眠っていた魔力紙を折紙みたいに折ったら、新しい魔法の使い方が出来たので、役立てます。

ゆう

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獣人の街グオルク ~創立祭~

創立祭の準備 2

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 気がつけば、外は少し日が陰り始めていた。
 廊下に置かれている、外灯の魔道具置き場は、置ける場所がなくなり、部屋内に置かれた設置前の魔道具の量は半分以下になっていた。
 明日もこの調子で『折り魔紙マシ』を折って準備しないと…。
 そう思っていると、疲れた様子の、尻尾をだらんと下げたフェイがふらふらとオルガを呼びに来た。
「…夕食…食べに…行こう…」
「うん。大丈夫?」
「ああ。お腹…空いた…」
 空腹でふらふらなんだね…。
 オルガは微笑むと、フェイと一緒に食堂に向かった。

 
 後から来たアレイも交えて夕食を食べ終わると、疲れた身体を休めるために、宿に向かって食堂を出た。
 今から夕食の人達も、疲れた様子で食堂に入っていく…。
 さっきのフェイとアレイみたいだ。
 でも、食事も準備してくれるのって、有りがたいよね…。
 それに、『創立祭』の準備のために、近い宿を一棟借りしてくれる理由が分かる気がする。
 疲れていても、歩いて帰れる距離って、ありがたい…。

 『リマ商会』を出ると、薄暗くなってきた広場に、外灯が灯り始めていた。
「「「…綺麗…」」」
 『リマ商会』を出たすぐの広場に、いくつもの出店でみせが並ぶ中、薄暗くなった空に、暖かな優しい光が辺りを照らし、地上を照らして、そこだけが昼間のようだった。
 それは、オルガが折っていた『折り魔紙マシ』を設置した、魔道具の外灯だった。
 広場は外灯の魔道具が等間隔で並べられ、光を放って作業しやすいように、広場を明るくしていた。
 よく見ると、外灯に光魔法を放って、明かりを灯している人がいる…。
 僕が折った『折り魔紙マシ』が広場を明るくしている…。
 これだけ並べられると圧巻だ。
「幻想的だな…」
「綺麗だ…」
「すごいね…」
 これだけの外灯の魔道具を準備するだけでも大変だ。
 それを一つづつ、広場に設置して行こうと思うと、かなりの労力もかかる…。
 僕は『折り魔紙マシ』折って、魔道具の中に設置するだけだから、それほど手間はかからない…。
 初め見たときは、数の多さにびっくりしたけれど…。
「それだけ『創立祭』に力を入れているんだろう」
 一年に一度の大きな催し物だもんな…。
 それに、まだ全部設置し終わっていない…。
 全部が設置し終えたら、どれだけ明るくなるんだろう…。
 へへっ…。
 なんだか嬉しいな…。
 自分が『折り魔紙マシ』が、こうやって役立ってくれて…。
 しばらく眺めていると、辺りが暗くなり、夜の暗闇に外灯の明かりが眩しいくらいだった。
「…広場は、このままなのかな…」
 出店でみせの準備をして、商品も置いてある店もある…。
「時間になったら、結界を張って、出入りできなくするって言ってたよ。結界を張っても、夜番の警備は付くみたいだけど…」
 そうだよね。
 これだけの広場で、何かあったら大変だ。
 警戒するに越したことはない…。
「…帰ろうぜ」
「そうだな…」
「うん。シャワー浴びたい!」
 ぼんやりと外灯の明かりを眺めていたい気もするが、今はまだ、準備中…。
 三人は、ぶらぶらと歩きながら宿へと戻った。

 そして、部屋に戻って、順番にシャワーを浴びて、ベットに寝転びながら、今日あった事を話している内に、疲れもあってか、三人とも早々に眠ってしまった。



 翌日は、昨日の続き。
 アレイとオルガは広場の屋台の設営の手伝い。
 僕は昨日の部屋で『折り魔紙マシ』の『ツル』を折って、外灯の魔道具に設置する。
 朝の確認では、今日の昼までに出来るだけ折って欲しいと、ヤナックさんに言われた。
 昼からは、僕も広場の手伝いになるようだ。
 そして部屋の前に来ると、昨日置いてあった外灯はすべて無くなっていた。
 出来上がっている分だけ、昨日の内に設置し終えたんだ。
 よし、今日も頑張って折るぞ!

  
 



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