眠っていた魔力紙を折紙みたいに折ったら、新しい魔法の使い方が出来たので、役立てます。

ゆう

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森の聖域クルーラ

入れ物

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 徐々に魔力紙マリョクシで出きることが分かるようになり、今度は以前から言っていた、折った魔力紙マリョクシを運ぶための入れ物を考えることになった。
 
 リーンさんはしばらく出掛けると言って、基本の魔力紙マリョクシを小箱に百枚ほど入れて出掛けていった。
 森に何か異変が有ると、風霊フウレイ達がリーンさんに教えてくれて、ソレの対処に出掛けるのだと言う…。
 そう言えば、リーンさんの事『森の守り人』とかって言ってたもんな…。

 ヒナキさんも奥の部屋に隠るようになって、部屋から出てこない日が増えた。
 アレクさんが言うには、今までが珍しいそうだ。
 何か作業に入ると、部屋から出てこなくなり、五日ぐらい姿を見せないのだとか…。
 奥の部屋の空間が歪んでいるから、時間の感覚が無くなっているのだろう。と、言っていた。
 五日もお腹が空かないのかな…と、思ったけれど、こっちの時間は流れているけれど、奥の部屋の時間がゆっくりとしか動いていないのだとすれば、空かないのかも知れない…。
 でも、お腹が空くよ…。
 

 僕は最近、午前中はヒナキさんの店で、薬草の勉強も始めるようになった。
 植物園の人達が交代で『コバコ』を見に来て、その時に、薬草の性能とか組合せだとか、生息環境の事とかを、いろいろと教えてもらっている。
 今、『コバコ』に入れている種は、熱冷ましに使う薬草だけど、いずれ育てるのが難しいと言われる薬草を育てられるようにしたいからだ。
 植物園でも実験しているが、なかなか思うように成育してくれないそうだ。
 薬草だけでなく植物の本を見せてもらい、いろんな話を聞くのも楽しい…。
 
 午後からは、木工所の人が来て、小屋の奥に有る木箱の整頓や、模様にも意味が有ることを教えてもらい、模様の図鑑を見せてもらったりした。
 その中で、折った魔力紙マリョクシを、『コップ』や『ツル』を入れる入れ物の、模様をどうするのか考えることになった。
 入れ物は、魔力を繋ぎ止め、入れておくことによって長期間使用出きるようになるらしい。
 なので、折った魔力紙マリョクシに合わせた模様がいいそうだ。
 『コップ』は水の模様だよね…。
 『ツル』は、入れる属性によって模様を変えた方が良いのかも…。
 全部同じ形にして、模様だけを変え、折った魔力紙マリョクシを選んだときに、属性模様の入れ物にすれば、間違いないだろう…。
 入れ物の形は、僕が以前に作ってもらった魔力紙マリョクシを入れる縦型の入れ物を参考にしてもらった。
 自動調整は付けずに、『コップ』が入る大きさで、『ツル』が入る厚さ。
 縦が十センチ、横が八センチくらいの大きさ。
 取り出しやすいように、前側の中心を湾曲させてへこませ、上から半透明の布の蓋を付けて、中が見えるようにして、持ち運べるように後ろに金具を取り付けた。
 ちょっと大きいが、旅の御守りのように、鞄や袋に付けれるタイプだ。
 『コップ』は基本の大きさより少し小さい魔力紙マリョクシを使っている。
 基本の大きさだと、幅が大きすぎて、邪魔になりそうだからだ。
 木工所の人といろいろ考え、試作品を作ってもらって、僕も普段使う鞄に取り付けて、実際に使っている。

 僕が使っているのは、光魔法の『ツル』だ。
 ヒナキさんの店から白の館へ帰る時、暗くなってしまって、足元が見にくいとき、ほんの少し魔力を入れると、光を放ち、足元を照らしてくれる。
 光の模様が書かれているからか、『ツル』を入れている入れ物も、ほんのり光っているんだよね…。
 僕は鞄の前方のマチに付けているので、暗くても安心して歩くことが出きている。
 入れてある『ツル』は普通の魔力紙マリョクシより少し小さい大きさ。
 普通の魔力紙マリョクシでは、光が暗くて足元が見えなかったのだ。
 でも、獣人の人達は、普通の大きさでも十分だと言っていた。
 夜目が利くからみたい…。
 
 
 そんなお試しや、検証をしているうちに、気が付けば、僕が『クルーラ』に来て、三月ミツキが過ぎていた。
 


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