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森の聖域クルーラ
お試し
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オルガは部屋へ戻って、魔力紙の入った鞄を持って、談話室へと戻ってきた。
部屋に入ってから、何か期待に満ちた視線が刺さる。
うわ~っ。
ドキドキする…。
オルガはダンリーさんの隣に座り、鞄から魔力紙を一枚取り出すと、テーブルの上で『ツル』を折り始めた。
角と角を合わせて三角に折って、もう一度、三角に折って…。
オルガが順番に折っていくと、みんな興味を持って覗いてくる。
見られながら、緊張しながら、折り進み、『ツル』を折った。
折り終わると、リリスさんに光の魔法を掛けてもらう。
すると、ゆっくりと黄色く染まっていき、周りから「お~っ」と歓声が響く。
何度見ても、不思議だよね。
そして僕が羽を広げ、下から魔力を入れると、一瞬光って明かりを灯した。
「「「お~っ!」」」
「「凄い!」」
歓声が上がる。
やっぱり凄い事なんだ…。
「僕、こっちを試したい!」
「私も!同じ原理なら、光の魔法が使えなくても、明かりを灯せるのよね!」
凄い勢いで二人がオルガに近付いて来る。
「うっ、うん…」
オルガは手に持っていた『ツル』の羽を閉じると、明かりが消えた。
「「「おおっ…!」」」
再び歓声が上がり、オルガはビクっと驚いた。
さっきよりも近くで歓声が上がったからだ。
そっと上を向くと、オルガの周りにみんな集まっていて、オルガはドキドキしながら説明した。
「そっと羽を開いて、下から魔力を入れると明かりが灯るよ」
そう言って、目の前にいる兎族の女の人に『ツル』を渡す。
その人は嬉しそうに『ツル』の羽を開き、片手で『ツル』の羽を持つと、下から魔力を入れ、再び『ツル』が明かりを灯した。
「ああっ!明かりが灯った!」
そう言って、嬉しそうに『ツル』を片方の羽を持ったまま、振り回して跳び跳ねる。
ああ…。
無理すると破れるよ…。
多分…。
一応、魔力紙とは言え紙だと思うから…。
オルガは鞄から再び魔力紙を取り出し、『ツル』を折り始めた。
もう一人、試してくれると言った人の分と、オルガも自分の部屋で試してみるための、光の魔法を掛けた『ツル』も欲しかったからだ。
予備を含めて四枚折り終えて、リリスさんに光の魔法を掛けてもらい、黄色く『ツル』の色が変わった。
リリスさんも、思いついた事を検証してみると言って、一つ『ツル』を手に取り部屋へ戻っていった。
何を思いついたのだろう…。
ちょっと楽しみ。
そして案の定、最初に『ツル』を手にした兎族の女の人がジャンプしている内に明かりが消えてしまい、彼女は硬直し、恐る恐る『ツル』に視線を向けていた。
そして彼女は、しょんぼりと僕の所に戻ってきて、『ツル』を差し出してきた。
「ごめんなさい…」
「良いよ…」
オルガは『ツル』を受け取り観察する。
どうして消えたのか…。
今は、お試しの時で、観察して記録する事も大切だと教えてもらった。
見れば、破れはしなかったが、羽の付け根に折り目が付いて、羽が折り曲がってしまっていた。
オルガは目の前で、しょんぼりとしている彼女に言う。
「記録を書いてくれる?」
「えっ?!」
彼女は僕を不思議そうに見る。
「僕、まだ文字が書けなくて…」
「ああ…」
僕が『迷い人』だと言うことを忘れてたね。
「魔力紙の『ツル』に光の魔力を入れて、明かりが灯ったけれど、違う折り目が付いたら、明かりが消えたって」
「うん!書く書く!」
彼女は嬉しそうに頷く。
「あと、気が付いたことも!」
オルガがそう言い終える前に、彼女は談話室を飛び出し、自分の魔力ペンを持ってくると、用意してあった紙に書き込んでくれた。
そして『コップ』を使った人達が、口々に言うことを書き留めてもくれている。
オルガがダンリーさんの方を見ると、苦笑いして僕の頭を撫でてくれた。
これで良かった、って事だよね…。
さて、折り目が付いて、使えなくなくなると言うことは、持ち運びしたときに、鞄に入れた魔力紙に折り目が付いたり、折りたたんだ『ツル』が折れ曲がってもダメだと言うこと…。
持ち運んでいる内に、使えなくなるのはダメだよね…。
オルガは鞄の中から残りの魔力紙を取り出す。
枚数が有ったから、折れ曲がったりはしていない…。
「どうした?」
隣にいたダンリーさんが、僕の行動が気になって声をかけてきた。
「このまま鞄に魔力紙を入れて置いたら、くしゃくしゃになるなって…」
「そうだな…。ソレを入れる入れ物か…」
「うん。なるべく軽くて丈夫な方が良いけど…」
魔力紙とは言え、紙なのだ。
折り目を付けないように、持ち運びが出来ないと都合が悪い…。
鞄入れて持ち歩くなら、軽い方が良いし…。
するとダンリーさんが少し考えて、『コップ』を試している人達の方を向いて声をけた。
「おい。ペレス」
部屋に入ってから、何か期待に満ちた視線が刺さる。
うわ~っ。
ドキドキする…。
オルガはダンリーさんの隣に座り、鞄から魔力紙を一枚取り出すと、テーブルの上で『ツル』を折り始めた。
角と角を合わせて三角に折って、もう一度、三角に折って…。
オルガが順番に折っていくと、みんな興味を持って覗いてくる。
見られながら、緊張しながら、折り進み、『ツル』を折った。
折り終わると、リリスさんに光の魔法を掛けてもらう。
すると、ゆっくりと黄色く染まっていき、周りから「お~っ」と歓声が響く。
何度見ても、不思議だよね。
そして僕が羽を広げ、下から魔力を入れると、一瞬光って明かりを灯した。
「「「お~っ!」」」
「「凄い!」」
歓声が上がる。
やっぱり凄い事なんだ…。
「僕、こっちを試したい!」
「私も!同じ原理なら、光の魔法が使えなくても、明かりを灯せるのよね!」
凄い勢いで二人がオルガに近付いて来る。
「うっ、うん…」
オルガは手に持っていた『ツル』の羽を閉じると、明かりが消えた。
「「「おおっ…!」」」
再び歓声が上がり、オルガはビクっと驚いた。
さっきよりも近くで歓声が上がったからだ。
そっと上を向くと、オルガの周りにみんな集まっていて、オルガはドキドキしながら説明した。
「そっと羽を開いて、下から魔力を入れると明かりが灯るよ」
そう言って、目の前にいる兎族の女の人に『ツル』を渡す。
その人は嬉しそうに『ツル』の羽を開き、片手で『ツル』の羽を持つと、下から魔力を入れ、再び『ツル』が明かりを灯した。
「ああっ!明かりが灯った!」
そう言って、嬉しそうに『ツル』を片方の羽を持ったまま、振り回して跳び跳ねる。
ああ…。
無理すると破れるよ…。
多分…。
一応、魔力紙とは言え紙だと思うから…。
オルガは鞄から再び魔力紙を取り出し、『ツル』を折り始めた。
もう一人、試してくれると言った人の分と、オルガも自分の部屋で試してみるための、光の魔法を掛けた『ツル』も欲しかったからだ。
予備を含めて四枚折り終えて、リリスさんに光の魔法を掛けてもらい、黄色く『ツル』の色が変わった。
リリスさんも、思いついた事を検証してみると言って、一つ『ツル』を手に取り部屋へ戻っていった。
何を思いついたのだろう…。
ちょっと楽しみ。
そして案の定、最初に『ツル』を手にした兎族の女の人がジャンプしている内に明かりが消えてしまい、彼女は硬直し、恐る恐る『ツル』に視線を向けていた。
そして彼女は、しょんぼりと僕の所に戻ってきて、『ツル』を差し出してきた。
「ごめんなさい…」
「良いよ…」
オルガは『ツル』を受け取り観察する。
どうして消えたのか…。
今は、お試しの時で、観察して記録する事も大切だと教えてもらった。
見れば、破れはしなかったが、羽の付け根に折り目が付いて、羽が折り曲がってしまっていた。
オルガは目の前で、しょんぼりとしている彼女に言う。
「記録を書いてくれる?」
「えっ?!」
彼女は僕を不思議そうに見る。
「僕、まだ文字が書けなくて…」
「ああ…」
僕が『迷い人』だと言うことを忘れてたね。
「魔力紙の『ツル』に光の魔力を入れて、明かりが灯ったけれど、違う折り目が付いたら、明かりが消えたって」
「うん!書く書く!」
彼女は嬉しそうに頷く。
「あと、気が付いたことも!」
オルガがそう言い終える前に、彼女は談話室を飛び出し、自分の魔力ペンを持ってくると、用意してあった紙に書き込んでくれた。
そして『コップ』を使った人達が、口々に言うことを書き留めてもくれている。
オルガがダンリーさんの方を見ると、苦笑いして僕の頭を撫でてくれた。
これで良かった、って事だよね…。
さて、折り目が付いて、使えなくなくなると言うことは、持ち運びしたときに、鞄に入れた魔力紙に折り目が付いたり、折りたたんだ『ツル』が折れ曲がってもダメだと言うこと…。
持ち運んでいる内に、使えなくなるのはダメだよね…。
オルガは鞄の中から残りの魔力紙を取り出す。
枚数が有ったから、折れ曲がったりはしていない…。
「どうした?」
隣にいたダンリーさんが、僕の行動が気になって声をかけてきた。
「このまま鞄に魔力紙を入れて置いたら、くしゃくしゃになるなって…」
「そうだな…。ソレを入れる入れ物か…」
「うん。なるべく軽くて丈夫な方が良いけど…」
魔力紙とは言え、紙なのだ。
折り目を付けないように、持ち運びが出来ないと都合が悪い…。
鞄入れて持ち歩くなら、軽い方が良いし…。
するとダンリーさんが少し考えて、『コップ』を試している人達の方を向いて声をけた。
「おい。ペレス」
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