87 / 182
森の聖域
風を司るもの 2
しおりを挟む
オルガの肩に白い鳥が留まり、風の珠を作る練習の手伝いをしているようだった。
なんか、可愛いな…。
オルガはチラリと横目で白い鳥を見る。
「風の珠に集中しろよ」
ヒナキさんにそう言われて風の珠に視線を戻すと、ぐにゃぐにゃと変形した風の珠があり、慌てて意識を集中する。
すると、風の珠は元の丸い形に戻ってグルグルと渦巻いていた。
気を散らしすぎてはいけない…。
風の珠が安定するまで、集中しないと…。
そう思っているうちに、白い鳥は羽ばたいて、オルガの肩から飛び立って行った。
「…。」
すると、急に身体を抜ける魔素の風を強く感じた。
やっぱり白い鳥が手助けしてくれている…。
オルガは風の珠を作りながら、疑問に思ったことをヒナキさんに聞いた。
「白い鳥、『風霊』が、魔力制御を手伝ってくれているの?」
「そうとも言えるし、そうでも無いもとも言える」
ヒナキさんの話しによると、『風霊』達は、いろいろな姿をしていて、今、僕の目の前では白い鳥の姿をしているだけらしい…。
基本的に気まぐれだから、興味を持ったモノに…今は僕に、ちょっかいを出しているのだと…。
仲良くなると、風魔法を使うとき、補佐してくれたり、手助けをしてくれるようになり、その対価に自分の魔力を少し上げるのだと言う…。
『クルーラ』ではあまり無いが、外の世界で『風霊』と仲良くしておくと、風魔法の強化になるので、良いそうだ。
と、言っても、いまいちピンと来ない。
するとリーンさんの話をしてくれた。
リーンさんは『クルーラ』の外に出ることが多いので、『風霊』に、よくお願いしているそうだ。
急いで移動するとき、上空に飛び上がるとき、侵入者が来たら教えてくれるように、などなど…。
『クルーラ』では必要ないお願いだ。
「『クルーラ』の外に出たとき、『風霊』達の気配を感じて、お願いすれば、気まぐれに力を貸してくれるから、今のうちにしっかりと懐かせておくと良いぞ」
とは言うものの、どうやって「懐かせる」んだ?
ヒナキさんはニヤニヤと笑って言う。
「いつものように、練習してれば懐いてくれるよ」
僕の疑問にヒナキさんは答えてくれる。
はい…。
とりあえず、風の珠の練習だね。
今日も『回廊』で風の珠を作っていると、白い鳥がやって来て、僕の肩に留まって、毛繕いを始めた。
しばらくすると、頭の上になにかが触れた。
「…?」
なんだろう…。
そう思ったら、ヒナキさんが急に笑い出した。
えっ、何?
もしかして、さっきの…別の鳥がいる…?
オルガがそっと横を向くと、白い鳥は肩にいる。
ヒナキさんが、頭の上を指差す。
えっと…頭の上…?
重みを感じないから、ソコに居るのは分からない。
でも、ヒナキさんがそう言うなら、頭の上にいるのだろう…。
それに、魔素の当たりも弱くなってる…。
とりあえず、僕は風の珠に集中するだけだ。
頭の上に居るって事は、懐いてくれたのかな…。
それから何度か『回廊』で風の珠の練習をして、オルガは『風霊』の鳥達のおかげで、だいぶん風の珠を安定して維持できるようになった。
なので次の段階、風魔法を使って、『シュリケン』を操る練習になった。
なんか、可愛いな…。
オルガはチラリと横目で白い鳥を見る。
「風の珠に集中しろよ」
ヒナキさんにそう言われて風の珠に視線を戻すと、ぐにゃぐにゃと変形した風の珠があり、慌てて意識を集中する。
すると、風の珠は元の丸い形に戻ってグルグルと渦巻いていた。
気を散らしすぎてはいけない…。
風の珠が安定するまで、集中しないと…。
そう思っているうちに、白い鳥は羽ばたいて、オルガの肩から飛び立って行った。
「…。」
すると、急に身体を抜ける魔素の風を強く感じた。
やっぱり白い鳥が手助けしてくれている…。
オルガは風の珠を作りながら、疑問に思ったことをヒナキさんに聞いた。
「白い鳥、『風霊』が、魔力制御を手伝ってくれているの?」
「そうとも言えるし、そうでも無いもとも言える」
ヒナキさんの話しによると、『風霊』達は、いろいろな姿をしていて、今、僕の目の前では白い鳥の姿をしているだけらしい…。
基本的に気まぐれだから、興味を持ったモノに…今は僕に、ちょっかいを出しているのだと…。
仲良くなると、風魔法を使うとき、補佐してくれたり、手助けをしてくれるようになり、その対価に自分の魔力を少し上げるのだと言う…。
『クルーラ』ではあまり無いが、外の世界で『風霊』と仲良くしておくと、風魔法の強化になるので、良いそうだ。
と、言っても、いまいちピンと来ない。
するとリーンさんの話をしてくれた。
リーンさんは『クルーラ』の外に出ることが多いので、『風霊』に、よくお願いしているそうだ。
急いで移動するとき、上空に飛び上がるとき、侵入者が来たら教えてくれるように、などなど…。
『クルーラ』では必要ないお願いだ。
「『クルーラ』の外に出たとき、『風霊』達の気配を感じて、お願いすれば、気まぐれに力を貸してくれるから、今のうちにしっかりと懐かせておくと良いぞ」
とは言うものの、どうやって「懐かせる」んだ?
ヒナキさんはニヤニヤと笑って言う。
「いつものように、練習してれば懐いてくれるよ」
僕の疑問にヒナキさんは答えてくれる。
はい…。
とりあえず、風の珠の練習だね。
今日も『回廊』で風の珠を作っていると、白い鳥がやって来て、僕の肩に留まって、毛繕いを始めた。
しばらくすると、頭の上になにかが触れた。
「…?」
なんだろう…。
そう思ったら、ヒナキさんが急に笑い出した。
えっ、何?
もしかして、さっきの…別の鳥がいる…?
オルガがそっと横を向くと、白い鳥は肩にいる。
ヒナキさんが、頭の上を指差す。
えっと…頭の上…?
重みを感じないから、ソコに居るのは分からない。
でも、ヒナキさんがそう言うなら、頭の上にいるのだろう…。
それに、魔素の当たりも弱くなってる…。
とりあえず、僕は風の珠に集中するだけだ。
頭の上に居るって事は、懐いてくれたのかな…。
それから何度か『回廊』で風の珠の練習をして、オルガは『風霊』の鳥達のおかげで、だいぶん風の珠を安定して維持できるようになった。
なので次の段階、風魔法を使って、『シュリケン』を操る練習になった。
5
お気に入りに追加
84
あなたにおすすめの小説

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

前世で魔神だった男、嫁と再会して旅をします。
明石 清志郎
ファンタジー
高校二年生の神山周平は中学三年の卒業後幼馴染が失踪、失意のままに日常を過ごしていた。
ある日親友との会話が終わり教室に戻るとクラスメイトごと異世界へと召喚される。
何がなんだかわからず異世界に行かされた戸惑う勇者達……そんな中全員に能力が与えられ自身の能力を確認するととある事実に驚愕する。
な、なんじゃこりゃ~
他のクラスメイトとは異質の能力、そして夢で見る変な記憶……
困惑しながら毎日を過ごし迷宮へと入る。
そこでクラスメイトの手で罠に落ちるがその時記憶が蘇り自身の目的を思い出す。
こんなとこで勇者してる暇はないわ~
クラスメイトと別れ旅に出た。
かつての嫁や仲間と再会、世界を変えていく。
恐れながら第11回ファンタジー大賞応募してみました。
よろしければ応援よろしくお願いします。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる