眠っていた魔力紙を折紙みたいに折ったら、新しい魔法の使い方が出来たので、役立てます。

ゆう

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獣人の街グオルク ~創立祭~

猫族の町ミルーシャ 2 ~短剣~

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 ツタにおおわれた家の呼鈴を鳴らして、しばらくすると、ギーッと音をたてて、扉が開き始めた。
 ドキドキしながら扉が開くのを待つ。
 扉から姿を現したのは、ヨレヨレの服を着た、背の高い兎族の男の人だった。


「何か用?」
 彼はめんどくさそうに聞いてくる。
「えっと、ザザさんですか?」
「そうだけど…」
 間違いない。
 やっぱりココであっている。
 オルガは、ポーチの中からヨウドさんにもらった紹介状の手紙を取り出す。
 彼はそれを受け取って、中を開くと目を通し、大きなタメ息を付いて、扉を大きく開けた。
「どうぞ」
 ザザさんに促されて僕達は家の中に入った。
 何が書かれていたのかは知らないが、フェイの魔力に合う短剣があると言いな…。

 家の中に入って直ぐの、右の壁には、いくつもの剣や短剣などが飾られていて、その下の木箱に、同じような剣や短剣が無造作に入れられていた。
 整頓されているような、いないような…。 
 正面には小さなカウンターが有り、左手には日常的に使うようなフォークやナイフが置かれていて、思わず首をかしげた。
 なんだろう…。
 不思議な店…。
「そこの箱の中から好きなのを選べ」
 ザザさんが、カウンターから、ぶっきらぼうに右の壁下に有る木箱を指差す。
 木箱は三箱有り、この中から選べば良いってことだろうか…。
「「「…。」」」
 三人は顔を組み合わせ、取り敢えず見るか…と、アレイとフェイが、しゃがみこんだ。
 アレイとフェイがしゃがんで箱の中を覗きながら、短剣を取り出し、手に持って見始めた。
 僕はそれより、右の壁にかかっていた、短剣に目を奪われ、気になっていた。
「…。」
 なんて綺麗な色をしているんだろう…。
 短剣自体はシンプルなデザインだが、鞘に入った短剣の周りを、青色と水色の二色がうっすらと光を放ち、包むように輝いていた。
 何で光っているのか分からない…。
 特に、魔石が嵌め込まれているわけでもないのに…。
「あの…この短剣…触ってみても良いですか?」
 オルガは壁にかけられた短剣を指差す。
 壁にかけてあると言うことは、見せるためのモノだろうけれど、気になるし、ちょっと触って持ってみたい…。
 そう思った。
「良いぜ」
 そう言ってザザさんが、棚にかけてあった短剣をヒョイと取り、僕に渡してきた。
「鞘を抜いてみろ」
 ザザさんがそう言ったので、オルガは短剣を両手でそっと受け取った。
 思ったほど重くはない。
 左手で鞘を持って、右手で短剣を抜いてみた。
 するりと抜けた短剣の刃が、光を放ち輝き出した。
「「「!?」」」
 箱の中から短剣を選んでいたアレイもフェイも、その光に驚いて眩しそうに目を細め、手を止めた。
 そして直ぐに光が収まると、鞘から抜いた短剣の刃が混じらない青色と水色に輝いていた。
「「「…。」」」
 三人はその短剣を凝視する。
 不思議な短剣だ…。
 手に収まる、しっくりとした感じにオルガは首を傾げた。
 持ちやすくて、手に馴染む…。
 それにしても…。
「…鞘から剣を抜くと光る?」
「そんなわけ有るか!」
 ザザさんが隣で頭を押さえている。
 どういう意味だろう…。
「えっと…名前は」
「僕はオルガ。『クルーラ』から来ました」
「ああ。ヨウドのヤツが『クルーラ』に居るって言ってたな…」
 ザザさんが手を出したので、オルガは短剣を鞘に終い、ザザさんに手渡す。
「受け取りと請求書はヨウドに渡しておく」
「はぁ?」
 いったいどう言う意味だろう…。
「あの…」
 オルガが戸惑いながら聞くとザザさんが教えてくれた。

 この店に置いてある剣は、魔石の粉や欠片を利用して作られた剣で、属性の適正が有れば剣が反応するんだそうだ。
 混ぜられた魔石の分量の対比が、その人の魔力属性の比率と同じ場合、魔力を剣に通しやすく、魔力の負担が軽減されるのだと言う…。
 と、言うことは、その短剣と僕の魔力対比が同じと言うこと…?
 そして、その剣との対比が同じで、反応した場合、相手に剣を売るそうだ。
 なかなか、適合する人は見つからないからだって…。
「…。」
 ザザさんは、そそくさと短剣を箱に入れ、梱包し始めた。
 良いのかな…。
 あっ、でも後で、僕がお金を払えば良いか。
 折り魔紙マシの制作手数料が有るから、何か欲しいものが有ったら言えよ。と、ヒナキさんには言われている。
 うん。そうしよう…。
 フェイの短剣を見に来たのに、僕のになってしまった…。

 ふと見ると、フェイは箱の中から短剣を三本選んだみたいで、テーブルの上に置いて、悩んでいた。
 短剣は一つの予定だから、迷っているのか…。
「どれかに決めれないんだよな…」
 そうフェイがボヤいた声に、ザザさんが反応した。
「そうきたか…」
 …何が?


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