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森の聖域クルーラ
リリス
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部屋の扉を叩く音にビックリして、僕は飛び起きた。
「…寝てたんだ…」
オルガはベットから降りて、扉を開くと、リリスがいた。
「オルガ君の服を持ってきたよ」
そう言って、袋に入った服を差し出して来た。
「ありがとうございます」
オルガはリリスから袋を受け取る。
「その、ダボダボの感じも可愛いね」
リリスにそう言われて微笑まれ、思い出す。
服が無かったから、ダンリーさんの服を借りたのだと…。
「…ダンリーさんの服を借りたから…」
どう返事したら良いのか迷っていると、リリスが言ってきた。
「服を着替えたら、夕食に行こうね」
「うん。着替えてくる」
そう言って僕は扉を閉めた。
オルガはリリスが持ってきてくれた服に着替え、借りていた服をベットの上に置く。
後で洗濯して、返さないと…。
着替え終わって部屋の扉を開けると、部屋の横の壁に寄りかかって、リリスが待っててくれた。
リリスが僕に気が付くと、壁から体を離して微笑み、僕の手を取り歩き始めた。
えっと…。
戸惑いながらも、リリスに引っ張られて廊下を歩く。
「室内用の履き物も欲しかったわね。明日、準備しておくわ」
そう言われてリリスの足元を見ると、足の前方を覆い隠すようなモコモコの履き物を履いていた。
「モコモコ?」
僕がそう言うとリリスが微笑む。
「これは私の趣味。でも、可愛いのを準備しようか?」
オルガは慌てて首を左右に振る。
「ふ、普通の…」
みんなが一般的に使っているモノの方が良いです…。
そしてリリスは楽しそうに言う。
「私ね、ココでは最年少だったから、年下の子が来てくれて嬉しいの。オルガ君、弟みたいな感じだから、お姉ちゃんって呼んでも良いわよ」
…お姉ちゃんって。
えっと…ソウ、呼んだ方が良いのだろうか…。
オルガが戸惑っていると、リリスは苦笑いする。
「いきなりそう言われても、難しいよね」
うん…。
僕は素直に頷いた。
まだ、『クルーラ』に来て、二日目。
リリスに会うのも二回目…。
もう少し、この環境に慣れてきてから、考えてみる…。
食堂に来ると、何人かの獣人達が夕食を食べていた。
しばらく目が慣れるまで、ジロジロ見てしまいそうで、戸惑う…。
すると僕に気が付いたダンリーさんが、近くにやって来て、食堂にいた人達に僕の事を紹介してくれた。
『迷い人』で、しばらくココで暮らすこと。
分からない事ばかりだろうから、手助けしてあげるとこと。
そう言ってくれた。
「オルガです。よろしくお願いします」
僕がペコリと頭を下げると、近くにいた犬の獣人の女の人が突進してきた。
「可愛い!」
そう言ってリリスと手を繋いだままの僕を、ギュット抱き締めてきた。
くっ、苦しい…。
それに、頭の上に何か柔らかいものが当たっている…。
「ちょっ、ちょっと!」
リリスが僕の手を引っ張り、女の人の腕の中から脱出すると、今度は、リリスの柔らかい胸に顔を押し当てられた。
「オルガは私の弟になるんだから!勝手に抱きつかないで!」
あの…苦しいです…。
それに、弟ではないです…。
「何よ、良いじゃない」
「はい、そこまで」
そう言って、言い合いになり始めたリリスから引き離し、助けてくれたのは、ダンリーさん。
「オルガ君。お腹空いてるよね。定食取りに行こう」
そう言って調理場の方に誘導され、おやつを出してくれた熊族のヨウドさんの元に向かった。
チラリとリリスの方を見ると、女の人とまだ言い合っている…。
「賑やか…」
僕がそう言うと、ダンリーさんは苦笑いして言う。
「嫌な時は、嫌だとハッキリ言えば良いよ」
オルガは首を傾げた。
「…何が起こっているのか、よく分からなかった…」
「まあ、そうだね…」
ダンリーさんは苦笑いしながら僕の頭を撫でてくれた。
「僕達と一緒に食べよう」
そう言って、ダンリーさんが食堂の奥の方を指差す。
ああ…。
指差す方は、男の人ばかりが集まって食事をしていて、こちらに気が付き、手を振ってくれる。
…うん。
あっちの方が落ち着きそう…。
オルガは食事をもらい、ダンリーさん以外の住人の自己紹介されながら夕食を食べた。
…うん。
なんとか、一緒に生活していけるよね…。
少し不安だが、こうして手助けしてくれる人もいる。
そして僕の『クルーラ』での生活が始まった。
「…寝てたんだ…」
オルガはベットから降りて、扉を開くと、リリスがいた。
「オルガ君の服を持ってきたよ」
そう言って、袋に入った服を差し出して来た。
「ありがとうございます」
オルガはリリスから袋を受け取る。
「その、ダボダボの感じも可愛いね」
リリスにそう言われて微笑まれ、思い出す。
服が無かったから、ダンリーさんの服を借りたのだと…。
「…ダンリーさんの服を借りたから…」
どう返事したら良いのか迷っていると、リリスが言ってきた。
「服を着替えたら、夕食に行こうね」
「うん。着替えてくる」
そう言って僕は扉を閉めた。
オルガはリリスが持ってきてくれた服に着替え、借りていた服をベットの上に置く。
後で洗濯して、返さないと…。
着替え終わって部屋の扉を開けると、部屋の横の壁に寄りかかって、リリスが待っててくれた。
リリスが僕に気が付くと、壁から体を離して微笑み、僕の手を取り歩き始めた。
えっと…。
戸惑いながらも、リリスに引っ張られて廊下を歩く。
「室内用の履き物も欲しかったわね。明日、準備しておくわ」
そう言われてリリスの足元を見ると、足の前方を覆い隠すようなモコモコの履き物を履いていた。
「モコモコ?」
僕がそう言うとリリスが微笑む。
「これは私の趣味。でも、可愛いのを準備しようか?」
オルガは慌てて首を左右に振る。
「ふ、普通の…」
みんなが一般的に使っているモノの方が良いです…。
そしてリリスは楽しそうに言う。
「私ね、ココでは最年少だったから、年下の子が来てくれて嬉しいの。オルガ君、弟みたいな感じだから、お姉ちゃんって呼んでも良いわよ」
…お姉ちゃんって。
えっと…ソウ、呼んだ方が良いのだろうか…。
オルガが戸惑っていると、リリスは苦笑いする。
「いきなりそう言われても、難しいよね」
うん…。
僕は素直に頷いた。
まだ、『クルーラ』に来て、二日目。
リリスに会うのも二回目…。
もう少し、この環境に慣れてきてから、考えてみる…。
食堂に来ると、何人かの獣人達が夕食を食べていた。
しばらく目が慣れるまで、ジロジロ見てしまいそうで、戸惑う…。
すると僕に気が付いたダンリーさんが、近くにやって来て、食堂にいた人達に僕の事を紹介してくれた。
『迷い人』で、しばらくココで暮らすこと。
分からない事ばかりだろうから、手助けしてあげるとこと。
そう言ってくれた。
「オルガです。よろしくお願いします」
僕がペコリと頭を下げると、近くにいた犬の獣人の女の人が突進してきた。
「可愛い!」
そう言ってリリスと手を繋いだままの僕を、ギュット抱き締めてきた。
くっ、苦しい…。
それに、頭の上に何か柔らかいものが当たっている…。
「ちょっ、ちょっと!」
リリスが僕の手を引っ張り、女の人の腕の中から脱出すると、今度は、リリスの柔らかい胸に顔を押し当てられた。
「オルガは私の弟になるんだから!勝手に抱きつかないで!」
あの…苦しいです…。
それに、弟ではないです…。
「何よ、良いじゃない」
「はい、そこまで」
そう言って、言い合いになり始めたリリスから引き離し、助けてくれたのは、ダンリーさん。
「オルガ君。お腹空いてるよね。定食取りに行こう」
そう言って調理場の方に誘導され、おやつを出してくれた熊族のヨウドさんの元に向かった。
チラリとリリスの方を見ると、女の人とまだ言い合っている…。
「賑やか…」
僕がそう言うと、ダンリーさんは苦笑いして言う。
「嫌な時は、嫌だとハッキリ言えば良いよ」
オルガは首を傾げた。
「…何が起こっているのか、よく分からなかった…」
「まあ、そうだね…」
ダンリーさんは苦笑いしながら僕の頭を撫でてくれた。
「僕達と一緒に食べよう」
そう言って、ダンリーさんが食堂の奥の方を指差す。
ああ…。
指差す方は、男の人ばかりが集まって食事をしていて、こちらに気が付き、手を振ってくれる。
…うん。
あっちの方が落ち着きそう…。
オルガは食事をもらい、ダンリーさん以外の住人の自己紹介されながら夕食を食べた。
…うん。
なんとか、一緒に生活していけるよね…。
少し不安だが、こうして手助けしてくれる人もいる。
そして僕の『クルーラ』での生活が始まった。
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