眠っていた魔力紙を折紙みたいに折ったら、新しい魔法の使い方が出来たので、役立てます。

ゆう

文字の大きさ
上 下
45 / 182
森の聖域クルーラ

光の幕

しおりを挟む
 『コップ』に関して、一旦、収まりかけたら、今度は光属性『ツル』について、話がやって来た。


 何でも光属性『ツル』を三個、近場でほぼ同時くらいに魔力を込めたら、光の幕が出来たそうだ。
 光の幕?
 聞けば、その中にいれば、完全ではないが気配を消してくれ、外からはあまり分からず、外敵のヘビがこちらに気が付かず、通り過ぎて行ったそうだ。

 試しに折り魔紙マシの光属性の『ツル』に魔力を入れて、テーブルの上に三個、置いてみたけど、ただ光るだけで、幕は作らなかった。
 と、言うことは、入れ物に入れ状態だから、幕が出来るのだろか。
 試作品の入れ物と、予備の入れ物、そして僕が使っている鞄に付けた『ツル』を準備して、テーブルの上に向かい合わせに置いて魔力を入れた。
 最初は二つが反応して光の線が出来て、二つが繋がり、三個目に魔力を入れたら、三角に光の線が繋がり、その線から一辺と同じ長さの光が上空に上り、頂点で三本の光が繋がって、光の幕が放たれて三角スイの形になった。
「「「…。」」」
 一緒に見ていたヒナキさんと、テリヤさんと一緒に唖然としてしまった。
 こんな事って有るんだ…。
「…あぁ。光の幕だが、結界の効果までは無いな」
「結界?」
「ああ。全てのものから気配も、存在している事も、全て隠して守ってくれるモノだ」
「コレは専門外だね…」
「青の館のヤツを呼んだ方が良いな」
 確か、『青の館』の人は、警備や護衛などをしていると言っていた。
 あっ。
 獣馬の世話もしているんだったっけ…。
「ちょっと『青の館』に行って、非番の者で詳しそうなのが居ないか見てくるよ」
 そう言ってテリヤさんが小屋を出ていった。
「コレって、何かに使えるの?」
「ああ、そうだな。外で野宿をする時に、安全な場所を確保するのに使えるかもしれない」
「野宿…」
「そうだな。例えば今回、コレを教えてくれた狼族と虎族達は、村から『クルーラ』に向かっていて、日の入りまでにたどり着けなかった。それで、『クルーラ』の近くの広場で日の出を待つために泊まったけど、森の中はいろんな生き物が住んでいて、獣に狙われるかもしれないんだ。だから夜中は、交代で見張りをするんだけど、簡単に結界が張れれば、安心して身体を休めることが出来るからね」
「そうなんだ…」
 そう言えば、『クルーラ』は日の入りと同時に入り口が閉じると言っていた。
 それに間に合わなければ、『クルーラ』の外で夜を過ごすしかなない…。
 一人だったら怖いかも…。

 そして、ふと思って聞いてみた。
 旅をしていて、二つの光属性の『ツル』を同時に使うことが有るはずなのに、今まで何も報告が無かったと言うことは、何か条件が有るのかも…。
「そうだな。僕達も、実験に二つ同時に使った事が有ったけれど、光の幕は現れなかった…」
 何が違うのだろう…。
 向かい会って三角に…。
「「…。」」
 ヒナキさんの方を見ると、同時に目があった。
「僕達が使うときは、入れ物の正面を自分の方に向けて魔力を入れていた」
「うん。旅をしていた人が、僕みたいに鞄に付けていたなら、自分の方ではなく、足元を照らすように外を向いている」
 くらい夜道の、足元の安全を確保するために…。
「今回は広場で泊まるために、二人だけでなく、三人が向かい合って『ツル』に魔力を入れたから光の幕が現れた可能性は高い」
「うん。そんな気がする…」
 ヒナキさんも僕と同じ意見だったので、試してみようと、言うことになった。
 それ以外にも、光の幕の大きさがどれくらいまでなら有効か、広い場所でやってみよう。と、言うことで、ヒナキさんの店の裏側、僕が魔力の練習をしていた場所で、早速試して見る事にした。



 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

処理中です...