眠っていた魔力紙を折紙みたいに折ったら、新しい魔法の使い方が出来たので、役立てます。

ゆう

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森の聖域

寂しくて…。

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 お腹が空いた…。
 オルガは、ベッドから降りると食堂に向かった。
 
 足取りは重いが、夜中に起きた時よりは、普通に歩けている。
 食堂には、誰もいなかった。
 休みの人達も、朝食は終えているのだろう…。
 と、言うか、昼には少し早い時間…。
 オルガがフラフラと食堂に入ると、食堂の調理場から料理人のヨウドさんが出てきた。
「もう少ししたら、食事を持っていこうと思ってたんだ」
 そう言って、ふらつく僕の身体を支えて、イスに座らせてくれた。
 そして調理場の方から、とろりとした野菜スープを持ってきてくれた。
「少しづつ、ゆっくり食べろよ。まだ、食べれそうだったら、もう少し持ってくるから」
 そう言って、ヨウドさんは調理場の方に戻っていった。
 僕はスプーンを手に取り、スープを一口飲んだ。
 温かいのが、身体に行き渡る…。
 二口、三口と口に運び、思い出す。
 そう言えば、僕、昨日のお昼にご飯を食べてから、果物と飲み物しか口にしてない…。
 お腹が空くはずだ…。
 野菜スープを飲み干すと、まだ足りないとばかりに、お腹がグ~ッと鳴った。
 えっと、二食分、栄養が足りていない?
 そう思っていると、ヨウドさんが、サラダとオムレツとパンを持ってきてくれた。
「野菜スープも、追加するか?」
「うん」
「ゆっくり食べろよ。急に詰め込みすぎると、身体がビックリして、気持ち悪くなるからな」
 そう言って、追加の野菜スープを取りに行ってくれた。
 …そうだった。
 ほぼ、一日、まともな食事をしていないのだから、内臓の負担がかかる…。
 …ゆっくり食べよう…。
 

 空腹が満たされたら、再び眠気が襲ってきた。
 オルガは部屋に戻って、ベッドに横になる。
 部屋の窓から漏れる光が、ほのかに部屋の中を明るくする。
「…。」
 うつらうつらと、眠れるような眠れない状態…。
 全く、人の気配が無い…。
 誰も居ないからか、静かすぎる…。
 オルガはベッドの上でゴロゴロと転がり、思う。
 『クルーラ』に来てから三年、昼間に何もせず、一人で部屋に居るのは始めてかもしれない。
 時間が有れば、もらった本や貸本さんの本を読んで過ごしていた。
 けれど今は、文字を読む元気はない…。
 うとうとしながらも、寝付けない…。
 ゴロゴロとベッドの上で、行ったり来たり…。
 
 バタバタと廊下の方で音がして、何を言っているか分からないが、話し声が聞こえてきて、通りすぎていった…。
「…。」
 …そうだ。
 いつも、夜でも誰かが行き来して、何か音が聞こえていた。
 日中は、ほとんど誰も居ないので、静かなのだ…。
 きっと、人の気配が無いから、落ち着かないんだ…。
 オルガはゆっくり身体を起こし、上掛けの毛布を抱き抱えた。
 迷惑になるかな…。
 でも、聞いてみよう…。
 オルガは毛布を抱えてベッドを下りた。

 
 オルガは部屋を出て、入り口の側に有る、白の館の管理人室の扉を叩いた。
 ダンリーさん、居るかな…。
 白の館の管理人のダンリーさんは、皆が仕事に行くと、風呂場や廊下、談話室などの、共同で使う場所の掃除をする。
 とは言え、ほとんど魔法を使って綺麗にするみたいだから、午前中で掃除は終わる。
 午後からは入り口の管理人室で、他の仕事をしていると、聞いていた。

 直ぐに部屋の扉が開き、驚いた様子のダンリーさんがいた。
「どうした?」
 えっと…なんて言えば良いんだろう…。
 静かすぎて、落ち着かないから…ココに居ていい?って、聞けば良いのかな…。
 ダメかな…。
 オルガが迷いながらモジモジとしていると、ダンリーさんは苦笑いして、扉を大きく開け、部屋へ入れてくれた。

 部屋は僕の部屋より大きく、二間あり、入って直ぐの部屋には、ソファーが二個と飲み物やお菓子、おつまみが置かれたテーブルが有り、小さな談話室の様になっていた。
 奥の部屋へは、扉が開けっぱなしになっていて、入り口付近の管理人の窓口が有り、窓側の棚に書類がたくさん入っていて、外からは見えないようになっていた。
 ダンリーさんは、奥の管理人室で書類を見ていたのか、部屋のテーブルには書類が積み上げられていた。
 二つの部屋が繋がっているからか、とても広く感じる。
 オルガは部屋の中に入り、意を決して言う。
「…ココに…居ても良い…?」
 自分でも不安そうな声に、思わず涙目になっていた。
 身体が弱ってるから声も弱って聞こえる…。
「良いぞ。ソファーに横になってろ」
 そう言ってダンリーさんは、ソファーに置いてあるクッションを枕にするように端の方に持っていき、僕は言われるままにソファーに横になった。
 持ってきた毛布を掛け、ダンリーさんが僕を覗き込む。
「後でおやつをもらっとくから、一緒に食べような」
「…うん」
 僕がソウ返事をすると、ダンリーさんは頭を撫でて、管理人室のテーブルに戻り、作業の続きを始めた。

 紙を捲る音…。
 書き込んでいる音…。
 う~ん。と、独り言を言いながら作業している音…。
 その音を聞いている内に、僕は安心して眠ってしまった。

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