118 / 182
熊族の町ベイエル
オルガの目標
しおりを挟む
オルガが店の扉を開けると、右奥のソファーに座るヒナキさんと目が合った。
「ただいま!」
ベイエルは楽しかったけれど、やっぱり僕が帰ってくる場所は、ココ…。
帰る場所だと思える所…。
「お帰り」
ヒナキさんがニコニコと微笑む。
その笑顔を見て、帰ってきた…そう思えるほどに…。
オルガが、ヒナキの側のソファーに座ると、遅れてシュウベルさんが店の中に入ってきた。
「お迎え、ご苦労様」
ヒナキさんがそう言うと、シュウベルさんが苦笑いして言う。
「俺が行って良かったよ」
うん。
シュウベルさんが迎えに来てくれて良かった。
「なに…」
ヒナキさんが、シュウベルさんを睨み付ける。
えっと…。
ベイエルの三つ眼の獣の話は、まだ、伝わって無いんだ…。
と言うか、今、着いたばかりだもんね。
シュウベルさんが、ヒナキさんの前のソファーに座ると、アレクさんが、慌てた様子で店の中に入ってきた。
「お帰り。オルガ。無事に帰ってこれて良かった…」
本当ならば、一緒に行く予定だったアレクさん。
一応、一人?でのお出かけだったから、不安だったようだ。
オルガは熊族の町ベイエルに行って、果樹園の収穫を手伝った話や、学校で習った魔法の話、お菓子屋さん巡りをした話をして、最後にマロイ湖に釣りをしに行って、三つ眼の獣に遭遇した話をしだしたら、ニコニコと話を聞いていた、ヒナキさんとアレクさんの顔色が悪くなっていった。
ちゃんと帰ってこれたからね。
魔法を習っていて、体力作りをしていて良かったと実感したからね。
これからも頑張って練習するからね。
そして出掛ける時に渡された、ブレスレットを両方外して机の上に置く。
これのおかげで、最初の一撃を受けなかった。
無かったと思ったらゾッとした。
ココに帰って来れなかったかもしれない…。
対物用のブレスレットは使ってしまってので、再度魔法をかけて、構築しておいてくれるそうだ。
そしてオルガは決意が揺らがないうちにお願いする。
「だからね、守りたい者を守れる魔法…。僕でも出来そうな魔法を教えて欲しい!」
自分から誰かのために、魔法を習いたいと思ったのは始めてかもしれない。
空を飛んでみたい、水魔法で水撒き、風魔法で荷物を運ぶなど、自分の生活のために、使えると便利な魔法を教わってきた。
ヒナキさん達も、生活するのに使える基本の魔法を教えてくれていた。
三つ眼の獣は怖いから、戦いたいとは思わない。
だけど、僕が使える魔法で、誰かを守れるなら…。
守ることが出来るなら、教わって、守りたい。
「そうだな…。そろそろ次の段階の魔法を教えようか」
ヒナキさんがそう言うと、アレクさんも頷く。
「後方支援の魔法系だったら、オルガの負担にはならないんじゃないか?」
「それより先に、防御魔法だ!」
シュウベルさんが口を挟む。
「水魔法か、風魔法での防御魔法が先だ!魔法で自分の身を守れなければ、誰かを守るなんて無理だぞ!」
呆れたように言う。
「それもそうだな…」
そうだね…。
一回きりの、対物理攻撃や対魔法攻撃用の、護身用のブレスレット頼りでは、長期戦には弱い…。
まずは、自分を守る防御魔法を習って、守りたいモノも守れるように習って…。
シュウベルさんは苦笑いしながら言う。
「こっちで教えて良いのなら、『青の館』での訓練に、付け加えるぞ。防御魔法を練習している奴らも居るしな…」
「それなら『青の館』の方でよろしく!」
「その方が、実戦的だしな…」
ヒナキさんとアレクさんが、ウンウンと頷いている。
まあ『青の館』の人達は、専門職だし、教わるのなら、その方が良いのかも…。
オルガはシュウベルさんの方を見て言う。
「よろしくお願いします!」
その後、お土産の話になり、明日、持ってくるからと約束して、オルガは『白の館』へと戻った。
獣馬車の中で、ずっと眠っていたから、だいぶん魔力は回復してきている。
とは言え、まだ体調は不調のまま…。
お風呂に入って、早めの夕食を食べて、今日は早く寝よう…。
シュウベルさんに防御魔法を教えてもらう約束をして、『青の館』で風の防御魔法と、水の防御魔法を習い始めた。
今までの基礎練習をしっかりとしていたから、コツとイメージさえ分かれば、難なく習得した。
後は防御魔法の強度。
今は、一回の攻撃なら防げるけれど、その一回で防御魔法が霧散してしまう…。
強度を上げるため頑張るぞ!
そしてベイエルでの三つ眼の獣の騒動のあと、防御魔法を習い始めてから、三年の月日が流れ、オルガは十六歳になっていた。
☆☆☆☆☆
オルガが一人?でベイエルに行って、いつもと少し違うことを体験して、少しづつ成長していきます。
そしてやっと、獣人の街グオルクでの話になります。
リーンの子供や孫達が出てくる予定です。
次は『獣人の街グオルク』編です。
「ただいま!」
ベイエルは楽しかったけれど、やっぱり僕が帰ってくる場所は、ココ…。
帰る場所だと思える所…。
「お帰り」
ヒナキさんがニコニコと微笑む。
その笑顔を見て、帰ってきた…そう思えるほどに…。
オルガが、ヒナキの側のソファーに座ると、遅れてシュウベルさんが店の中に入ってきた。
「お迎え、ご苦労様」
ヒナキさんがそう言うと、シュウベルさんが苦笑いして言う。
「俺が行って良かったよ」
うん。
シュウベルさんが迎えに来てくれて良かった。
「なに…」
ヒナキさんが、シュウベルさんを睨み付ける。
えっと…。
ベイエルの三つ眼の獣の話は、まだ、伝わって無いんだ…。
と言うか、今、着いたばかりだもんね。
シュウベルさんが、ヒナキさんの前のソファーに座ると、アレクさんが、慌てた様子で店の中に入ってきた。
「お帰り。オルガ。無事に帰ってこれて良かった…」
本当ならば、一緒に行く予定だったアレクさん。
一応、一人?でのお出かけだったから、不安だったようだ。
オルガは熊族の町ベイエルに行って、果樹園の収穫を手伝った話や、学校で習った魔法の話、お菓子屋さん巡りをした話をして、最後にマロイ湖に釣りをしに行って、三つ眼の獣に遭遇した話をしだしたら、ニコニコと話を聞いていた、ヒナキさんとアレクさんの顔色が悪くなっていった。
ちゃんと帰ってこれたからね。
魔法を習っていて、体力作りをしていて良かったと実感したからね。
これからも頑張って練習するからね。
そして出掛ける時に渡された、ブレスレットを両方外して机の上に置く。
これのおかげで、最初の一撃を受けなかった。
無かったと思ったらゾッとした。
ココに帰って来れなかったかもしれない…。
対物用のブレスレットは使ってしまってので、再度魔法をかけて、構築しておいてくれるそうだ。
そしてオルガは決意が揺らがないうちにお願いする。
「だからね、守りたい者を守れる魔法…。僕でも出来そうな魔法を教えて欲しい!」
自分から誰かのために、魔法を習いたいと思ったのは始めてかもしれない。
空を飛んでみたい、水魔法で水撒き、風魔法で荷物を運ぶなど、自分の生活のために、使えると便利な魔法を教わってきた。
ヒナキさん達も、生活するのに使える基本の魔法を教えてくれていた。
三つ眼の獣は怖いから、戦いたいとは思わない。
だけど、僕が使える魔法で、誰かを守れるなら…。
守ることが出来るなら、教わって、守りたい。
「そうだな…。そろそろ次の段階の魔法を教えようか」
ヒナキさんがそう言うと、アレクさんも頷く。
「後方支援の魔法系だったら、オルガの負担にはならないんじゃないか?」
「それより先に、防御魔法だ!」
シュウベルさんが口を挟む。
「水魔法か、風魔法での防御魔法が先だ!魔法で自分の身を守れなければ、誰かを守るなんて無理だぞ!」
呆れたように言う。
「それもそうだな…」
そうだね…。
一回きりの、対物理攻撃や対魔法攻撃用の、護身用のブレスレット頼りでは、長期戦には弱い…。
まずは、自分を守る防御魔法を習って、守りたいモノも守れるように習って…。
シュウベルさんは苦笑いしながら言う。
「こっちで教えて良いのなら、『青の館』での訓練に、付け加えるぞ。防御魔法を練習している奴らも居るしな…」
「それなら『青の館』の方でよろしく!」
「その方が、実戦的だしな…」
ヒナキさんとアレクさんが、ウンウンと頷いている。
まあ『青の館』の人達は、専門職だし、教わるのなら、その方が良いのかも…。
オルガはシュウベルさんの方を見て言う。
「よろしくお願いします!」
その後、お土産の話になり、明日、持ってくるからと約束して、オルガは『白の館』へと戻った。
獣馬車の中で、ずっと眠っていたから、だいぶん魔力は回復してきている。
とは言え、まだ体調は不調のまま…。
お風呂に入って、早めの夕食を食べて、今日は早く寝よう…。
シュウベルさんに防御魔法を教えてもらう約束をして、『青の館』で風の防御魔法と、水の防御魔法を習い始めた。
今までの基礎練習をしっかりとしていたから、コツとイメージさえ分かれば、難なく習得した。
後は防御魔法の強度。
今は、一回の攻撃なら防げるけれど、その一回で防御魔法が霧散してしまう…。
強度を上げるため頑張るぞ!
そしてベイエルでの三つ眼の獣の騒動のあと、防御魔法を習い始めてから、三年の月日が流れ、オルガは十六歳になっていた。
☆☆☆☆☆
オルガが一人?でベイエルに行って、いつもと少し違うことを体験して、少しづつ成長していきます。
そしてやっと、獣人の街グオルクでの話になります。
リーンの子供や孫達が出てくる予定です。
次は『獣人の街グオルク』編です。
2
お気に入りに追加
72
あなたにおすすめの小説
超時空スキルを貰って、幼馴染の女の子と一緒に冒険者します。
烏帽子 博
ファンタジー
クリスは、孤児院で同い年のララと、院長のシスター メリジェーンと祝福の儀に臨んだ。
その瞬間クリスは、真っ白な空間に召喚されていた。
「クリス、あなたに超時空スキルを授けます。
あなたの思うように過ごしていいのよ」
真っ白なベールを纏って後光に包まれたその人は、それだけ言って消えていった。
その日クリスに司祭から告げられたスキルは「マジックポーチ」だった。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
見よう見まねで生産チート
立風人(りふと)
ファンタジー
(※サムネの武器が登場します)
ある日、死神のミスにより死んでしまった青年。
神からのお詫びと救済を兼ねて剣と魔法の世界へ行けることに。
もの作りが好きな彼は生産チートをもらい異世界へ
楽しくも忙しく過ごす冒険者 兼 職人 兼 〇〇な主人公とその愉快な仲間たちのお話。
※基本的に主人公視点で進んでいきます。
※趣味作品ですので不定期投稿となります。
コメント、評価、誤字報告の方をよろしくお願いします。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる