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二人の旅の始まり
再会 1
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リーンとルークは、のんびりとヤマツカ町の屋敷で暮らしていた。
ほんの少しピンク色に染まった『桜』の蕾は、そろそろ開花を教えてくれる。
マークは各地に連絡を入れ、気候により数日後には咲き始めるだろう事を伝えていた。
誰が最初に来るだろう…。
リーンは屋敷にある、薬草園の手入れを手伝いながら子供達が来るのを待っていた。
屋敷の正門の方から馬車が止まる音がした。
リーンは作業中の手を止めて、屋敷内に入ると、玄関の方からバタバタと足音が響いてきた。
「「リーン!!」」
少し身長が伸びたキースとニーナが廊下を走ってきて、リーンに抱きついてくる。
リーンはよろけながら二人を受け止め、身長がリーンの胸の高さくらいまで伸びた二人を抱き締める。
大きくなったな…。
二人の様子は、こっそりと見ていたが、ココまで身長が高くなっているとは思わなかった。
「元気そうで良かった」
リーンが微笑んで言うと、二人は顔を上げてリーンを見て来て、再びギュッとリーンにしがみつく。
寂しい思いをさせてしまったな…。
リーンは二人の頭を撫でてあげ、部屋の中に入るよう促した。
驚くだろうな…。
リーンに引っ付いたままのキースとニーナと一緒に部屋の中に入ると、二人は急に固まって動かなくなってしまった。
そっと二人を見ると、目を丸くして一点を凝視して見ている。
その視線の先に居るのは、ソファーに寄りかかりながら、書類を広げて読んでいるルーク。
ルークはこちらに気が付き、ニコリと微笑んだ。
「おっ、よく来た。キース、ニーナ」
「「…。」」
二人はリーンにギュッとしがみつき、じっとルークを見ている。
「…少し若返ったから、俺の事が分からない…か…」
ルークは苦笑いしてリーンを見る。
「少しではないよ」
キースとニーナ達が産まれる前の姿なのだから…。
「…お父…様…?」
ニーナがぼそりと呟く。
「おう。ニーナとキースのお父様だ」
ルークはそう言って笑う。
「…お父様…?」
キースもぼそりと呟いて、リーンを見上げる。
「そうだよ。だいぶん若返ったけれど、ニーナとキースのお父様だよ」
リーンもそう言って微笑むと、再びルークの方を向いて、リーンにしがみついていた手を緩めた。
「「お父…様…」」
二人はルークに向かって駆け出し、ソファーに座るルークの両サイドからしがみつく。
ルークは書類をテーブルに置いて、二人の頭を撫でてあげる。
「しばらく会わない間に、また、大きくなったな…」
ルークは嬉しそうに二人を抱き締めていた。
ニーナとキースがルークにしがみつき、二人の気持ちが落ち着くまで、しばらく待っている間にリーンは、テーブルに置いてあった書類をまとめて別の机に置いた。
そこへ二人の付き添いで来たカズキが部屋に入って来て、ルークと二人の様子を見て微笑んだ。
「やっぱり、そうなりましたね」
「ああ。二人には理由と、これからの事を話さないとな」
そう。
ルークは亡くなった事になっているのだから、表だって姿を見せないことを…。
キースとニーナが少し落ち着いて、でも、ルークの側から離れずにソファーに座っているのを微笑みながら見て、温かいミルクを渡した。
二人はホゥと息をつきながらミルクを飲んでいた。
そしてルークが若返ったのは、体内の魔力変動不調のため、特殊な時間を戻す魔法を使って戻ったのだと説明した。
だけどこれは秘密の事なので、誰にも言ってはいけない事。
そしてルークは亡くなった事になっているから、生きている事も秘密なのだと説明した。
二人は首を傾げながら聞く。
「…お父様の事は秘密なの?」
「ああ。秘密だ」
「ずっとココに居るの?」
「リーンと一緒にいる」
二人がリーンを見る。
「リーンと一緒にいるの?」
「そうだよ。一緒に各地を回って、森を守るんだよ」
「「…。」」
キースとニーナは顔を見合せ、ルークとリーンを見てくる。
「「もう会えないの?」」
「会えるよ。こっそりと会いに行くから」
「生きていると、ばれない様にしてな」
ルークもそう言って微笑む。
「だから秘密な」
ルークがそう言って二人の頭を撫でてあげると、二人はギュッとルークにしがみついた。
「「…うん。待ってる…」」
とりあえずは、分かってくれただろうか…。
時々と言うよりか、度々会いに行きそうな気がするけれど…。
まあ、二人の側にカズキが居てくれるから、なんとかなるだろう…。
ルークは久しぶりの再会を堪能した。
ほんの少しピンク色に染まった『桜』の蕾は、そろそろ開花を教えてくれる。
マークは各地に連絡を入れ、気候により数日後には咲き始めるだろう事を伝えていた。
誰が最初に来るだろう…。
リーンは屋敷にある、薬草園の手入れを手伝いながら子供達が来るのを待っていた。
屋敷の正門の方から馬車が止まる音がした。
リーンは作業中の手を止めて、屋敷内に入ると、玄関の方からバタバタと足音が響いてきた。
「「リーン!!」」
少し身長が伸びたキースとニーナが廊下を走ってきて、リーンに抱きついてくる。
リーンはよろけながら二人を受け止め、身長がリーンの胸の高さくらいまで伸びた二人を抱き締める。
大きくなったな…。
二人の様子は、こっそりと見ていたが、ココまで身長が高くなっているとは思わなかった。
「元気そうで良かった」
リーンが微笑んで言うと、二人は顔を上げてリーンを見て来て、再びギュッとリーンにしがみつく。
寂しい思いをさせてしまったな…。
リーンは二人の頭を撫でてあげ、部屋の中に入るよう促した。
驚くだろうな…。
リーンに引っ付いたままのキースとニーナと一緒に部屋の中に入ると、二人は急に固まって動かなくなってしまった。
そっと二人を見ると、目を丸くして一点を凝視して見ている。
その視線の先に居るのは、ソファーに寄りかかりながら、書類を広げて読んでいるルーク。
ルークはこちらに気が付き、ニコリと微笑んだ。
「おっ、よく来た。キース、ニーナ」
「「…。」」
二人はリーンにギュッとしがみつき、じっとルークを見ている。
「…少し若返ったから、俺の事が分からない…か…」
ルークは苦笑いしてリーンを見る。
「少しではないよ」
キースとニーナ達が産まれる前の姿なのだから…。
「…お父…様…?」
ニーナがぼそりと呟く。
「おう。ニーナとキースのお父様だ」
ルークはそう言って笑う。
「…お父様…?」
キースもぼそりと呟いて、リーンを見上げる。
「そうだよ。だいぶん若返ったけれど、ニーナとキースのお父様だよ」
リーンもそう言って微笑むと、再びルークの方を向いて、リーンにしがみついていた手を緩めた。
「「お父…様…」」
二人はルークに向かって駆け出し、ソファーに座るルークの両サイドからしがみつく。
ルークは書類をテーブルに置いて、二人の頭を撫でてあげる。
「しばらく会わない間に、また、大きくなったな…」
ルークは嬉しそうに二人を抱き締めていた。
ニーナとキースがルークにしがみつき、二人の気持ちが落ち着くまで、しばらく待っている間にリーンは、テーブルに置いてあった書類をまとめて別の机に置いた。
そこへ二人の付き添いで来たカズキが部屋に入って来て、ルークと二人の様子を見て微笑んだ。
「やっぱり、そうなりましたね」
「ああ。二人には理由と、これからの事を話さないとな」
そう。
ルークは亡くなった事になっているのだから、表だって姿を見せないことを…。
キースとニーナが少し落ち着いて、でも、ルークの側から離れずにソファーに座っているのを微笑みながら見て、温かいミルクを渡した。
二人はホゥと息をつきながらミルクを飲んでいた。
そしてルークが若返ったのは、体内の魔力変動不調のため、特殊な時間を戻す魔法を使って戻ったのだと説明した。
だけどこれは秘密の事なので、誰にも言ってはいけない事。
そしてルークは亡くなった事になっているから、生きている事も秘密なのだと説明した。
二人は首を傾げながら聞く。
「…お父様の事は秘密なの?」
「ああ。秘密だ」
「ずっとココに居るの?」
「リーンと一緒にいる」
二人がリーンを見る。
「リーンと一緒にいるの?」
「そうだよ。一緒に各地を回って、森を守るんだよ」
「「…。」」
キースとニーナは顔を見合せ、ルークとリーンを見てくる。
「「もう会えないの?」」
「会えるよ。こっそりと会いに行くから」
「生きていると、ばれない様にしてな」
ルークもそう言って微笑む。
「だから秘密な」
ルークがそう言って二人の頭を撫でてあげると、二人はギュッとルークにしがみついた。
「「…うん。待ってる…」」
とりあえずは、分かってくれただろうか…。
時々と言うよりか、度々会いに行きそうな気がするけれど…。
まあ、二人の側にカズキが居てくれるから、なんとかなるだろう…。
ルークは久しぶりの再会を堪能した。
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