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森の聖域クルーラ
『コップ』 2
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アレクさんが『コップ』の入った木の箱を手に持ち、ヒナキさんが、リーンさんが取り出した魔力紙を持ち、再び店を飛び出していった。
「…。」
僕は呆然と二人を見送った。
そして、送り出したリーンさんが苦笑いして、二人が何処に行ったのか教えてくれた。
『コップ』と魔力紙を各館の管理人に配って、館で試し使いをしてもらう為だとか…。
新しい試みは、『クルーラ』全体で共有することによって、いろいろな改善点や新しい発見があるので、楽しいんだそうだ。
えっと…。
確か、今日の昼頃に魔力紙を折って、属性魔力を込めて使えることが分かって…。
まだ、夕方になってないよね…。
さっき、休憩のおやつを食べたところだよね…。
行動力…すごい…。
改めて思うオルガだった。
オルガは、リーンさんに言われて、再び魔力紙の入った箱から、最初に取り出した大きさと同じサイズの魔力紙を取り出すことになった。
まだ、検証段階だから、同じサイズの魔力紙がこれからも必要になるだろうと、言うことだった。
リーンさんが店の奥くから、僕が両手で抱えられるくらいの、フタ付きの、膝丈くらいの木の箱を持ってきてくれた。
オルガは真っ暗な空間に両手を入れて、手の大きさくらいの正方形の紙を思うと、両手で抱えられるくらい紙が姿を表した。
そしてソレを木の箱の中に入れていく…。
オルガは取り出せるだけ、同じ大きさの魔力紙を入れていった。
「もう、魔力紙が出てこなくなったよ」
何度も『これくらいの紙の大きさが欲しい』と、思っても、手の中には現れなくなった。
「今あるのは、ソレで終わりだね」
そう言ってリーンさんが、木の箱を覗く。
「思ったより少なかったな…」
そうなんだ…。
と、言っても、木箱に八分目くらいまで、無造作に魔力紙が入っている。
「これから沢山使うようになるから、専用の箱を作った方が良いかも知れないね」
「専用の箱?」
「そうだよ。いろんな魔力紙が入っている箱みたいにすれば、どれだけでも入るからね」
僕は目の前に有る、中身が真っ暗な空間の箱を見た。
確か空間魔法とか言っていたのだよね…。
「それよりオルガ。日が傾き始めたから、そろそろ帰った方が良いかも」
オルガはハッとして、窓の外を見る。
「本当だ!」
店の中が明るいから、気が付かなかった。
窓から見える外は、建物の影が濃くなり、向かいの店が、ほんのりと赤身を増してきていた。
暗くなる前に『白の館』に帰らないと、まだ慣れない道が分からなくなってしまうからだ。
獣人の人達は夜道でも、よく見えるらしく、村の中には外灯の様なものはほとんど無い。
光の魔道具で道を照らしながら歩くしかないけれど、木々に囲まれた『白の館』へ向かう道を間違えてしまいそうだからだ。
オルガは慌ててソファーの側に置いてある鞄を手に取り、店を出掛けて足を止めた。
そしてリーンさんの方を見る。
「魔力紙を少しもらっていっても良い?」
「良いよ」
リーンさんが微笑んで答えてくれたので、オルガは箱の中から魔力紙を取り出す。
二十枚くらい有れば良いかな…。
もし何か思い出したとき、折ってみるのに少し欲しいと思ったからだ。
オルガが、魔力紙を鞄の中に入れると、リーンさんが言ってきた。
「もし誰かが、魔力紙を欲しいって言ってきても、まだ、あげてはいけないよ。貸し出しをするだけね」
「貸し出し?」
オルガは首を傾げた。
「そう。試してもらって、使った結果や意見を書き留めてもらって、それと交換であげるんだよ」
「さっき言ってた、試し使い…」
リーンさんが微笑む。
「対価だよ。折った魔力紙と交換で、こちらは使ってみた情報をもらう」
「うん。わかった」
いわゆる交換条件になるのだろう。
お互いに欲しいものを手に入れるため、えっと物々交換みたいなモノと、考えれば良いのかな…。
リーンさんは微笑んで言う。
「また、明日ね」
「うん。また明日」
オルガはそう言って、ヒナキの店を出た。
日がゆっくりと沈み、辺り一面を赤く染めていく。
暗くなっちゃう!
オルガは足早に『白の館』へ帰っていった。
「…。」
僕は呆然と二人を見送った。
そして、送り出したリーンさんが苦笑いして、二人が何処に行ったのか教えてくれた。
『コップ』と魔力紙を各館の管理人に配って、館で試し使いをしてもらう為だとか…。
新しい試みは、『クルーラ』全体で共有することによって、いろいろな改善点や新しい発見があるので、楽しいんだそうだ。
えっと…。
確か、今日の昼頃に魔力紙を折って、属性魔力を込めて使えることが分かって…。
まだ、夕方になってないよね…。
さっき、休憩のおやつを食べたところだよね…。
行動力…すごい…。
改めて思うオルガだった。
オルガは、リーンさんに言われて、再び魔力紙の入った箱から、最初に取り出した大きさと同じサイズの魔力紙を取り出すことになった。
まだ、検証段階だから、同じサイズの魔力紙がこれからも必要になるだろうと、言うことだった。
リーンさんが店の奥くから、僕が両手で抱えられるくらいの、フタ付きの、膝丈くらいの木の箱を持ってきてくれた。
オルガは真っ暗な空間に両手を入れて、手の大きさくらいの正方形の紙を思うと、両手で抱えられるくらい紙が姿を表した。
そしてソレを木の箱の中に入れていく…。
オルガは取り出せるだけ、同じ大きさの魔力紙を入れていった。
「もう、魔力紙が出てこなくなったよ」
何度も『これくらいの紙の大きさが欲しい』と、思っても、手の中には現れなくなった。
「今あるのは、ソレで終わりだね」
そう言ってリーンさんが、木の箱を覗く。
「思ったより少なかったな…」
そうなんだ…。
と、言っても、木箱に八分目くらいまで、無造作に魔力紙が入っている。
「これから沢山使うようになるから、専用の箱を作った方が良いかも知れないね」
「専用の箱?」
「そうだよ。いろんな魔力紙が入っている箱みたいにすれば、どれだけでも入るからね」
僕は目の前に有る、中身が真っ暗な空間の箱を見た。
確か空間魔法とか言っていたのだよね…。
「それよりオルガ。日が傾き始めたから、そろそろ帰った方が良いかも」
オルガはハッとして、窓の外を見る。
「本当だ!」
店の中が明るいから、気が付かなかった。
窓から見える外は、建物の影が濃くなり、向かいの店が、ほんのりと赤身を増してきていた。
暗くなる前に『白の館』に帰らないと、まだ慣れない道が分からなくなってしまうからだ。
獣人の人達は夜道でも、よく見えるらしく、村の中には外灯の様なものはほとんど無い。
光の魔道具で道を照らしながら歩くしかないけれど、木々に囲まれた『白の館』へ向かう道を間違えてしまいそうだからだ。
オルガは慌ててソファーの側に置いてある鞄を手に取り、店を出掛けて足を止めた。
そしてリーンさんの方を見る。
「魔力紙を少しもらっていっても良い?」
「良いよ」
リーンさんが微笑んで答えてくれたので、オルガは箱の中から魔力紙を取り出す。
二十枚くらい有れば良いかな…。
もし何か思い出したとき、折ってみるのに少し欲しいと思ったからだ。
オルガが、魔力紙を鞄の中に入れると、リーンさんが言ってきた。
「もし誰かが、魔力紙を欲しいって言ってきても、まだ、あげてはいけないよ。貸し出しをするだけね」
「貸し出し?」
オルガは首を傾げた。
「そう。試してもらって、使った結果や意見を書き留めてもらって、それと交換であげるんだよ」
「さっき言ってた、試し使い…」
リーンさんが微笑む。
「対価だよ。折った魔力紙と交換で、こちらは使ってみた情報をもらう」
「うん。わかった」
いわゆる交換条件になるのだろう。
お互いに欲しいものを手に入れるため、えっと物々交換みたいなモノと、考えれば良いのかな…。
リーンさんは微笑んで言う。
「また、明日ね」
「うん。また明日」
オルガはそう言って、ヒナキの店を出た。
日がゆっくりと沈み、辺り一面を赤く染めていく。
暗くなっちゃう!
オルガは足早に『白の館』へ帰っていった。
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