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熊族の町ベイエル
魔法の授業 2
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そして、フウさんが僕達に言った。
「お前達は少し休憩したら、次の課題だ」
意外とスパルタだ…。
十秒、板に乗れた僕達の次の課題は、二手に別れた。
一つは、水魔法で水の表面を固定する練習。
そして、その上に乗る事が課題だ。
もう一つは、風魔法で、身体を浮かせる練習。
そして、移動することが課題だ。
オルガとリシトは風魔法を選択。
オルガは、弱い魔力で身体全身を包んで、少しづつ身体を浮上させた。
『クルーラ』でも、この練習をしていたので、魔力調整させ出来れば、浮遊することは出来る。
身体も、熊族周辺の魔素量に慣れてきたのか、制御しやすくはなっている。
なんとか拳一つ分くらい浮き上がると、その状態を維持するよう言われ、じっと我慢する。
常に一定の魔力を全身にまとい、心を落ち着かせる。
浮き上がる時の魔力量を覚えるためにだ。
多くならないように…少なくならないように…。
どれだけの時間が経ったのだろう…。
前半の授業が終わり、休憩時間だと言われて力を抜いた。
浮いていた身体が地面に接地し、力が抜けてその場に座り込んだ。
魔力を一定に保つのは、気を張るので疲れてしまう…。
「はぁ…」
オルガが大きなタメ息を付くと、フウさんが頭をくしゃくしゃと撫でる。
「毎日、数分で良いから、浮遊するための魔力量を一定に保てるよう練習だな。一瞬で浮遊出来る魔力をまとえるようになれば、移動のための力を加えるだけで、自由に動けるようになるぞ」
「…うん。頑張る」
隣を見れば、リシトが地面に寝そべって荒い息をしていた。
慣れないと、魔力も体力も使うよね…。
辺りを見回せば、皆、ため池の回りで同じ様に、ぐったりと寝転んでいる。
後半の授業…体力が持つかな…。
休憩して、少し落ち着いてくる頃、フウさんとスイさんが、飲み物を持ってきてくれた。
そして二人は、休憩しているみんなに配り歩いている。
動けない僕達の為に、取りに行ってくれたようだ。
そして配り終わると、スイさんが言った。
「板に乗るとき、魔法を使ったか?」
「「「…。」」」
使っていない…。
魔法の練習なのに…。
板に乗ることに必死になっていて、使っていない…。
「魔法禁止とは言ってないぞ」
そう、言われていない…。
使って良いのか、聞きもしなかった…。
「魔力を普段から微弱に使えば、良い訓練になるんだ。他の練習中にでも、使えそうだと思ったら、担当に聞いてみろよ」
生活の一部に、自然と魔法を使えるようになるのが一番だもんな…。
そう言えば、果物の収穫の時、カゴに入れるのに、風魔法を使って入れて、密かに練習したよな…。
その感覚で良いのか…。
「後半は、魔力調整をしながら、板に乗る練習だ。どんな風に魔法を使えば、水の上の板に乗れると思う?」
スイさんが問う。
「…風魔法で、バランスをとる」
「ああ、それも方法の一つだ。他には?」
「風魔法で板を真っ直ぐに固定させる」
「水魔法で、水を固めれる…かな…」
「板の下だけ、凍らせるとか…」
思いつくまま、出来そうな方法を口にする。
スイさんは微笑んで言う。
「考えるのも魔法の練習の一つだ。どんな方法が自分に合っているか試しながら、自分にとって使いやすい魔法を見極めていくんだ」
「「「はい!」」」
一人では思いつかない方法も、意見を出しあって教えてもらえば、どれかが自分に合っているかも知れないから、いろいろと試してみよう。
「ちなみに、風魔法でも、水の上は移動できるぞ」
風魔法で水の上を移動…?
フウさんがそう言って、風魔法で板を引き寄せ、ため池の水の上に浮かべる。
そしてふわりと板の上に乗ると、風魔法を使って前に進みだし、水飛沫を上げて水の上を滑るように移動した。
「「おおっ…」」
カッコいい!
そんな方法でも、水の上を移動出来るんだ!
別に水の上を歩けなくても良いんだ…。
「水魔法でも同じことは出来るよ」
そう言ってスイさんが、風魔法で板を引き寄せ、同じ様に水の上に板を置くと、水の上を歩いて板に乗り、水魔法で水面を動かした。
緩やかにだが、移動が出きてる…。
風魔法ほど早くはないが、静かに、気付かれないように移動するときには良いのかも知れない…。
「コレに風魔法を加えると…」
スイさんがそう言って、スピードを上げた。
水面は穏やかなのに、フウさんと同じくらいの早さで移動していく…。
フウさんの場合は、水飛沫を上げているのに…。
どの魔法を使うかで、コレだけ変わるんだ…。
無理して水面を歩かなくても、板に乗って移動すれば良いんだ…。
『水面を移動する』と言っても、方法は色々有る…と、言うことを教えてくれたのかも知れない…。
もっと柔軟に考えないと…。
そんな事を思いながら二人を見ていると、ニコニコと、ため池の水面を移動していた。
…なんだか楽しそう…。
後半はちょっとだけ、板に乗って風魔法で移動を練習してみて、浮遊の風魔法の移動を練習しよう…。
そう思っていたら、アレイがニコニコと、ため池の方に向かって歩いて来た。
あれ?
後半も、魔法剣の練習をするって言ってたのに…。
「お前達は少し休憩したら、次の課題だ」
意外とスパルタだ…。
十秒、板に乗れた僕達の次の課題は、二手に別れた。
一つは、水魔法で水の表面を固定する練習。
そして、その上に乗る事が課題だ。
もう一つは、風魔法で、身体を浮かせる練習。
そして、移動することが課題だ。
オルガとリシトは風魔法を選択。
オルガは、弱い魔力で身体全身を包んで、少しづつ身体を浮上させた。
『クルーラ』でも、この練習をしていたので、魔力調整させ出来れば、浮遊することは出来る。
身体も、熊族周辺の魔素量に慣れてきたのか、制御しやすくはなっている。
なんとか拳一つ分くらい浮き上がると、その状態を維持するよう言われ、じっと我慢する。
常に一定の魔力を全身にまとい、心を落ち着かせる。
浮き上がる時の魔力量を覚えるためにだ。
多くならないように…少なくならないように…。
どれだけの時間が経ったのだろう…。
前半の授業が終わり、休憩時間だと言われて力を抜いた。
浮いていた身体が地面に接地し、力が抜けてその場に座り込んだ。
魔力を一定に保つのは、気を張るので疲れてしまう…。
「はぁ…」
オルガが大きなタメ息を付くと、フウさんが頭をくしゃくしゃと撫でる。
「毎日、数分で良いから、浮遊するための魔力量を一定に保てるよう練習だな。一瞬で浮遊出来る魔力をまとえるようになれば、移動のための力を加えるだけで、自由に動けるようになるぞ」
「…うん。頑張る」
隣を見れば、リシトが地面に寝そべって荒い息をしていた。
慣れないと、魔力も体力も使うよね…。
辺りを見回せば、皆、ため池の回りで同じ様に、ぐったりと寝転んでいる。
後半の授業…体力が持つかな…。
休憩して、少し落ち着いてくる頃、フウさんとスイさんが、飲み物を持ってきてくれた。
そして二人は、休憩しているみんなに配り歩いている。
動けない僕達の為に、取りに行ってくれたようだ。
そして配り終わると、スイさんが言った。
「板に乗るとき、魔法を使ったか?」
「「「…。」」」
使っていない…。
魔法の練習なのに…。
板に乗ることに必死になっていて、使っていない…。
「魔法禁止とは言ってないぞ」
そう、言われていない…。
使って良いのか、聞きもしなかった…。
「魔力を普段から微弱に使えば、良い訓練になるんだ。他の練習中にでも、使えそうだと思ったら、担当に聞いてみろよ」
生活の一部に、自然と魔法を使えるようになるのが一番だもんな…。
そう言えば、果物の収穫の時、カゴに入れるのに、風魔法を使って入れて、密かに練習したよな…。
その感覚で良いのか…。
「後半は、魔力調整をしながら、板に乗る練習だ。どんな風に魔法を使えば、水の上の板に乗れると思う?」
スイさんが問う。
「…風魔法で、バランスをとる」
「ああ、それも方法の一つだ。他には?」
「風魔法で板を真っ直ぐに固定させる」
「水魔法で、水を固めれる…かな…」
「板の下だけ、凍らせるとか…」
思いつくまま、出来そうな方法を口にする。
スイさんは微笑んで言う。
「考えるのも魔法の練習の一つだ。どんな方法が自分に合っているか試しながら、自分にとって使いやすい魔法を見極めていくんだ」
「「「はい!」」」
一人では思いつかない方法も、意見を出しあって教えてもらえば、どれかが自分に合っているかも知れないから、いろいろと試してみよう。
「ちなみに、風魔法でも、水の上は移動できるぞ」
風魔法で水の上を移動…?
フウさんがそう言って、風魔法で板を引き寄せ、ため池の水の上に浮かべる。
そしてふわりと板の上に乗ると、風魔法を使って前に進みだし、水飛沫を上げて水の上を滑るように移動した。
「「おおっ…」」
カッコいい!
そんな方法でも、水の上を移動出来るんだ!
別に水の上を歩けなくても良いんだ…。
「水魔法でも同じことは出来るよ」
そう言ってスイさんが、風魔法で板を引き寄せ、同じ様に水の上に板を置くと、水の上を歩いて板に乗り、水魔法で水面を動かした。
緩やかにだが、移動が出きてる…。
風魔法ほど早くはないが、静かに、気付かれないように移動するときには良いのかも知れない…。
「コレに風魔法を加えると…」
スイさんがそう言って、スピードを上げた。
水面は穏やかなのに、フウさんと同じくらいの早さで移動していく…。
フウさんの場合は、水飛沫を上げているのに…。
どの魔法を使うかで、コレだけ変わるんだ…。
無理して水面を歩かなくても、板に乗って移動すれば良いんだ…。
『水面を移動する』と言っても、方法は色々有る…と、言うことを教えてくれたのかも知れない…。
もっと柔軟に考えないと…。
そんな事を思いながら二人を見ていると、ニコニコと、ため池の水面を移動していた。
…なんだか楽しそう…。
後半はちょっとだけ、板に乗って風魔法で移動を練習してみて、浮遊の風魔法の移動を練習しよう…。
そう思っていたら、アレイがニコニコと、ため池の方に向かって歩いて来た。
あれ?
後半も、魔法剣の練習をするって言ってたのに…。
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