眠っていた魔力紙を折紙みたいに折ったら、新しい魔法の使い方が出来たので、役立てます。

ゆう

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森の聖域

休憩室

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 ふと、物音に、オルガの意識が浮上した。
 目蓋は重くて開かないが、意識だけが覚醒している…。
 ボソボソと声がして、ダンリーさんとヨウドさんが何か話しているようだ。
 でも、その声が心地よくて、オルガの意識は再び沈んでいった。

     ◇◇◇

「ココにいたのか…」
 そう言って、ノックも無しに部屋に入ってきたのは、調理場を担当するヨウド。
 手には昼食用のサンドイッチと、スープだろう深めの入れ物と、飲み物が入ったグラスをトレイに乗せて、二人分持ってきていた。
 最近、ヨウドが昼の休憩に、昼食をココで食べるのが、毎日の日課になっていた。
 と、言うか、昼食を食べ忘れてしまうから、持ってきてもらっていたら、ヨウドが自分の昼食も持ってきて、食べるようになっただけだが…。
「一人で部屋にいるのが、寂しかったんだろう…。心細そうに部屋に来た」
「まあ、そうだろ。俺達の中に混じって暮らしているが、まだ子供だ。今、十三歳だったか?それだけしか生きてないんだ。不安にもなるさ」
 そう言って、ヨウドはソファーの前に有るテーブルに、持ってきた昼食を置き、ソファーに座って、オルガの眠る様子を見た。
「体調を崩したのが始めてだし、館の昼間は静かだしな…」
 館に住む住人は仕事に行ってしまい、休みの者だけだが、ほとんど出掛けてしまうので、昼間は静まり返っている。
 静からだから、白の館での帳簿作業はいつもこの時間帯なのだが。
 ダンリーは手を止めて、昼食を食べるために、オルガが眠るソファーの反対側、ヨウドの隣に座ると、サンドイッチに手を伸ばした。
「この様子だと、明日には体調は、ほとんどもとに戻るだろ」
 ヨウドもサンドイッチを食べながら、オルガの状態を見たようだ。
「…そう言えば、体内魔力の循環が見えるんだったな…」
「適材適所だろう」
 そう言って、ヨウドがスープを飲む。

 ヨウドは体内に留まる魔力を見ることが出来る。
 食堂の主は、食事をしに来た者の様子を見て、魔力が極端に減りすぎていれば、魔素を多く含む果物のデザートを追加したり、体調が悪く、魔力が制御しきれていない場合は、魔素が少ない食事にして、早く休む様に言っている。
 白の館に住む住人の、健康管理をしているのだ。

「オルガは魔力操作が出来るようになったから、魔素の循環放出を覚えれば、すぐに『聖域』に入れるだろう」
「その辺は、ヒナキ様が考えているだろう。『聖域』の収穫の手伝いをしてもらうって言ってたしな…」
「そうだな。人手は多い方が良い」
 『聖域』での果実の収穫や、魔素石の採取は、いつも困難を極めている。
 魔素の強い『聖域』での活動は、時間制限と魔力量を考えながら行動しないと、オルガの様に体調を崩してしまう。
 そのため交代で『聖域』に入るのだが、収穫量が多く、実りの時期は短期間なので、ついつい長居してしまい、体調を崩しやすくなる。
 なので常に人手不足なのだ。
「オルガの『クロス』だったか、アレのおかげで、果樹園から『クルーラ』まで戻る間に、体調が悪化しなくなったのが、せめてもの救いだがな」
 ヨウドはそう言って、グラスに入った飲み物を飲む。

 オルガの折り魔紙マシ風属性『クロス』は、体内に入ってこようとする魔素を風の膜で遮り、しばらくの間だが、強い魔素から身体を守ってくれる。 
 体調の異変を感じたら、『クロス』に魔力を入れて、速やかに『クルーラ』へと戻るのが、最近の決まりごとだ。
 『クルーラ』に戻った後は、しばらくの休憩で元の状態に戻り、翌日も収穫作業が出来るので、ソウ決まった。
 
「今は、ゆっくり休ませておけよ」
 ヨウドはそう言って最後のサンドイッチを手に取った。


     ◇◇◇

 オルガが目覚めると、見慣れない部屋に、一瞬、どこに居るのか分からなかった。
 そうだ…。
 ダンリーさんのいる、管理人室に来て、ソファーで眠っていたんだ…。
 頭はまだ、ぼんやりとはしているが、朝、起きた時よりはスッキリとしている。
 オルガは身体を起こし、辺りを見回した。
 
 
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