13 / 182
森の聖域クルーラ
魔力紙(マリョクシ)1
しおりを挟む
オルガが『クルーラ』に来て、五日が過ぎていた。
少し『クルーラ』の環境に慣れてきたオルガは、昼食後、魔法の勉強が始まる前に、毎日通うヒナキの店の商品を見て回れるくらい、心に余裕が出てきた。
何となく、気にはなってたんだよね…。
店内は、村人が遊びで作った商品ばかりが置かれているコーナや、量産型の商品や、試作品などが置かれていて、書かれた説明を読み、意味が分からない事はヒナキさんに聞いて、納得して、少し触らせてもらったりした。
これらの商品は、そのまま購入することも出きるし、製作の解説書を購入することも出きるそうだ。
僕が勉強している机の側の壁一面の棚に、本や紐で綴じただけの用紙が無造作に並べられていて、そこに製作の解説書があると言う…。
探すの大変そう…と、思ったが、これも魔法で商品と紐付けされているようで、直ぐに分かるそうだ。
はぁ…。
魔法って凄い…。
量産型の棚に何も書かれていない紙と、大小様々さ大きさの本…何も書かれていない本が置いてあった。
何も書かれていない本を販売しているのだろうか…。
「これは…?」
オルガがヒナキに聞くと、『クルーラ』の魔力を帯びた木で作られた『魔力紙』だと教えてくれた。
『魔力紙』で作られた本は、長い年月がたっても紙の劣化がほとんどなく、研究の成果を直接書き込み、後世に残すために使われるのだと。
紙だけの方は、書き込んだ後、『複製の魔法』を使って量産するときに使うそうだ。
同じ『魔力紙』でも、いろいろな用途で状態が違うんだ…。
ふと、同じ棚の一番下に、僕が抱えられるくらいの大きな箱が目に入った。
派手な装飾がされているが、少し薄汚れている。
これも販売する商品?
そう思って聞いてみると、これは大きさがバラバラな『魔力紙』が入っていて、本や客注分を作った時、出てきた半端だそうだ。
半端とは言え魔力が込められた『魔力紙』なので、もったいないから使い道があればと、置いてあると言う。
開けてみて良いと言うので蓋を開けると、真っ暗な空間が有るだけで、何も入っていなかった。
オルガは首を傾げ、ヒナキさんの方を見ると、
「手を入れて、『これくらいの紙の大きさが欲しい』と、紙の大きさを考えてごらん」
そう言われたので、恐る恐る箱の真っ暗な空間に手を入れ、手の大きさくらいの正方形の紙を思うと、手の中に紙が姿を表した。
「ええっ?!」
驚く僕にヒナキさんは微笑んだ。
「面白いだろ。その箱は魔力紙限定の空間魔法がかけられていて、どれだけでも入る」
魔力紙限定の空間魔法…。
また変わった名前が出てきたぞ…。
魔力紙限定って事は、魔力紙だけが入っている箱だと言うことだよね…。
空間魔法って言うのがよく分からないけれど…。
リーンさんに後で聞いてみよう。
「村の住人は、覚え書きとかメモ帳に使ってる。手に取った紙は取り出して使えば良いよ」
そう言われたので、オルガは箱から出した紙を眺めてみる。
見た目的には普通の紙と変わらないような気がするけれど…。
「ちなみに、『クルーラ』で使っている紙は全部『魔力紙』だからな」
「…。」
それなら普段見ているのと一緒だ…。
オルガはその紙をテーブルのところまで持ってきて、ソファーに座り、手にした『魔力紙』をジッと眺める。
なんだろう…。
何か思い出しそうな気がするんだけど…。
オルガは手首を動かしながら『魔力紙』をくるくると動かした。
ただの紙…なんだよね…。
オルガがテーブルの上にその『魔力紙』を置くと、無意識に手が動いた。
少し『クルーラ』の環境に慣れてきたオルガは、昼食後、魔法の勉強が始まる前に、毎日通うヒナキの店の商品を見て回れるくらい、心に余裕が出てきた。
何となく、気にはなってたんだよね…。
店内は、村人が遊びで作った商品ばかりが置かれているコーナや、量産型の商品や、試作品などが置かれていて、書かれた説明を読み、意味が分からない事はヒナキさんに聞いて、納得して、少し触らせてもらったりした。
これらの商品は、そのまま購入することも出きるし、製作の解説書を購入することも出きるそうだ。
僕が勉強している机の側の壁一面の棚に、本や紐で綴じただけの用紙が無造作に並べられていて、そこに製作の解説書があると言う…。
探すの大変そう…と、思ったが、これも魔法で商品と紐付けされているようで、直ぐに分かるそうだ。
はぁ…。
魔法って凄い…。
量産型の棚に何も書かれていない紙と、大小様々さ大きさの本…何も書かれていない本が置いてあった。
何も書かれていない本を販売しているのだろうか…。
「これは…?」
オルガがヒナキに聞くと、『クルーラ』の魔力を帯びた木で作られた『魔力紙』だと教えてくれた。
『魔力紙』で作られた本は、長い年月がたっても紙の劣化がほとんどなく、研究の成果を直接書き込み、後世に残すために使われるのだと。
紙だけの方は、書き込んだ後、『複製の魔法』を使って量産するときに使うそうだ。
同じ『魔力紙』でも、いろいろな用途で状態が違うんだ…。
ふと、同じ棚の一番下に、僕が抱えられるくらいの大きな箱が目に入った。
派手な装飾がされているが、少し薄汚れている。
これも販売する商品?
そう思って聞いてみると、これは大きさがバラバラな『魔力紙』が入っていて、本や客注分を作った時、出てきた半端だそうだ。
半端とは言え魔力が込められた『魔力紙』なので、もったいないから使い道があればと、置いてあると言う。
開けてみて良いと言うので蓋を開けると、真っ暗な空間が有るだけで、何も入っていなかった。
オルガは首を傾げ、ヒナキさんの方を見ると、
「手を入れて、『これくらいの紙の大きさが欲しい』と、紙の大きさを考えてごらん」
そう言われたので、恐る恐る箱の真っ暗な空間に手を入れ、手の大きさくらいの正方形の紙を思うと、手の中に紙が姿を表した。
「ええっ?!」
驚く僕にヒナキさんは微笑んだ。
「面白いだろ。その箱は魔力紙限定の空間魔法がかけられていて、どれだけでも入る」
魔力紙限定の空間魔法…。
また変わった名前が出てきたぞ…。
魔力紙限定って事は、魔力紙だけが入っている箱だと言うことだよね…。
空間魔法って言うのがよく分からないけれど…。
リーンさんに後で聞いてみよう。
「村の住人は、覚え書きとかメモ帳に使ってる。手に取った紙は取り出して使えば良いよ」
そう言われたので、オルガは箱から出した紙を眺めてみる。
見た目的には普通の紙と変わらないような気がするけれど…。
「ちなみに、『クルーラ』で使っている紙は全部『魔力紙』だからな」
「…。」
それなら普段見ているのと一緒だ…。
オルガはその紙をテーブルのところまで持ってきて、ソファーに座り、手にした『魔力紙』をジッと眺める。
なんだろう…。
何か思い出しそうな気がするんだけど…。
オルガは手首を動かしながら『魔力紙』をくるくると動かした。
ただの紙…なんだよね…。
オルガがテーブルの上にその『魔力紙』を置くと、無意識に手が動いた。
45
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説


【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
やっと買ったマイホームの半分だけ異世界に転移してしまった
ぽてゆき
ファンタジー
涼坂直樹は可愛い妻と2人の子供のため、頑張って働いた結果ついにマイホームを手に入れた。
しかし、まさかその半分が異世界に転移してしまうとは……。
リビングの窓を開けて外に飛び出せば、そこはもう魔法やダンジョンが存在するファンタジーな異世界。
現代のごくありふれた4人(+猫1匹)家族と、異世界の住人との交流を描いたハートフルアドベンチャー物語!

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

異世界転生漫遊記
しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は
体を壊し亡くなってしまった。
それを哀れんだ神の手によって
主人公は異世界に転生することに
前世の失敗を繰り返さないように
今度は自由に楽しく生きていこうと
決める
主人公が転生した世界は
魔物が闊歩する世界!
それを知った主人公は幼い頃から
努力し続け、剣と魔法を習得する!
初めての作品です!
よろしくお願いします!
感想よろしくお願いします!

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる