眠っていた魔力紙を折紙みたいに折ったら、新しい魔法の使い方が出来たので、役立てます。

ゆう

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熊族の町ベイエル

お迎え ~シュウベル~

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 シュウベルは『クルーラ』から熊族の町ベイエルに向かう定期便の獣馬車に乗っていた。
 客ではなく、護衛としてだ。
 朝早く『クルーラ』を出て、よほどの事がなければ、昼過ぎにはベイエルにたどり着く。
 シュウベルは、のんびりとしながら獣馬車に乗っていた。
 本来、シュウベルの仕事は『クルーラ』の警護だ。
 なのだが、ベイエルに居る「オルガを迎えに行く」と言う依頼を、過保護なヒナキさんに言い渡され、迎えに行くのでも有った。
 途中、小さな集落をいくつか経由して、ベイエルの一つ手前の集落を出ると、急に獣馬車の獣馬のスピードが上がった。
「どうした?」
「何故かわからないです。急に…」
 一緒にベイエルに向かっていた御者が戸惑いを見せた。
 獣馬がこんな風に、御者の制御を聞かないことはない…。
 俺達には気付かない、何か有ったのか…?
「まあ、早く到着する分には支障はないだろ…」
 と、言うことで、獣馬の好きに走らせた。


 獣馬の好きに走らせていたら、昼前に、熊族の町ベイエルの正門が見えてきた。
 御者は、過去最速だと驚いていた。
 だが、ベイエルに近付くにつれ、町の様子がおかしいことに気がついた。
 正門が半分閉められ、馬車が一台通れるだけしか開いていない…。
 それに、警備隊の人数が、いつもより多い気がした。
「何か有ったのか?」
 シュウベルは胸騒ぎと共に、ベイエルの正門を潜った。

 『クルーラ』からの定期便の停車場にたどり着くと、獣馬が身体を震えさせた。
 なんだ?
 いつもより早く走ったから、疲れているのか?
 それとも何か気になる事があるのか?
 御者は到着の手続きをしに降り、シュウベルは獣馬に水を持ってきて飲ませながら首筋を撫でた。
 今日はココで泊まるから、安心するように…と。
 すると、どこからともなく『ヒコウキ』がふらふらと、不安定な飛びかたをして飛んできて、シュウベルの身体にぶつかるり、足元に落ちた。
「うん?」
 シュウベルが、屈んで『ヒコウキ』を手に取り青ざめた。
 これはオルガの魔力!
 微かだけど、俺達が間違うはずない!
 『ヒコウキ』は誰かに連絡をしたり、救難信号として使われる!
 オルガに何か有ったのか!?
「シュウベルさん!」
 到着手続きをしに行った御者が慌てて戻ってくる。
「三つ眼の獣が出たって!それもオルガとアレイ君から救助要請が来たって!」
 なんだと!?
「場所は!」
「マロイ湖へ向かう途中!」
 シュウベルは獣馬と馬車を繋いでいたベルトを外し、獣馬に飛び乗る。
「ニケ。頼むぞ」
 シュウベルがそう言って身体を叩くと、少し落ち着いたのか、獣馬のニケは歩き出した。
「行ってくる!」
 シュウベルは手綱を引いて、獣馬に向かう方向を指示する。
 俺が行っても何か出来るわけではないが、救助されるのをじっと待っているなんて出来ない…。
 シュウベルは、マロイ湖が有る、犬族の村に向かう門に向かって、獣馬を走らせた。
 

 獣馬のニケは、普段、馬車を引っ張って、町や村を繋ぐ街道を走り、俺達を目的地に連れていってくれる、賢い獣馬だ。
 もともとは、時々『クルーラ』周辺に現れる、暴れ馬だった。
 暴れて手がつけられなかったが、餌が与えられ、ブラシをかけてくれ、清潔な小屋で暮らせると知ってから、おとなしくなった。
 その代わりに、馬車を引っ張って、移動するのを仕事として手伝ってほしいとお願いしたら、言うことを聞いてくれ、今に至る。
 時々、駄々をこねるが…。
 街道を行き来しないときは、警備隊の誰かを乗せて『クルーラ』周辺を走り回ったり、青の館の訓練場で、一緒に乗馬を訓練をしたりもしている。
 運動不足にならないようにだ。
 なので、警備隊の者なら、大概の獣馬を乗りこなす。
 シュウベルと獣馬のニケは、馬車通りを走り、犬族側の警備隊の詰所に向かった。
 ココならば、正確な情報が得れるからだ。

 獣馬に乗って駆けるシュウベル達に、住人は道を開けてくれた。
 三つ眼の獣が出没したのを聞いているから、討伐隊が集まっているからだ。
 詰所にたどり着くと、詰所周辺は、熊族の警備隊が集まっていた。
 シュウベルが獣馬で建物に駆け寄ると、詰所の中から見知った顔がこちらを覗いた。
 アレクの兄弟、一番上のアラカだ。
 シュウベルは獣馬を降りて、彼に近付く。
「オルガは!」
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