眠っていた魔力紙を折紙みたいに折ったら、新しい魔法の使い方が出来たので、役立てます。

ゆう

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森の聖域クルーラ

『コップ』 1

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 オルガとリーンが魔力紙マリョクシの大きさで、明かりの強さが違うのだと、試し終わった頃、ヒナキとアレクが楽しそうに戻ってきた。

「お帰りなさい」
 リーンがそう言うと、オルガも慌てて言った。
「…お帰り…なさい」
 誰かを迎える挨拶には、まだなれない…。
 何故だろう…。
 でも、何度も繰返していけば、いつか自分のモノになるだろうか…。

魔力紙マリョクシのお試しは『コップ』からが、良さそうだよ。皆、『ツル』を折れない」
 ヒナキさんがそう言って、ソファーに座る。 
「俺だけでは無くて、安心したぞ」
 アレクさんが大きなタメ息を付いて、さっき持ち出した魔力紙マリョクシをテーブルに置く。
「うん?」
 アレクさんの視線がテーブルの上に置かれた、大きい『ツル』に向けられる。
「これは?」
魔力紙マリョクシの大きさが違うと、どうなるのか試してみたんだよ」
「大きいとぼんやり光るだけか…。小さいのは?」
「…目潰し」
「眩しすぎ。『クルーラ』では危険だね」
 オルガとリーンが苦笑いすると、ヒナキが面白そうに小さい黄色い『ツル』を手に取る。
「待った!オルガ、背中を向けるぞ!」
 リーンさんがそう言い、ヒナキに背を向け、僕も慌ててヒナキさんに背を向ける。
「ソレ程なのか?」
 アレクさんが興味津々に聞いてくる。
「試してみたら」
「いや、素直に俺も背を向ける」
 そう言ってアレクもヒナキに背を向けると、ヒナキは『ツル』の下から魔力を注ぎ込んだ。
 カッと辺りが眩しくなり、直ぐに光が収まった。
「すごい威力…」
 ヒナキは楽しそうに閉じた『ツル』を見る。
「…ハハッ。背を向けて良かった…」
 アレクは冷や汗をかきながらヒナキの方を向く。
「だから言ったでしょう。小さい『ツル』は魔力を凝縮しているみたいだね」
「そうだな。ソレを頭を置いて、いろいろ試してみてみるのも良いかもしれん」
 オルガはホッとしてテーブルの方を向く。
 ヒナキさん、楽しそうに小さい『ツル』を見てる…。
 眩しくなかったのかな…。


「話がそれたが、手始めは『コップ』から試してみよう」
 アレクさんの説明では、『コップ』ならば誰でも折ることが出来き、水魔法をかけると水が溜まる。
 水を取り出して、口を閉じると青色に変わったそうだ。
 その後は、水魔法が使えない者でも、口を開き魔力を込めれば水が溜まった。
 ならば、属性魔力を持っていなくても、これを使えば水を出すことができる。と言う、結論になった。

 まずは、『クルーラ』の住人と常連の客人に試してもらう事に…。
 その為、残っている魔力紙マリョクシに水魔法を掛けて、オルガが折ることになった。
 『折る』所からではなく、出来上がった『コップ』の反応を見る為だ。
 なるべく同じ形の方が良いだろうと言うことと、他の者達が折ったのは、あまり綺麗ではなく、うまく三等分に折れないからだそうだ。
 オルガの場合は、手が慣れていて、自然と三等分に折っていたから、統一された形になっている。
 折り方が簡単だから、次々と折っていく…。
 折り上がった『コップ』は、ゆっくりと青色に色が染まっていった。

 五十個ぐらい作っただろうか…。
 水魔法を掛けた魔力紙マリョクシを全て折り終わると、最後の一個を『コップ』ばかりが入った木の箱に入れた。
 いつの間にか、木の箱がテーブルに準備されて、その中に納めていた。
「各、館の方に十個もあれば良いだろう」
 アレクさんがそう言うと、リーンさんが微笑んで言う。
「水魔法を使えない人達にも使ってもらって、経過を書き留めて置いてもらおうね。それ以外にも何か思いつくかもしれないから」
「一緒に魔力紙マリョクシも渡さないと!」
 そう言って、リーンさんが魔力紙マリョクシの入った箱の蓋を開け、中から縦長の同じ大きさの魔力紙マリョクシを取り出した。
 なんか皆、楽しそう…。
 皆の行動が早すぎて、経過を理解するのに時間がかかってしまう…。
 僕は、まだ、ちょっと付いていけない…。
 瞬時に理解して、行動が出きるようになるかな…。
 ソレも馴れなのかも知れないけれど…。


 そんな事を思っていると、アレクさんが『コップ』の入った木の箱を手に持ち、ヒナキさんが、リーンさんが取り出した魔力紙マリョクシを持ち、再び店を飛び出していった。

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