眠っていた魔力紙を折紙みたいに折ったら、新しい魔法の使い方が出来たので、役立てます。

ゆう

文字の大きさ
上 下
27 / 182
森の聖域クルーラ

折り方

しおりを挟む
 オルガが、文字を書くのに少し慣れてきたので、次は折り方の説明書を作ることになった。
 今は折った魔力紙マリョクシを使っているが、折れるのが僕と、ヒナキさん、リーンさんだけでは、いずれ折るのが追い付かないからだ。

 僕はともかく、ヒナキさんは『クルーラ』の村長なので、他の仕事も有るし、リーンさんは『森の守人』『森の管理者』と呼ばれる人で、長期で森の方に出向く事が有るの為、『クルーラ』に常駐しているわけではないからだ。
 なので、他の人にも折れるように、折り方の説明書を作った方が良いと言うことになった。

 魔法書を作る魔力紙マリョクシを準備して、ソレに魔力紙マリョクシで折った途中段階のモノを張り付けていく…。
 順番の数字と、片言の文字を書き込む。
 これも僕の文字を書く練習の一貫だ。
『角を合わせて三角に折る』
『斜めに折る』
『下に折る』
 など…。
 コレくらいなら、文章が長くないので、なんとかかける。
 ちょっと文字がイビツなのは愛嬌だと、ヒナキさんが言ってくれたので、気持ちが楽になって書くことも出来た。
 
 『コップ』は簡単だったが、『ツル』は説明が難しかった。
『中心に向けて左右を折る』
『折り目に沿って内側に折る』
 言葉にするって難しい…。
 途中段階の折ったモノを一緒に張り付けてあるから、分かるかな…くらいだ。
 出来上がったら、何人かに試してもらって完成になる。
 新しく折り方を思い出したら、常にコレを作っていって、原本にすると言っていた。
 保存すべきモノだそうだ。


 そんな作業をしながら、僕は幾つか思い出していたものが有る。
 一つは『フウセン』と呼ばれるものだ。
 全体を囲うような四角い箱のようなものと、言って良いのだろうか。
 こっちは、『ツル』や『コップ』と折り方が少し違う。
 最初に、横長の長方形になるように、二つの角を合わせて折って、さらに半分に折って正方形にする。
 ソコから四角を開いて三角にして、半分の三角を上に折り上げて…。
 最後に中に空気を入れるみたいに膨らませて、四角い『フウセン』になる。
 複雑ではないが、何に使えるのだろう…。
 見た目の感じでは、火の魔法で温かくなる石?みたいなものかな…。
 まあ、皆で考えていけば良いか…。
 
 もう一つは『コバコ』と呼ばれるもの。
 四角い普通の入れ物のようなモノ…。
 コレも折り方が少し変わっていて、四角に折り畳み一度広げて、角を中心に向かって三角に折り、もう一度中心に向かって折る。
 四面を同じように折り目を付けてから、少し開いて立体的に組み立てていく…。
 見た目的には小物入れ…。
 コレも何に使えるのだろう…。

 それぞれ、属性の魔法を掛けてみて、何が馴染みやすいか検証する所からだ。
 
 そう、折り方によって馴染みやすい魔法属性が違うことがわかった。
 『コップ』は基本、水の属性。
 他の属性の魔法も掛かるが、水が『コップ』に溜まるような、変わった変化はない。
 その点『ツル』は、光と火と風と闇と…。
 多くの属性が馴染んでくれた。
 折る数が多いからかな…。
 ヒナキさんはそうな風に言っていた。
 『フウセン』と『コバコ』はこれから検証だ。
 まだ馴染んでいない、土と木の属性が使えるようになると良いな…。

 これらも同時進行で、折り方の説明書を作っていく。
 それと、検証するための折った『フウセン』と『コバコ』も量産していく…。
 『クルーラ』に来て、目まぐるしい日々が続くけれど…。
 なんだか楽しいな…。
 オルガは自然と笑みを浮かべていた。
 


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

処理中です...