眠っていた魔力紙を折紙みたいに折ったら、新しい魔法の使い方が出来たので、役立てます。

ゆう

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森の聖域

『聖域』の入り口

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 ヒナキさんが「そろそろ『聖域』に入れるかな…」と、言い出してから、一月は過ぎていた。
 『聖域』に入るのには、いろいろと決まり事が有るので、簡単に入れてもらえないようだ。
 それでも、近々、行けるようになるらしい…。
 楽しみだ!


 よく晴れた日。
 いつものようにヒナキさんの店に行くと、ヒナキさんが「『聖域』に、挨拶に行こうか」と、言ってきた。
 やった!
 オルガはニコニコと嬉しそうに笑った。

 ヒナキさんと一緒に店を出て、横に有る小屋の前を通り越し、横に生えてる木を一本通り越したら、左手に曲がった。
 どちらかと言うと、お店の裏側?より森側?に、向かってる?
 そしてよく見ると、木々で覆われた森の方に、馬車が一台、通れるくらいの道が有った。
 あれ?
 こんな所に、道なんて有った?
 オルガは首を傾げ、不思議に思ってヒナキさんに聞くと、「目隠しの魔法が掛けてあるから、普段は見えないよ」と、言われた。
 普段は見えないんだ…。
 
 森の奥に向かう道は、固く整備された地面で、両側から伸びた枝葉が地面に影を落として、トンネルのようになっている。
 どきどき風が通り抜け、カサカサ、サワサワと葉が擦れた音を立て、気持ちが良い風が、二人の間を通り抜けていった。
「…なんだか気持ちが良いね」
 オルガがそう言って、ヒナキの方を見る。
「魔素に馴染んできたからだろう…」
 『クルーラ』は、外の地域に比べて魔素が濃い。
 『森の聖域』は、もう一つ濃度が濃いのだ。
「馴染んでなければ、魔力酔いになって、立ってられないぞ」
 そうなんだ…。
 今、この道を通りながら、『聖域』の濃い魔素に、身体を馴染ませているのだと言う…。
 それに対応出来なければ、『聖域』には入れないのだと…。
 二人で木漏れ日の中を散歩するように歩き、しばらくすると木々のトンネルの出口が見えてきた。
 木々のトンネルから出ると、少し眩しいくらいの光に、オルガは目を細目、目にした光景に思わず立ち止まった。
「…。」
 目の前に、広い草原を囲むように森の木々が両側に見え、右側の木々から飛び出すように大きくて長い木が一本、ドンと鎮座している。
 そしてその木の枝葉が、ほんの少し掛かるくらいの場所に、家が一軒建っていた。
 もしかして、あれがリーンさんの家?
 家の奥の方は、木々や草原が入り交じっていて、遠くに何かキラキラと光るものが見える。
 なんだろう、アレは…。
 ふと気が付くと、ヒナキさんが木々の木陰沿いを歩き、家の方に向かって、先に進んで歩いていたので、オルガは慌てて追いかけた。
 
 大きな木に近付くにつれて、側に有る家の回りに、木で出来た置物?変わった形の木が生えているのが見えてきた。
 アレは、なんだろう…。
 形は同じだけれど、大中小と違う大きさ…。
 うん?
 形は違うが、熊族のアレクさんの家に有った、ブランコに似たモノが有る…。
 アレクさんの家のは、近くの大きな木の、太い枝に紐を掛けてブランコにしてあった。
 けれどコレは、地面から生えてきた木が二つ、上部で重なり三角になっていて、ソコから枝が横に伸びていて、隣の同じような三角の上部に絡まって繋がっている…。
 そしてソコに、板の左右に紐が二本付いたモノがブランコのようにぶら下がっていて、ソレが三個、連続して繋がっている…。
 それもその木には、所々に葉っぱが生えていて、風でゆらと揺れているのだ…。
 木って、あんな風に形を変えて生えるものなのか?
 ソレ以外にも、どうやって使うのかわからないものが、幾つも木で出来ていて、葉っぱやツタが生えていた…。
 隣なのに『クルーラ』とは違う、不思議な光景だ…。
 
 巨木の側まで来ると、その大きさに圧倒された。
 幹の太さは、両手を広げた大きさの三倍以上…。
 所々、地面から出ている根は太く、大地にしっかりと食い込み、巨木を支えている…。

 不意に、ザッと強い風が吹いて、巨木の回りに集まると、むき出しの根に、青年が座っていた。
 
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