眠っていた魔力紙を折紙みたいに折ったら、新しい魔法の使い方が出来たので、役立てます。

ゆう

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森の聖域クルーラ

植物園の『クロス』 3

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 カナックさんが扉を開けて、僕達は植物園の敷地から外に出た。

 扉から外に出ると、五十メートルほど離れた場所に森が迫っていた。
 手前側は、まだ背丈の低い木だが、奥の方は大きな大木が連なっているように見え、植物園の外壁を囲むように迫って来ているように見える。
 裏側はこんな風になっているんだ…。
「森が近いだろ。時々、強い魔素が流れ込んできて、植物に影響を与えるんだ…。だからコイツを外壁に設置してみた」
 カナックさんはそう言って、外壁を指差す。
 ソコには設置されているのは、さっきのガラス張りの建物と同じ、切り株のような丸い円柱のモノ。
「俺達の想像だけだが、風属性『クロス』が有効かもしれない。だから、一通り設置してみたんだ」
 カナックさんの説明によると、森から流れてくる強く濃度の濃い魔素から植物を守るため、風属性『クロス』を風模様の入れ物で強化して、魔素を風で押し返せないかと、言うことらしい。
 普段、魔素が濃くなると、植物園に光の結界張って風魔法を使って濃度を薄めているとか…。
 本来、『クルーラ』自体には、侵入者防止の結界が張ってあるので、強い魔素は入って来ないのだが、たまに流れ込んで来るらしい…。
 そのままにしておくと、『クルーラ』の中まで魔素が充満し、魔素中毒になる可能性も有るので、一番森に近い『植物園』と、『青の館』の訓練所が、それも監視しているそうだ。
 魔素の濃度は、何ヵ所にも設置してある魔道具を使って調べ、必要に応じて『植物園』の方にも、『青の館』から応援をもらうらしい…。
「とは言え、月に一度有るか無いかの事だから、まだ試していないけれどな…」
 今後、魔素濃度が濃くなった時に、試してみるそうだ。
 
 あと、闇属性『ヤッコ』の『吸収』も使えないかと、もらった『クロス』を『ヤッコ』に戻し、風属性の模様の入れ物に入れ、設置もしたそうだ。
 確か魔法の攻撃を『吸収』だから、魔素も『吸収』出きるかも…と、言うことなのだとか…。
 考えようによっては、有りかもしれない…。
 でも、『吸収』した後は、『ヤッコ』は、どうなるんだろう…。
 あま、それも試してみてからだね。

 うまく行けば『クルーラ』の森に近い建物に、『クロス』や『ヤッコ』を設置して、強すぎる魔素から『クルーラ』を守るのそうだ。
 僕にはわからないが、強い魔素ってどんな感じなんだろう…。
 確か、魔素に順応できないと、頭痛や吐き気がするって言っていたけれど、それがもっと強くなるって事かな…。
 ヒナキさんにソレを聞いてみると、カナックさんが苦笑いした。
「昔は、数十年に一度、強い魔素が吹き荒れて、『クルーラ』では住めなくなって、近くの村に避難していたんだぞ」
 そう答えてくれたヒナキさんは、懐かしそうに言う。
「何度、避難のために引っ越しをしたことか…」
 『クルーラ』に住めないくらい、強い魔素…。
 想像も付かない…。
「…でも、今は、大丈夫なんだよね?」
 オルガは不安になって聞くと、ヒナキさんは微笑んでくれた。
「大丈夫だよ。『クルーラ』が集落から村になった時、『クルーラ』全体に結界が張れるように魔道具を設置したからね。と、言ってもカナックが言うように、時々、魔素が入り込んでしまうけど…」
「昔みたいに、荒れ狂う魔素ではないから、避難するほどでもないしな」
 カナックさんが、チラリとヒナキさんの方を見て、そう答える。
「もともと俺達で対処できる程度だし、心配しなくても良いさ」
 そして、その負担を軽減させるために、折り魔紙マシの『クロス』と『ヤッコ』が使えるかもしれないと、言うこと…。
 無事に活用出来ると良いな…。


「とりあえず、今の現状はこんな所だ。…土属性の『クロス』については、まだ悩み中だ」
 この短期間に、三ヶ所も試していれば、無理だよ…。
 何人で植物園を運営しているか分からないが、交代で監視や記録をするにしろ、人手が足りなくなってしまう…。
「無理しすぎるなよ」
 ヒナキさんが僕と同じことを考えたのか、苦笑いして言った。
 うん。
 折り魔紙マシの活用法を探すのに、協力してくれるのは良いが、いろいろやり過ぎて、身体を壊さないでね。
 
 後日、今の段階の報告書を提出してくれるそうだ。
 『クルーラ』の他の場所でも、活用できるヒントになれば良いね。
 





 
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