眠っていた魔力紙を折紙みたいに折ったら、新しい魔法の使い方が出来たので、役立てます。

ゆう

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森の聖域

魔力放出

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 僕が『聖域』に行って、濃い魔素に体調を崩し、身体の調子がもとに戻ってから、ヒナキさんに、余分な魔素を取り込んでも、放出が出来るように教えてもらう事になった。

 あの時の僕の身体は、魔素の濃い『聖域』で魔素を多く取り込んでいた。
 多分、「風が気持ちいな」って思ってたとき、魔素が流れてきていて、取り込んだらしく、身体に溜め込んでいたようだ。
 その魔素を身体の外に出す為の練習…。

 ヒナキさんが言うには、呼吸するように、魔素を取り込んで、吐き出して…。
 だけど魔素が身体に溜まる、限界がわからない…。

 なので練習の前に、僕に分かりやすく説明してくれた。
 魔素を水に例えて、二つのコップに順番に水を入れていき、それを順番に飲んでいく…。
 喉が渇いている時は、どんどんと水を飲むことは出来るが、お腹が一杯になってきたら、飲むのが苦しくなってしまう。
 飲めなくなってきても、コップに水は注がれていくから、コップから溢れ出てしまう。
 ソレが今回の僕の状況。
 魔素がどんどん身体に注がれて、溢れ出てしまい、制御が出来なくなってしまったのだと教えてくれた。

 コップから水が溢れてきても、水を飲め飲めと注がれるので、コップに蓋をする。
 ソレが、一つの魔素を遮る方法。
 コップの蓋が、折り魔紙マシの『クロス』に魔力を込めることによって、闇属性『クロス』の放出になり、多い魔素を遮断する役割をはたし、身体を守ってくれるの同じ事なのだと…。
 なるほど。
 ココでも折り魔紙マシが役立ってくれている。
 ただし、長時間は使えないので、速やかに『クルーラ』に戻る為の、保険なのだと言うことを忘れてはいけない。
 
 もう一つが、コップに穴を開けて、そこから水を流す事。
 穴が大きいと、水が失くなってしまうし、穴が小さいと水の流れが少なくて、コップに溜まってしまう。
 魔素を放出しすぎると、魔力が尽きてしまうし、放出が少ないと、いずれ身体に蓄積されて、体調不慮を起こしてしたう。
 そのさじ加減は、どれだけ『魔素の放出を意識する』かと、経験なのだとか…。
 そして、今回、練習する魔素の放出。

 ヒナキさんの店の裏側の広場で、まず簡単な魔法を使ってみる。
 僕が最初に覚えたのは、水魔法。
 手のひらの上に水の珠をイメージして、魔力を込める。
 少しづつ水が集まってきて、クルクルと回転し、握り拳くらいの水の珠が出来上がる。
 反対側の手に、今度は魔力だけを、同じように放出する。
 何も無い状態で、魔力だけを出すのは難しい…。
 どうしても、右手に作った水の珠に引っ張られ、同じように左手にも水の珠が出来てしまう。

 せっかく出した水はもったいないので、大きな水のタンクの中に入れて、再度挑戦。
 ソレを何度か繰り返して、水の珠を作るのと同じくらいの魔力だけを流す。
「…。」
 今度は水の珠は、現れない。
 出来てるのかな…?
 色が付いて見えるわけではないので、ちゃんと魔力だけが放出されているのか、わからない…。
 でも、なんとなく…両手から同じくらいの魔力を出せていると思う…。
 右手に水の珠を維持したまま…。
「…まあ、良いんじゃないか。魔力制御を練習していたかいが有ったな…」
 ヒナキさんが、そう言って微笑む。
 って、事は、上手く出来てる!
 やった!
回廊カイロウで試してみよう」
回廊カイロウ?」
 オルガは首を傾げた。
「ああ、『聖域』に入るために歩いた、木々のトンネルみたいな道の事だよ」
 ああ…。
 僕が『風が気持ち』って思った場所…。
 あそこは『聖域』よりも魔素は少ないが、『クルーラ』よりも濃い魔素が流れ込んでいる。
 練習にはもってこいの場所だよね。
「…ただし、三十分。少しづつ、時間を伸ばしていこう」
「うん!」
 また、倒れたりしたくないもんね。
 ゆっくりと、確実に!
 
 僕はヒナキさんと一緒に、回廊カイロウに向かって歩き出した。


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