上 下
8 / 182
森の聖域クルーラ

光の魔道具

しおりを挟む
 ダンリーさんの後に付いていって、最初に案内されたのは、僕の部屋になる部屋だった。
 扉を開けると、ベットと机、イス、本棚があった。
 宿屋の部屋より大きい…。
 倍くらいの広さだ。
 本棚の下にはカゴがいくつも置いてあって、ソコに衣服を片付けるのに使うらしい。
 部屋の明かりは机の上に置かれている光の魔道具。
 使い方をダンリーさんに教えてもらった。
 ランタンの蓋を開けて、中に光の魔石を嵌め込み、蓋を閉めて横に付いている捻りを動かせば、明かりが灯ると…。
 オルガは言われた通りに蓋を開け、魔石を嵌め込み、蓋をして、捻りを回すと明かりが灯った。
「うわぁっ…」
 思わず感動して声をあげてしまった。
 ダンリーさんには、宿屋では使わなかったのかと聞かれ、夕食を食べて直ぐに寝てしまったから、使わなかった。と、言ったら苦笑いされた。

 いったん光の魔道具の明かりを消して、カバンを机の上に置くと、共同で使う設備を説明するからと、部屋を出た。
 建物は中庭を囲むように四角くなっていて、玄関から一番遠い場所にお手洗いと風呂場が有り、僕の部屋から、中庭を挟んで反対側に食堂と談話室があった。
 食堂は、常に誰かが居るようになっているので、食事の時間はいつでも言いそうだ。
 

「そう言えば…昨日、夕食を食べて直ぐに寝てしまった…って、いっていたよな」
 ダンリーさんが思い出したように言い、僕はコクりと頷いた。
 だって、いろんな事をいっぺんに知って、気疲れしてしまったからだ。
「僕は気にならないけれど、ココに居る獣人達は匂いに敏感だから、彼女達が帰ってくる前にお風呂に入ろう。使い方も教えるから」
 ダンリーさんにそう言われたが…。
「…着替え、まだ無いけど…」
「ああ、そうだった。リリスが持ってきてくれるのか…」
 彼は少し考えこんだ。
 リリスさんには、早めに仕事を終えて帰るように、リーンさんがお願いしてくれる、と言っていた…。
 だから、夕方には僕の着替えは届く予定だけど…。
「とりあえず、僕のを貸してあげるから、風呂場に行こう」
 ダンリーさんは、自分の部屋に戻り、僕に貸してくれる分の服と、自分の着替えを取りに行った。


 風呂から上がると、ダンリーさんの服の袖を何回も折り曲げ、ズボンが下がらないようにベルトで腰を絞め、ズボンの丈も折り曲げて、ダボダボの状態で服を着替えた。
 服が大きさ過ぎて、動きにくいが仕方ない…。
 ズボンの尻尾の穴の部分は、僕の腰くらいの位置だったので、腰の位置でベルトを止めたから、布を寄せて隠し、上の余分を折り曲げたから、見えない…。
 しばらくこの状態だ…。
 洗濯物は、風呂場の脱衣場に有る箱に入れて、スイッチを押すと、自動で洗い乾かしてくれると言う…。
 これも魔道具だそうだ。
 便利…。
 ただ、泥が付いたり汚れが酷い服とかは、汚れを落としてからで無いと使用禁止だそうだ。
 風呂に入るときに、脱いだ服を入れてスイッチを押し、洗濯されて乾いた服を再び着る強者もいるらしい…。
 その人の真似はしなくて良いから、毎日とは言わないが、洗濯物は溜めないように言われた。
 
 一通り、『白の館』の魔道具の使い方を教えてもらったが、初めて使う魔道具の場合は、近くにいる誰かに使い方を確認して聞いて、使用するように言われた。
 実際に生活し初めてみないと、分からない事もあるよね…。
 
 それからオルガは、ダンリーさんと一緒に食堂に行き、おやつを食べた。
 僕はリンゴジュースとパンケーキ。
 ダンリーさんは紅茶とパンケーキ。
 シンプルなパンケーキだけど、美味しい…。
 僕が夢中になって食べていると、調理場から多分熊族の人がもう一皿、パンケーキを持ってきてくれた。
「たくさん食べて、大きくなれ」
「あっ、ありがとうございます」
 僕はお礼を言って、もう一皿分、パンケーキを食べた。
 夕食、食べれるかな…。

 
 僕は自分の部屋に戻り、ベットに横になった。
 食べすぎた…。
 ボーッと天井を見上げ、これからの事を考える。
 明日から、ヒナキさんの店に行って、いろいろな事を教えてもらいながら、魔法と言う不思議なモノを教えてもらう…。
 たぶん、なんとか、ココで生活していける…よね。
 そう自分に言い聞かせながら、オルガはお昼寝に突入していた。




 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

超時空スキルを貰って、幼馴染の女の子と一緒に冒険者します。

烏帽子 博
ファンタジー
クリスは、孤児院で同い年のララと、院長のシスター メリジェーンと祝福の儀に臨んだ。 その瞬間クリスは、真っ白な空間に召喚されていた。 「クリス、あなたに超時空スキルを授けます。 あなたの思うように過ごしていいのよ」 真っ白なベールを纏って後光に包まれたその人は、それだけ言って消えていった。 その日クリスに司祭から告げられたスキルは「マジックポーチ」だった。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

見よう見まねで生産チート

立風人(りふと)
ファンタジー
(※サムネの武器が登場します) ある日、死神のミスにより死んでしまった青年。 神からのお詫びと救済を兼ねて剣と魔法の世界へ行けることに。 もの作りが好きな彼は生産チートをもらい異世界へ 楽しくも忙しく過ごす冒険者 兼 職人 兼 〇〇な主人公とその愉快な仲間たちのお話。 ※基本的に主人公視点で進んでいきます。 ※趣味作品ですので不定期投稿となります。 コメント、評価、誤字報告の方をよろしくお願いします。

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

処理中です...