眠っていた魔力紙を折紙みたいに折ったら、新しい魔法の使い方が出来たので、役立てます。

ゆう

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熊族の町ベイエル

買い食い

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 今後の予定を話し合うと、オルガは斜め掛けの着替えの入った鞄をアレイの家に置いて、市場の方に出掛けることにした。

 初めはアレイと二人で出掛けるつもりが、ちょうど帰ってきたリキヤとリシトも一緒に行くことになった。
 オルガはポーチに、お小遣いのお金を入れて、久しぶりの買い物だ。
 町の中心に向かう馬車乗り場に四人で向かった。
 熊族の町の中を走る馬車は、正門から右側回りの犬族側回り、果樹園方面と、左回りの狼族回り、熊族役所、本家方面に向かう馬車と、町の正門から中心街、奥のやしろまでを往復して走る、三本の馬車が常に動いている。
 アレイ達の家から町の中心に行くには、正門、やしろ行きの沿線上にある乗り場が、一番近い。
 歩いて数分の所を走っているから、気軽に町に出掛けられる。
 ちょうど馬車が来たので四人は馬車に乗り、屋台市場の入り口前で降りた。
 本屋へ行く前に、腹ごしらえをするため、屋台で買い食いが目的だ。
 リキヤとリシトが付いてきたのは、これが目的だ。
 食べ盛り…と言うのだろうか、とにかくよく食べる。
 二人ともお小遣いは持ってきているが、大丈夫だろうか。
 まあ、いつもの事なので心配はしていないが、きっと食べ物だけで散財してしまうだろう…。
 四人で屋台が並ぶ人混みの中を歩きながら、目ぼしい食べ物を買い込んでいく。
 焼き鳥、唐揚げ、ウインナーと野菜を挟んだパン、卵の挟み焼き、揚げイモ…など。
 気が付けば、リキヤとリシトの腕には、落としそうなくらい、いくつもの食べ物が抱え込まれていた。
 僕は卵の挟み焼きと、唐揚げ。
 アレイはパンに肉が挟まれたモノと、揚げイモ。
 それぞれの戦利品を手に、ちょうど空いた、市場の角に作られた席に腰を落ち着けると、リキヤとリシトは、ものすごい勢いで食べ始めた。
 いつもの事なのだが、思わず呆然と見てしまう。
「お昼ご飯…食べてきてない?」
 思わずオルガは聞いてみた。
「食べた」
「食べたけど、足りない」
「「…。」」
 オルガとアレイは思わず顔を見合わせた。
 足りないんだ…。
 まだ、おやつの時間にもなってないけれど…。
 そんな事を思いながら、オルガは屋台で買った食べ物を食べ始めた。
 『クルーラ』では、こうして屋台で買い食いなんて出来ない…。
 まず屋台がないし、年の近い友達と買い物をすることさえ出来ないのだ。
 こう言うのも、ココに来たときの楽しみの一つだよな…。
 

 お腹を満たした後は、歩いて本屋さんへ向かった。
 アレイだけでなく、リキヤとリシトも一緒に付いてくると言う…。
 二人とも、あまり本には興味無かったと思うけど…。
 オルガは不思議に思って首を傾げた。
 賑やかな屋台通りを抜け、横道を一本入った、人通りは有るけど静かな、落ち着きの有る通りに出る。
 ソコから三軒目。
 外観は昔からの古い建物の、町一番の本屋だ。
 中に入ると、本独特の匂いと、少し暗い明かりが店内を照す。
 入ってすぐの左手のカウンターに、見知った顔を見つける。
「こんにちわ」
「おお、オルガ君」
 熊族のおじさんが微笑んで言う。
「新しい本、いつもの場所に置いてあるぞ」
「ありがとうございます」
 オルガはそう返事して、入って右側の本棚に向かった。




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