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熊族の町ベイエル
果樹園 3
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休憩になると、先に来ていた子供達が、話しかけてきた。
「オルガは学校に来ないの?」
「明日から、行くよ」
予定では、明日、明後日の二日間、学校に通う予定だ。
「「「やった!」」」
「計算を教えて!」
見知った子が、必死な叫び声を上げた。
えっと確か、兎族のピノ。
確か家族が、熊族の町で宿を経営していて、お父さんが兎族で、お母さんが熊族と言う、珍しい組み合わせの両親だと聞いている…。
この作業を手伝いに来ているのも、宿で使う果物を仕入れているからと、以前に言っていた。
「僕、学校の授業だけでは、何度聞いても覚えられなくて…」
ピノは長い耳をペタンと伏せて、モジモジっと言う。
「足したり引いたりするのは、なんとか計算出来るようになったけど、かける、割るって言うのが、意味が分からない…」
最後の方は声が小さくなっていく…。
「…前に、足したり引いたりを、僕たちに分かりやすく教えてくれただろ…。だから…」
そう言えば、教えた…。
教えたと言うよりも、あの時は、おやつの果物の数を数えて、二人分を合わせると足し算、食べたら数が減っていくのが引き算だと説明しただけ…。
「うん。良いよ」
計算は、出来た方が良いからね。
「僕も『クルーラ』で、教えてもらった考え方だけどね」
そう言ってオルガは微笑んだ。
オルガは部屋の中を見回して、剥いたオレンジの皮を見る。
一番身近で、今、目の前に有るモノで説明をした方が分かりやすいはず…。
「このオレンジの皮、四等分にするから、四枚有るよね」
「「「うん。」」」
ピノだけでなく、一緒に来ていた子供達も、オルガの説明に頷く。
「オレンジが二個分だったら何個?」
「「「八枚!」」」
これは足し算でも出来るから次は…。
「それじゃ、三個分だったら?」
「えっと、二個で八枚だから、四枚足して…十二枚」
「四個分だったら?」
「えっと、もう四枚増えるから、十六枚」
「…かけ算出来てるよ」
オルガはそう言って微笑むと、ピノはポカンと僕を見た。
「一個が四枚、二個が八枚、三個が十二枚、四個が十六枚」
まだ、分かっていないようだ。
「一個カケル四枚は四枚でしょ」
うんうんと頷く。
「一個が四枚だから、二個カケルと八枚でしょ」
再び、うんうんと頷く。
「四枚を三個カケルと十二枚」
再び、うんうんと頷く。
「四枚を四個カケルと十六枚」
「「「…。」」」
分かっただろうか…。
「四枚づつ…増えているのか?」
ピノが恐る恐る聞いてくる。
「そうだよ。だから四枚を四個は十六枚って、覚えておくのが、かけ算」
「…かけ算…」
「今度は逆に、十六枚を四人で分けたら?」
「…四枚…」
オルガは微笑む。
「直ぐに答えが出てきただろ?これが割り算」
「割り算…」
ピノは目をパチパチとさせてオルガを見る。
「出来てるでしょう?」
「…うん。」
「今のはオレンジの皮が四枚だからだけど、他のモノも考え方は一緒だよ」
僕は折り魔紙を使って覚えた。
『コップ』二十枚入りの入れ物を、十個作る時の、折る枚数を数える時…。
二百枚…。
グオルクの子供達にお願いして良かったと、つくづく思った時だ。
「なんとなく…分かった気がする…」
「数えながら、オレンジの皮を剥く?」
「それ、良いかも!」
ピノは嬉しそうに返事した。
「一個が四枚、二個が八枚、三個が十二枚、四個が十六枚、五個が二十枚、六個が二十四枚、七個が二十八枚、八個が…二十八タス四枚だから三十二枚、九個が三十六枚、十個が四十枚!」
ピノはニコニコと笑いながらオレンジの皮を剥く。
すると一緒にオレンジを剥いていた子供達も声を揃えて言い出した。
「一個が四枚、二個が八枚、三個が十二枚、四個が十六枚、五個が二十枚、六個が二十四枚、七個が二十八枚、八個が三十二枚、九個が三十六枚、十個が四十枚!」
ケラケラと笑いながら、楽しそうに繰り返す。
隣でオレンジの皮を剥いていたアレイも口ずさむ。
「一個が四枚、二個が八枚、三個が十二枚、四個が十六枚、五個が二十枚…」
いつも静かなオレンジの皮剥きが、急に賑やかになる。
一緒に作業をしている大人達は苦笑いして、「手も動かしてね」と言うと、元気な返事が返ってきた。
「「「は~い!」」」
本当は、四枚が二個で八枚、四枚が三個で十二枚と、基準になる「四枚」が抜けているんだけど…。
変な風にかけ算を覚えてもらっても困るから、念を押しておく。
なので…。
「学校でもう一度お話を聞いて、意味を確認してね」
「「「うん!」」」
楽しそうなピノ達にオルガはそれ以上何も言わなかった。
オレンジの皮剥きの、今日の作業分が終わり、ピノ達は報酬のオレンジを袋にたっぷりもらって、「また明日!」と帰っていった。
明日は久しぶりの学校だ。
僕が受ける授業は、計算や文字の授業ではなく、剣術、体術など身体を動かす授業だ。
「オルガは学校に来ないの?」
「明日から、行くよ」
予定では、明日、明後日の二日間、学校に通う予定だ。
「「「やった!」」」
「計算を教えて!」
見知った子が、必死な叫び声を上げた。
えっと確か、兎族のピノ。
確か家族が、熊族の町で宿を経営していて、お父さんが兎族で、お母さんが熊族と言う、珍しい組み合わせの両親だと聞いている…。
この作業を手伝いに来ているのも、宿で使う果物を仕入れているからと、以前に言っていた。
「僕、学校の授業だけでは、何度聞いても覚えられなくて…」
ピノは長い耳をペタンと伏せて、モジモジっと言う。
「足したり引いたりするのは、なんとか計算出来るようになったけど、かける、割るって言うのが、意味が分からない…」
最後の方は声が小さくなっていく…。
「…前に、足したり引いたりを、僕たちに分かりやすく教えてくれただろ…。だから…」
そう言えば、教えた…。
教えたと言うよりも、あの時は、おやつの果物の数を数えて、二人分を合わせると足し算、食べたら数が減っていくのが引き算だと説明しただけ…。
「うん。良いよ」
計算は、出来た方が良いからね。
「僕も『クルーラ』で、教えてもらった考え方だけどね」
そう言ってオルガは微笑んだ。
オルガは部屋の中を見回して、剥いたオレンジの皮を見る。
一番身近で、今、目の前に有るモノで説明をした方が分かりやすいはず…。
「このオレンジの皮、四等分にするから、四枚有るよね」
「「「うん。」」」
ピノだけでなく、一緒に来ていた子供達も、オルガの説明に頷く。
「オレンジが二個分だったら何個?」
「「「八枚!」」」
これは足し算でも出来るから次は…。
「それじゃ、三個分だったら?」
「えっと、二個で八枚だから、四枚足して…十二枚」
「四個分だったら?」
「えっと、もう四枚増えるから、十六枚」
「…かけ算出来てるよ」
オルガはそう言って微笑むと、ピノはポカンと僕を見た。
「一個が四枚、二個が八枚、三個が十二枚、四個が十六枚」
まだ、分かっていないようだ。
「一個カケル四枚は四枚でしょ」
うんうんと頷く。
「一個が四枚だから、二個カケルと八枚でしょ」
再び、うんうんと頷く。
「四枚を三個カケルと十二枚」
再び、うんうんと頷く。
「四枚を四個カケルと十六枚」
「「「…。」」」
分かっただろうか…。
「四枚づつ…増えているのか?」
ピノが恐る恐る聞いてくる。
「そうだよ。だから四枚を四個は十六枚って、覚えておくのが、かけ算」
「…かけ算…」
「今度は逆に、十六枚を四人で分けたら?」
「…四枚…」
オルガは微笑む。
「直ぐに答えが出てきただろ?これが割り算」
「割り算…」
ピノは目をパチパチとさせてオルガを見る。
「出来てるでしょう?」
「…うん。」
「今のはオレンジの皮が四枚だからだけど、他のモノも考え方は一緒だよ」
僕は折り魔紙を使って覚えた。
『コップ』二十枚入りの入れ物を、十個作る時の、折る枚数を数える時…。
二百枚…。
グオルクの子供達にお願いして良かったと、つくづく思った時だ。
「なんとなく…分かった気がする…」
「数えながら、オレンジの皮を剥く?」
「それ、良いかも!」
ピノは嬉しそうに返事した。
「一個が四枚、二個が八枚、三個が十二枚、四個が十六枚、五個が二十枚、六個が二十四枚、七個が二十八枚、八個が…二十八タス四枚だから三十二枚、九個が三十六枚、十個が四十枚!」
ピノはニコニコと笑いながらオレンジの皮を剥く。
すると一緒にオレンジを剥いていた子供達も声を揃えて言い出した。
「一個が四枚、二個が八枚、三個が十二枚、四個が十六枚、五個が二十枚、六個が二十四枚、七個が二十八枚、八個が三十二枚、九個が三十六枚、十個が四十枚!」
ケラケラと笑いながら、楽しそうに繰り返す。
隣でオレンジの皮を剥いていたアレイも口ずさむ。
「一個が四枚、二個が八枚、三個が十二枚、四個が十六枚、五個が二十枚…」
いつも静かなオレンジの皮剥きが、急に賑やかになる。
一緒に作業をしている大人達は苦笑いして、「手も動かしてね」と言うと、元気な返事が返ってきた。
「「「は~い!」」」
本当は、四枚が二個で八枚、四枚が三個で十二枚と、基準になる「四枚」が抜けているんだけど…。
変な風にかけ算を覚えてもらっても困るから、念を押しておく。
なので…。
「学校でもう一度お話を聞いて、意味を確認してね」
「「「うん!」」」
楽しそうなピノ達にオルガはそれ以上何も言わなかった。
オレンジの皮剥きの、今日の作業分が終わり、ピノ達は報酬のオレンジを袋にたっぷりもらって、「また明日!」と帰っていった。
明日は久しぶりの学校だ。
僕が受ける授業は、計算や文字の授業ではなく、剣術、体術など身体を動かす授業だ。
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