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熊族の町ベイエル

熊族の学校 3

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 前半の授業が終わり、移動のためと休憩を挟んで、建物内にいたアレイ達が外に出てきた。
 後半は剣術なんどけど、僕の体力…持つだろうか…。
 
 
 休憩の為、ため池からスイさんと一緒に建物側に戻ってくると、オルガを見つけたアレイ達が近付いてきた。
「派手に水柱を上げていたな」
 アレイが笑いながら声をかけてくる。
 部屋からも見えていたか…。
「アレを見るたびに、オルガが練習してるな…って分かるよな」
「ため池の水量も、しっかり上がっているしな」
 リキヤとリシトもそう言って、頷きながら声をかけてくる。
「…前回よりは、小さいはずだけど…」
 そう、前回よりは…。
 オルガは休憩したくてベンチに座り、大きなタメ息を付いて、ぐったりとベンチに寄りかかった。
 少し魔力が回復するまで動きたくない…。
 そう思っているとアレイが、休憩用に配られている飲み物を持ってきてくれた。
「ありがとう…」
 オルガはアレイが渡してくれた飲み物を飲んだ。
 昨日、収穫したオレンジのジュースかも…。
 オレンジの甘味が身体を少し回復してくれる…。
 
 三人と話をしている内に、建物から剣術に使う木の剣が準備され始めた。
 リキヤとリシトは、それに気が付き選びに向かった。
 アレイもその後に続いて剣を選びに向かった。
 僕はもう少し休憩…。
 ふと近くのベンチを見ると、魔法の練習をしていた他の子供達が、ぐったりとベンチで横たわっている…。
 その為…ではないが、建物の周囲にはベンチが、間隔を開けてたくさん並んでいる。
 分かる…その気持ち…。
 普段よりも集中力を使うから、慣れないと、魔力に振り回されてしまうからね…。
 それに魔力が制御出来ないと、魔法を使えないからね…。
 
 後半の授業の時間になったが、オルガはまだ動けなさそうだったので、ベンチで休んでいた。
 時間だからだと、強制参加ではないので、もう少し落ち着いてから剣術の授業に行こうと思う…。
 リシトとリキヤとアレイは木剣を選び、すでに素振りをしていた。
 三人とも、前半は室内の授業だったから、体力は有り余っているのだろう…。
 しばらくすると、リシトとリキヤは木剣で打ち合いを始め、木剣がぶつかる音が響き始める。
 アレイも体格が同じくらいの子と打ち合いを始めた。
 さて、そろそろ僕も木剣を見に行こう…。
 オルガはベンチから立ち上がり、コップを配給所に戻すと、木剣を選びに向かった。
 とは言え、僕はいつもの短剣を選んだ。
 『クルーラ』を出るときに、持ち歩く剣と同じ方が良いからだ。
 僕の場合、防御が中心になる。
 剣の攻撃を受け流して、軌道をずらす…。
 重い直撃は受け止めきれないし、早い剣捌きは避けきれない…。
 なので、いろいろ試した結果、短剣で衝撃を逃す練習をしている。
 剣の軌道をずらして逃げる!
 僕にはそれしか出来そうになかった…。
 
 オルガは少し素振りをして、短剣が手に馴染んだところで、打ち合いを始めた。
 相手は年下の…十才くらいの子供達…。
 とは言え、熊族の十才は、僕と同じくらいの身長なので、いつも一緒に練習している。
 出会った頃のアレイと同じくらいの身長だから、慣れていると言うのもある。
 と、言うか、僕の身長が、あまり伸びていないとも言う…。
 彼らは子供用の長剣で、攻撃を中心に剣を振るう。
 僕はそれを受け流して、相手がバランスを崩したところを転ばせる。
 なのでお互いに、ちょうど良い練習相手なのだ。
 
 オルガの練習相手は交代で、オルガに挑んでくる。
 さすがに連戦はきつい…。
 と言うか、僕の方が短剣に慣れているので、勝ってしまうと言うか…相手が先に膝を着いてしまうと言うか…。
 さっきまで、僕は魔法の練習をしていたので、体力的にそろそろ限界なんですけど…。
 そう思っていたら、リキヤが来て交代してくれた。
「今度は、剣を受ける番だ」
 そう言って、子供達に剣の受け流しを、交代で練習させ始めた。
 剣の指導に来ていた人に言われて、こっちに来てくれたみたいだ。
 リキヤは、子供達に教えるのも向いているからね…。
 …体力が有り余っているから…かも知れないが…。

 少し休憩したら、僕も子供達に交じって、リキヤと剣を交える。
 やっぱり衝撃が重い…。
 腕がジ~ンて、痺れる…。

 
 へとへとになるまで剣を交えると、お昼の時間だ。
 
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