67 / 182
森の聖域
あれから三年
しおりを挟む
オルガが、『クルーラ』にやって来て、三年の月日が流れていた。
オルガは十三歳になり、ヒナキの昔の服をもらって着れるくらいに、身長も伸びていた。
まだ服の方がちょっと大きいので、少し裾を折り曲げて着ているけれど…。
同年代の友達も出来た。
熊族のアレクさんの息子、アレイ君。
約束通り、アレクさんに熊族の町に連れていってもらって、そこでアレイを紹介された。
アレクさんは熊族をまとめている一族の一人で、出稼ぎで『クルーラ』に来ているらしい。
なのでアレクさんの家族は熊族の町にいて、時々家に帰っているらしかった。
『クルーラ』は、魔素に順応出来る者しか入れないので、一族の中でも数人しか順応出来ず、『クルーラ』に来れる者は少ないそうだ。
僕はアレイに案内されて熊族の町を見て周り、主に木材を扱っている町なのだと感じた。
椅子や机、棚などが主な産業で、後は果実の加工、保存食?もたくさん扱っていた。
アレイは、『クルーラ』のアレクさんの仕事場に行ってみたいらしいが、魔素が濃くて、体調不慮になり、まだ身体が拒否反応を興してしまうらしい。
だから僕は羨ましいがられた。
アレクさんが言うには、もう少し大人になって、魔素が身体に馴染んでくれば、『クルーラ』にも来れるようになると言う。
アレクさんも昔は、魔素に対応しきれなかったが、徐々に順応していったらしい…。
その辺の苦労を僕はしていないので分からないが、アレイが『クルーラ』に来れる日は、まだ遠そうだ。
僕は、アレクさんが熊族の町に帰るとき、時々、一緒に連れていってもらって、熊族の学校にもアレイと一緒に行った。
『クルーラ』に、学校は無いからだ。
知識は、ヒナキさんの店にいるときに、本を読んで覚えているが、同じ年頃の人達との交流はアレイが始めてだったので、戸惑いながらも学校と言うものに行って、いろんな考え方、見方が有るのだと知った。
『クルーラ』では、みんな僕に甘いんだ…。
そう思えるくらい、学校ではいろいろと有った…。
それでも、同年代の子達と遊んだり、勉強したりするのは楽しく、アレイとは兄弟のように一緒に転げ回っていた。
魚釣りに行ったり、山菜採りに行ったり、山登りをしたり、『クルーラ』では、出来ない体験をさせてもらった。
折り魔紙の折り方も、いくつか増えていた。
闇属性、風属性『シュリケン』
二枚の折り魔紙を組み合わせて作った『シュリケン』は、それぞれ一つの属性を持ち、黒色と水色の二色になっている。
『シュリケン』は、『ケン』は剣と言う意味だろうけれど、『シュリ』の意味がわからない。
これも『ヤッコ』と同じように、そう言うモノだと、考えるのは止めた。
『シュリケン』は、魔力を与えて投げると、風に乗って思う場所に突き刺さる…武器となるモノだった。
『青の館』の訓練場でソレを見た時、思わずゾッとした。
強力過ぎる…。
シュウベルさんが言うには、『シュリケン』の魔力が尽きるまで、風魔法を使って操れるので、獣に襲われそうになった時、獣の足元を狙って『シュリケン』を使い、逃げるのだと教えられた。
僕には向いていない…。
コレも『青の館』で管理し、『クルーラ』の外に出るときの、自衛のための『貸し出し』にした。
『貸し出し』にしても、簡単な扱い方の講習を受けてでないと、使用できないように、色々と制約を付けてだ。
『シュリケン』は、必要な分だけしか作らないことにした。
自分で作っておいて、なんだが、なんか怖いから…。
後は『ヒコウキ』『フネ』など…。
微妙で、用途が見つからず、模索中のモノなど…。
折ったモノだけ、ヒナキさんの店の隣の小屋に展示してある状態だ。
グオルクの子供達が『コップ』を折ってくれるようになり、僕の負担は減った。
気持ち的にもだいぶ違う…。
数を折らないと!って言う、焦りが無いからだ。
子供達が折ってくれて、お小遣いがもらえる!と、喜んでいると聞いてホッとしたのもある。
『ツル』は、一定数を定期的に納めている。
需要数が、だいたい分かってきたので、制作量を来てめくれた。
目標数が有ると、折っていても安心できる。
『ヤッコ』はあまり制作していない。
どちらかと言えば、『クロス』の方ばかりで、要請が有れば折っている。
『クルーラ』に入り込む強い魔素の防御に役立っているようだ。
最近は、新しい折り方が見えてこない…。
見えてこないと言うと、変な言い方だが、何も出てこない状態だ。
今は、今まで折ってきたモノだけで『必要ない』からかも知れない…。
ヒナキさん達は気にするなと言って、今の分だけで、凄く役立ってるよと、微笑んでくれる。
そうだな…。
僕が大きくなって、何か必要だと感じたときに、また、出てくるのかもしれないと、思うようにした。
楽しい『クルーラ』での生活が三年経過して、ヒナキさんが、そろそろ『聖域』に入れるかな…と、言い出した。
『クルーラ』の奥に有る『森の聖域』
『クルーラ』より濃い魔素に溢れていて、司る者達が住み、その中心に、世界樹が鎮座していると聞いている。
そしてリーンさんの家も有るのだと…。
そうなんだよね…。
いつもリーンさん、どこに帰っているのかと思ったら、『森の聖域』に住んでいたんだよね…。
どんな所なのか行ってみたい。
『ツル』を入れる入れ物の木や、果物、魔素石とかも、『森の聖域』で採取しているのだと聞いているから、余計に行ってみたいのだ。
早く入れるようにならないかな…。
オルガは『森の聖域』に行くことを楽しみにしていた。
オルガは十三歳になり、ヒナキの昔の服をもらって着れるくらいに、身長も伸びていた。
まだ服の方がちょっと大きいので、少し裾を折り曲げて着ているけれど…。
同年代の友達も出来た。
熊族のアレクさんの息子、アレイ君。
約束通り、アレクさんに熊族の町に連れていってもらって、そこでアレイを紹介された。
アレクさんは熊族をまとめている一族の一人で、出稼ぎで『クルーラ』に来ているらしい。
なのでアレクさんの家族は熊族の町にいて、時々家に帰っているらしかった。
『クルーラ』は、魔素に順応出来る者しか入れないので、一族の中でも数人しか順応出来ず、『クルーラ』に来れる者は少ないそうだ。
僕はアレイに案内されて熊族の町を見て周り、主に木材を扱っている町なのだと感じた。
椅子や机、棚などが主な産業で、後は果実の加工、保存食?もたくさん扱っていた。
アレイは、『クルーラ』のアレクさんの仕事場に行ってみたいらしいが、魔素が濃くて、体調不慮になり、まだ身体が拒否反応を興してしまうらしい。
だから僕は羨ましいがられた。
アレクさんが言うには、もう少し大人になって、魔素が身体に馴染んでくれば、『クルーラ』にも来れるようになると言う。
アレクさんも昔は、魔素に対応しきれなかったが、徐々に順応していったらしい…。
その辺の苦労を僕はしていないので分からないが、アレイが『クルーラ』に来れる日は、まだ遠そうだ。
僕は、アレクさんが熊族の町に帰るとき、時々、一緒に連れていってもらって、熊族の学校にもアレイと一緒に行った。
『クルーラ』に、学校は無いからだ。
知識は、ヒナキさんの店にいるときに、本を読んで覚えているが、同じ年頃の人達との交流はアレイが始めてだったので、戸惑いながらも学校と言うものに行って、いろんな考え方、見方が有るのだと知った。
『クルーラ』では、みんな僕に甘いんだ…。
そう思えるくらい、学校ではいろいろと有った…。
それでも、同年代の子達と遊んだり、勉強したりするのは楽しく、アレイとは兄弟のように一緒に転げ回っていた。
魚釣りに行ったり、山菜採りに行ったり、山登りをしたり、『クルーラ』では、出来ない体験をさせてもらった。
折り魔紙の折り方も、いくつか増えていた。
闇属性、風属性『シュリケン』
二枚の折り魔紙を組み合わせて作った『シュリケン』は、それぞれ一つの属性を持ち、黒色と水色の二色になっている。
『シュリケン』は、『ケン』は剣と言う意味だろうけれど、『シュリ』の意味がわからない。
これも『ヤッコ』と同じように、そう言うモノだと、考えるのは止めた。
『シュリケン』は、魔力を与えて投げると、風に乗って思う場所に突き刺さる…武器となるモノだった。
『青の館』の訓練場でソレを見た時、思わずゾッとした。
強力過ぎる…。
シュウベルさんが言うには、『シュリケン』の魔力が尽きるまで、風魔法を使って操れるので、獣に襲われそうになった時、獣の足元を狙って『シュリケン』を使い、逃げるのだと教えられた。
僕には向いていない…。
コレも『青の館』で管理し、『クルーラ』の外に出るときの、自衛のための『貸し出し』にした。
『貸し出し』にしても、簡単な扱い方の講習を受けてでないと、使用できないように、色々と制約を付けてだ。
『シュリケン』は、必要な分だけしか作らないことにした。
自分で作っておいて、なんだが、なんか怖いから…。
後は『ヒコウキ』『フネ』など…。
微妙で、用途が見つからず、模索中のモノなど…。
折ったモノだけ、ヒナキさんの店の隣の小屋に展示してある状態だ。
グオルクの子供達が『コップ』を折ってくれるようになり、僕の負担は減った。
気持ち的にもだいぶ違う…。
数を折らないと!って言う、焦りが無いからだ。
子供達が折ってくれて、お小遣いがもらえる!と、喜んでいると聞いてホッとしたのもある。
『ツル』は、一定数を定期的に納めている。
需要数が、だいたい分かってきたので、制作量を来てめくれた。
目標数が有ると、折っていても安心できる。
『ヤッコ』はあまり制作していない。
どちらかと言えば、『クロス』の方ばかりで、要請が有れば折っている。
『クルーラ』に入り込む強い魔素の防御に役立っているようだ。
最近は、新しい折り方が見えてこない…。
見えてこないと言うと、変な言い方だが、何も出てこない状態だ。
今は、今まで折ってきたモノだけで『必要ない』からかも知れない…。
ヒナキさん達は気にするなと言って、今の分だけで、凄く役立ってるよと、微笑んでくれる。
そうだな…。
僕が大きくなって、何か必要だと感じたときに、また、出てくるのかもしれないと、思うようにした。
楽しい『クルーラ』での生活が三年経過して、ヒナキさんが、そろそろ『聖域』に入れるかな…と、言い出した。
『クルーラ』の奥に有る『森の聖域』
『クルーラ』より濃い魔素に溢れていて、司る者達が住み、その中心に、世界樹が鎮座していると聞いている。
そしてリーンさんの家も有るのだと…。
そうなんだよね…。
いつもリーンさん、どこに帰っているのかと思ったら、『森の聖域』に住んでいたんだよね…。
どんな所なのか行ってみたい。
『ツル』を入れる入れ物の木や、果物、魔素石とかも、『森の聖域』で採取しているのだと聞いているから、余計に行ってみたいのだ。
早く入れるようにならないかな…。
オルガは『森の聖域』に行くことを楽しみにしていた。
4
お気に入りに追加
84
あなたにおすすめの小説

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる