眠っていた魔力紙を折紙みたいに折ったら、新しい魔法の使い方が出来たので、役立てます。

ゆう

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獣人の街グオルク ~創立祭~

創立祭の準備 3

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 黙々と『折り魔紙マシ』を折って、外灯の魔道具の中に『ツル』を設置して…。
 そして気がつけば、昼になっていて、ヤナックさんが呼びに来た。
「おお、頑張ってくれたな」
 部屋の中にある、残っている外灯の数を見て言う。
 後、一箱半!
 今日は、追加は無いからね…。
 実は、昨日、昼に別の仕事をして、戻ってきたら、外灯の入った箱が増えていた…。
 部屋に入りきらないから、別の部屋に置いて有ったんだって!
 僕が微笑むと、ヤナックさんはニヤリと笑って言う。
「今年は、夜でも明るい創立祭になりそうだ」
 まあ、これだけの外灯を付ければね。

 ふと、オルガは気になっていた事を聞いた。
「この外灯の魔道具、創立祭が終わっても、広場に出しておくんですか?」
「最小限を残して片付けるぞ」 
 片付けるのも大変だ。
 もともと入っていた箱に入れれば良いだろうけど、置いておく場所も必要だ。
「この外灯の魔道具のほとんどは、中古と言うことで、販売するつもりだ」
「えっ?」
 ヤナックさんは楽しそうに微笑んで言う。
 中古として販売?
 創立祭の数日間だけ使って、売ってしまうんだ。
「おまえ達の、昼からの仕事だ。昼飯を食べたら三人で、執務室の部屋に来てくれ。説明する」
「…分かりました」
 そう言って、ヤナックさんは部屋を出ていった。
 僕達の昼からの仕事?

 オルガは食事に行き、後から来たアレイとフェイと一緒に食事をすると、ヤナックさんの話をして、三人で執務室へと向かった。
 

 執務室で、ヤナックさんに説明されたのは、どうやって、外灯の魔道具を販売するか、だった。
 隣にあるグオルクの役所と連携して、グオルクの学校に通う子供達に、中古の外灯の魔道具の、応募の用紙が配られるそうだ。
 一家族一枚の応募用紙に、所在地と子供の名前、用途を書き込み、明日からの『創立祭』、三日間で申し込み、最終日に発表するそうだ。
 予定個数にならなかったら、全員に。
 多く応募があれば、抽選になるそうだ。
 抽選に当たった家族は、通常よりも安く魔道具を購入できると言う流れだそうだ。
「明かりの魔道具は、ここ数年で、一家に一個から二個は、所有するようになった。けどな、魔道具に使う魔石は高額だ。だから、子供達が本を読みたくも、夜には読めない。窓辺の月明かりで読んでいるのを見かけてな…」
 …分かる。
 僕達は、光の魔道具が有るのが当たり前の生活をしているが、以前、熊族の町ベイエルで、夜、家の外、玄関前で本を読んでいる子供や、大人達を見かけた。
 最初は何でだろう…って、思ってたけれど、家の中より外の月明かりの方が明るいからだ。
 光魔法が使えても、集中力が切れると消えてしまうので、本を読みながら光魔法は使えないし、火魔法を家の中で使うのは危険すぎる…。
 新しい家や、収入の多い家庭では、部屋に明かりの魔道具が設置され、魔力を与えると明かりが灯ったり、魔道具の光の魔石で部屋を明るくしたりと、夜でも家の中は明るい。
 だが、子供達も働いて、家庭を支えている家では、そうは行かない。
 だいたいの家庭では、明かりの魔道具を、みんなが集まる部屋や調理場で使っていて、寝室や自分の部屋にまで置いていないと言う…。
「それで今回、魔石ではなく『折り魔紙マシ』の外灯なら、弱い魔力しか持っていない子供でも、明かりを付けることが出来る。魔力の練習にもなる。と、言う事で、『折り魔紙マシ』の設置固定台だけ付けてもらって、魔石用のスイッチや魔石の固定台を付けてないんだ」
 そう言ってヤナックさんは微笑む。
「そうすれば、簡単に量産出来るだろう」
 なるほど…。
 初期の外灯の形だ。
 昔は、光の魔石に魔力を入れて、外灯の中心に置き、それを玄関に吊るしていた。
 夜でも、家の入り口が分かるように、道標にするためだ。
 外灯と言っても、個人の家の外灯だ。
 今はスイッチ一つで、明かりが灯るようになっている。

「と、言っても、原材料はかかる。だから、最低限度の金額にして、生活も有るから、分割払いも出来るように考えている」
 無料って、わけにはいかないからね…。
「そこで、君たち三人には、この外灯の魔道具の説明をしてもらいたい。ただたんに安く買えると言っても、使い方や、便利だと言うことを伝えなければ、分からないだろう」
 確かに。
 『折り魔紙マシ』を見たことが無い人の方が多いだろうから、その扱い方の説明もするって事だよね。
「外灯の魔道具を実際に見てもらうため、広場の一区画を確保している。そこで実演して説明をするのが仕事だ」
 えっ?
 広場の一区画?
 




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