神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

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二人の旅の始まり

桜 1

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 全員が揃った翌日、庭園に出て、お花見を楽しんだ。
 『桜』はまだ、五分咲きくらいだが、優しいピンク色の花を咲かせて、リーン達を楽しませた。
 明日からは、近所の方達に『桜』を楽しんでもらうために、庭園を解放するので、そのため少し早めのお花見だ。

 昼前から『桜』の木の下には敷物を敷いて、リーンはキースとニーナとジーンと寝転び『桜』の木を見上げ、キリトとマークとカムイは『桜』の木の側にテーブルと椅子を出して、昼食の準備をしている。
 シロエとリシトは庭園を駆け回り、キャアキャアとはしゃぎながら追いかけっこをしている。
 仲良くなってくれて良かった。
 ルークは書斎で、秘密裏に各所から回ってきた書類に目を通し、昼までに終わらせると意気込んで、ユーリは部屋の中でユリトと遊んでいる。
 ロキは昼からタミネキ村の神殿で、子供達に教える授業が有ると、戻ってしまっていた。
 ロキが子供達に、教えるね…。
 ジーンとつがいになって、ロキは変わった。
 狼獣人の里を守るだけでなく、他族との交流も積極的にするようになり、神殿で子供達に教えるくらいに…。 
 まあ、つがいを得て、視野が広がって見えるのは、とても良いことだし、自分もそうだったな…とリーンは思った。
 リーン達がのんびり『桜』を見上げていると、『桜』の木霊モモが、眠そうに姿を現した。
「おはよう」
 リーンが声をかけると、モモは驚いてリーンを見て、そして微笑んだ。
「おはよう…。久しぶりに、『おはよう』って言われた…」
 モモは少し戸惑いながらリーンを見る。
「「わぁ…『桜』の木霊様だ」」
 目をキラキラと輝かせ、キースとニーナがモモを見上げる。
「こんにちは」
「「こんにちは!」」
「ふふ。可愛いわね」
 モモが微笑むと、リーンはシロエとリシトの方を指差す。
「もうひとつ、可愛いの居るよ」
「あら、尻尾を追いかけているのね」
 モモはシロエとリシトの方を見て楽しそうに笑い、リーンに言う。
「ねぇ、少し魔力を分けてくれるかしら」
「良いよ」
 リーンは立ち上がり、『桜』の木に手を触れさせ、ゆっくりと魔力を送り込んだ。
 するとモモはニコニコと笑い、五分咲きだった『桜』の花が開き出し、七分咲きになった。
「もう良いわよ」
 モモに声をかけられ、リーンが魔力を止めると、さっきよりも鮮やかな『桜』が咲き誇っていた。
 魔力で開花するものなのか?
 …『桜』の木霊のモモだからなのか…。
「リーンすごい…」
 子供達はキラキラとした目でリーンを見て、そして『桜』を見上げた。
 時折、風が吹くと、花びらがヒラリと舞い落ちて来て、シロエとリシトが拾おうと手を伸ばす。
 ふふ。可愛いな…。
 …最近、孫達を見て、『可愛い』しか言ってないような気がする…。
 リーンは一時の、安らぎを楽しんだ。

 
 
 
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