口が分かるように、道標にするためだ。
外灯と言っても、個人の家の外灯だ。
今はスイッチ一つで、明かりが灯るようになっている。
「と、言っても、原材料はかかる。だから、最低限度の金額にして、生活も有るから、分割払いも出来るように考えている」
無料って、わけにはいかないからね…。
「そこで、君たち三人には、この外灯の魔道具の説明をしてもらいたい。ただたんに安く買えると言っても、使い方や、便利だと言うことを伝えなければ、分からないだろう」
確かに。
『折り魔紙』を見たことが無い人の方が多いだろうから、その扱い方の説明もするって事だよね。
「外灯の魔道具を実際に見てもらうため、広場の一区画を確保している。そこで実演して説明をするのが仕事だ」
えっ?
広場の一区画?
そして気がつけば、昼になっていて、ヤナックさんが呼びに来た。
「おお、頑張ってくれたな」
部屋の中にある、残っている外灯の数を見て言う。
後、一箱半!
今日は、追加は無いからね…。
実は、昨日、昼に別の仕事をして、戻ってきたら、外灯の入った箱が増えていた…。
部屋に入りきらないから、別の部屋に置いて有ったんだって!
僕が微笑むと、ヤナックさんはニヤリと笑って言う。
「今年は、夜でも明るい創立祭になりそうだ」
まあ、これだけの外灯を付ければね。
ふと、オルガは気になっていた事を聞いた。
「この外灯の魔道具、創立祭が終わっても、広場に出しておくんですか?」
「最小限を残して片付けるぞ」
片付けるのも大変だ。
もともと入っていた箱に入れれば良いだろうけど、置いておく場所も必要だ。
「この外灯の魔道具のほとんどは、中古と言うことで、販売するつもりだ」
「えっ?」
ヤナックさんは楽しそうに微笑んで言う。
中古として販売?
創立祭の数日間だけ使って、売ってしまうんだ。
「おまえ達の、昼からの仕事だ。昼飯を食べたら三人で、執務室の部屋に来てくれ。説明する」
「…分かりました」
そう言って、ヤナックさんは部屋を出ていった。
僕達の昼からの仕事?
オルガは食事に行き、後から来たアレイとフェイと一緒に食事をすると、ヤナックさんの話をして、三人で執務室へと向かった。
執務室で、ヤナックさんに説明されたのは、どうやって、外灯の魔道具を販売するか、だった。
隣にあるグオルクの役所と連携して、グオルクの学校に通う子供達に、中古の外灯の魔道具の、応募の用紙が配られるそうだ。
一家族一枚の応募用紙に、所在地と子供の名前、用途を書き込み、明日からの『創立祭』、三日間で申し込み、最終日に発表するそうだ。
予定個数にならなかったら、全員に。
多く応募があれば、抽選になるそうだ。
抽選に当たった家族は、通常よりも安く魔道具を購入できると言う流れだそうだ。
「明かりの魔道具は、ここ数年で、一家に一個から二個は、所有するようになった。けどな、魔道具に使う魔石は高額だ。だから、子供達が本を読みたくも、夜には読めない。窓辺の月明かりで読んでいるのを見かけてな…」
…分かる。
僕達は、光の魔道具が有るのが当たり前の生活をしているが、以前、熊族の町ベイエルで、夜、家の外、玄関前で本を読んでいる子供や、大人達を見かけた。
最初は何でだろう…って、思ってたけれど、家の中より外の月明かりの方が明るいからだ。
光魔法が使えても、集中力が切れると消えてしまうので、本を読みながら光魔法は使えないし、火魔法を家の中で使うのは危険すぎる…。
新しい家や、収入の多い家庭では、部屋に明かりの魔道具が設置され、魔力を与えると明かりが灯ったり、魔道具の光の魔石で部屋を明るくしたりと、夜でも家の中は明るい。
だが、子供達も働いて、家庭を支えている家では、そうは行かない。
だいたいの家庭では、明かりの魔道具を、みんなが集まる部屋や調理場で使っていて、寝室や自分の部屋にまで置いていないと言う…。
「それで今回、魔石ではなく『折り魔紙』の外灯なら、弱い魔力しか持っていない子供でも、明かりを付けることが出来る。魔力の練習にもなる。と、言う事で、『折り魔紙』の設置固定台だけ付けてもらって、魔石用のスイッチや魔石の固定台を付けてないんだ」
そう言ってヤナックさんは微笑む。
「そうすれば、簡単に量産出来るだろう」
なるほど…。
初期の外灯の形だ。
昔は、光の魔石に魔力を入れて、外灯の中心に置き、それを玄関に吊るしていた。
夜でも、家の入り口が分かるように、道標にするためだ。
外灯と言っても、個人の家の外灯だ。
今はスイッチ一つで、明かりが灯るようになっている。
「と、言っても、原材料はかかる。だから、最低限度の金額にして、生活も有るから、分割払いも出来るように考えている」
無料って、わけにはいかないからね…。
「そこで、君たち三人には、この外灯の魔道具の説明をしてもらいたい。ただたんに安く買えると言っても、使い方や、便利だと言うことを伝えなければ、分からないだろう」
確かに。
『折り魔紙』を見たことが無い人の方が多いだろうから、その扱い方の説明もするって事だよね。
「外灯の魔道具を実際に見てもらうため、広場の一区画を確保している。そこで実演して説明をするのが仕事だ」
えっ?
広場の一区画?
2
お気に入りに追加
84
あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる