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森の聖域クルーラ
初めての買い物 4
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「次はどこへ行く?」
「木工屋さん!」
テリヤさんのいる、お店だ。
木工屋さんも前の方がお店になっていて、後ろに木工所が有り、店の横の広場には、木造の小さな小屋が並んでいる。
三メートル四方くらいの小さな小屋と、折り魔紙用に作ってくれた僕のいる小屋と、その中間くらいの小屋、三棟が並んでいる。
これらも売り物で、荷物の運搬用や、仮設住宅として利用されるとか…。
そう言えば、地面にくっついていなかった。
運べるようになっているからだね…。
木工屋さんの店内は木の香りがした。
ここにも入り口付近に、木で作った置物が置かれており、棚には木のコップと皿が置かれている。
奥の方には、棚やテーブル、椅子などが置かれていて、部屋のようになっていた。
しばらく見て回ったけれど、コレと言って欲しいものはなかったので、木工屋さんを出る。
次は…。
オルガは木工屋さんの隣の建物を見る。
あれ?
この店は何の店だろう…?
外からは中の様子が見えない…。
「ここのお店は何のお店?」
オルガは、隣を歩くヒナキさんに聞く。
「ここは貸し本屋。『クルーラ』の住人は、自由に借りれるぞ」
「貸し本屋…」
どんな本が有るのだろう…。
「行ってみるか?」
「うん!」
向かった貸し本屋の扉を開けると、本独特の匂いがした。
折り魔紙を置いている小屋と同じくらいの店で、入り口にカウンターが有り、奥の本棚にはぎっしりと本が並べられていた。
「こんにちは。今日は何かお探しですか」
カウンターにいた男の人が聞いてくる。
「オルガは初めて使うから、仕組みを教えてあげてくれ」
ヒナキさんがそう言うと、カウンターの男の人、多分人族だと思う…。は、微笑んで教えてくれた。
ここには魔法、図鑑、地図などいろいろな本が有って、カウンターで『こんな本が見たい』と言ってくれれば、候補を何冊か持ってきてくれもするし、自分で探しても良いと言う。
本は、ここに見えるよりも多くあるので、目的がある場合は、カウンターに持ってきてもらう方が楽だとか…。
他にも、人族の方で流行っている娯楽小説も一部入荷していて、こちらは予約待ちと言う本もあるそうだ。
人族で流行っている本…。
ちょっと気になって、チラリと見せてもらった本は、小さい文字がびっしりと並んでいたので、断念した。
まだ、そこまで読めない…。
ソレ以外にも、ここに有る本を複写したい場合は、別料金を払うと、魔力紙に複写してくれて、『クルーラ』で複写されたモノ。と、言う『魔法印』が押され、文章の内容が改善されていないことを保証するそうだ。
複写したものを勝手に書き換えられても困るからね…。
僕がいつも見ているのは図鑑ばかりだから、何か違う本が良いな…。
そう思っていると、ヒナキさんが奥から、一冊の本を持ってきた。
「コレなんかどうだ?」
差し出されたのは、表紙に絵が書かれた薄い一冊の本。
オルガはそれを受け取り、1ページ開いてみる。
中身は絵と文字が書かれた本だった。
「コレは『絵本』。と、言っても、『クルーラ』の『絵本』だから、少し魔力を入れてみろ」
オルガが本に少し魔力を込めると、絵が立体的に浮かび上がってきた。
おおっ!
「中に魔方陣が組み込まれていて、浮かび上がるんだ。そのまま、次のページを捲れば、前の絵は消えて、次のページの絵が浮かび上がるだろう」
「面白いね」
「いつも図鑑ばかりだからな。違った本を読むなら、コレくらいの物語ぐらいから読み始めた方が、分かりやすいだろう」
「うん」
今まで読んでいたのは、図鑑。
説明書きと、用途、特徴などが書かれている。
物語はまだ、読んだことが無い…。
「まずはコレを借りて、読みなれてきたら、違う『絵本』を借りると良い」
「うん。わかった」
「こちらでも、何か読みやすそうなのを、準備しておきますよ」
カウンターの男の人がそう言って微笑んでくれる。
オルガは教えてもらいながら、貸し本の借り方の手続きを終え、鞄の中にしまった。
「ここには魔法の本も有るの?」
「有るよ。でも、初級の本を覚えてからだな。基礎知識が無くては、次の本を読んでもわからない事が多いからな」
「…やっぱりそうなんだ…」
最近、リーンさんが来ていないので、魔法の基礎練習をあまりやっていない…。
基本の魔力操作はやっても、まだ一人では、魔法の練習してはいけないと言われているから、あまり進んでいないのだ。
「まあ、自在に魔力操作だけでも出来るようになれば、すぐに覚えれるよ」
ヒナキさんはそう言って微笑む。
「…うん」
魔法の操作の危険性を教えてもらっているから、勝手に使ってみようとは思わない。
でもね、便利そうだから、早く使って見たい…気にはなるんだよね…。
「さて、次はどこへ行く?」
「うんとね…」
オルガはヒナキさんと一緒に『クルーラ』を散策しながら買い物を楽しんだ。
「木工屋さん!」
テリヤさんのいる、お店だ。
木工屋さんも前の方がお店になっていて、後ろに木工所が有り、店の横の広場には、木造の小さな小屋が並んでいる。
三メートル四方くらいの小さな小屋と、折り魔紙用に作ってくれた僕のいる小屋と、その中間くらいの小屋、三棟が並んでいる。
これらも売り物で、荷物の運搬用や、仮設住宅として利用されるとか…。
そう言えば、地面にくっついていなかった。
運べるようになっているからだね…。
木工屋さんの店内は木の香りがした。
ここにも入り口付近に、木で作った置物が置かれており、棚には木のコップと皿が置かれている。
奥の方には、棚やテーブル、椅子などが置かれていて、部屋のようになっていた。
しばらく見て回ったけれど、コレと言って欲しいものはなかったので、木工屋さんを出る。
次は…。
オルガは木工屋さんの隣の建物を見る。
あれ?
この店は何の店だろう…?
外からは中の様子が見えない…。
「ここのお店は何のお店?」
オルガは、隣を歩くヒナキさんに聞く。
「ここは貸し本屋。『クルーラ』の住人は、自由に借りれるぞ」
「貸し本屋…」
どんな本が有るのだろう…。
「行ってみるか?」
「うん!」
向かった貸し本屋の扉を開けると、本独特の匂いがした。
折り魔紙を置いている小屋と同じくらいの店で、入り口にカウンターが有り、奥の本棚にはぎっしりと本が並べられていた。
「こんにちは。今日は何かお探しですか」
カウンターにいた男の人が聞いてくる。
「オルガは初めて使うから、仕組みを教えてあげてくれ」
ヒナキさんがそう言うと、カウンターの男の人、多分人族だと思う…。は、微笑んで教えてくれた。
ここには魔法、図鑑、地図などいろいろな本が有って、カウンターで『こんな本が見たい』と言ってくれれば、候補を何冊か持ってきてくれもするし、自分で探しても良いと言う。
本は、ここに見えるよりも多くあるので、目的がある場合は、カウンターに持ってきてもらう方が楽だとか…。
他にも、人族の方で流行っている娯楽小説も一部入荷していて、こちらは予約待ちと言う本もあるそうだ。
人族で流行っている本…。
ちょっと気になって、チラリと見せてもらった本は、小さい文字がびっしりと並んでいたので、断念した。
まだ、そこまで読めない…。
ソレ以外にも、ここに有る本を複写したい場合は、別料金を払うと、魔力紙に複写してくれて、『クルーラ』で複写されたモノ。と、言う『魔法印』が押され、文章の内容が改善されていないことを保証するそうだ。
複写したものを勝手に書き換えられても困るからね…。
僕がいつも見ているのは図鑑ばかりだから、何か違う本が良いな…。
そう思っていると、ヒナキさんが奥から、一冊の本を持ってきた。
「コレなんかどうだ?」
差し出されたのは、表紙に絵が書かれた薄い一冊の本。
オルガはそれを受け取り、1ページ開いてみる。
中身は絵と文字が書かれた本だった。
「コレは『絵本』。と、言っても、『クルーラ』の『絵本』だから、少し魔力を入れてみろ」
オルガが本に少し魔力を込めると、絵が立体的に浮かび上がってきた。
おおっ!
「中に魔方陣が組み込まれていて、浮かび上がるんだ。そのまま、次のページを捲れば、前の絵は消えて、次のページの絵が浮かび上がるだろう」
「面白いね」
「いつも図鑑ばかりだからな。違った本を読むなら、コレくらいの物語ぐらいから読み始めた方が、分かりやすいだろう」
「うん」
今まで読んでいたのは、図鑑。
説明書きと、用途、特徴などが書かれている。
物語はまだ、読んだことが無い…。
「まずはコレを借りて、読みなれてきたら、違う『絵本』を借りると良い」
「うん。わかった」
「こちらでも、何か読みやすそうなのを、準備しておきますよ」
カウンターの男の人がそう言って微笑んでくれる。
オルガは教えてもらいながら、貸し本の借り方の手続きを終え、鞄の中にしまった。
「ここには魔法の本も有るの?」
「有るよ。でも、初級の本を覚えてからだな。基礎知識が無くては、次の本を読んでもわからない事が多いからな」
「…やっぱりそうなんだ…」
最近、リーンさんが来ていないので、魔法の基礎練習をあまりやっていない…。
基本の魔力操作はやっても、まだ一人では、魔法の練習してはいけないと言われているから、あまり進んでいないのだ。
「まあ、自在に魔力操作だけでも出来るようになれば、すぐに覚えれるよ」
ヒナキさんはそう言って微笑む。
「…うん」
魔法の操作の危険性を教えてもらっているから、勝手に使ってみようとは思わない。
でもね、便利そうだから、早く使って見たい…気にはなるんだよね…。
「さて、次はどこへ行く?」
「うんとね…」
オルガはヒナキさんと一緒に『クルーラ』を散策しながら買い物を楽しんだ。
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