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二人の旅の始まり
ジーンとタミネキ村
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ジーンの元に、一枚の手紙が届いた。
『桜が咲く頃、ヤマツカの屋敷にて』
ソレだけが書かれていた。
ヤマツカの屋敷は、お父様が居なくなって、ジーンが譲り受けた屋敷だ。
ほとんど使うことはないが、弟妹が来たときや、親族の従兄弟達が来たときなどに使われ、リーンと顔馴染みのマークさんが屋敷を管理してくれている。
そう言えば、もうすぐ『桜』が咲く頃だ。
もしかして、リーンが呼んでいるのだろうか。
『ヤマツカの屋敷にて』と、言うことは、たぶんそうなのだろう…。
ジーンはしばらく手紙を眺めて考えた。
そうしてハッと気が付く。
リーンがお父様と一緒にヤマツカの屋敷に来るのか?!
リーンと共に姿を消して、亡くなった事になっているお父様は、表だって歩くわけには行かない…。
『桜が咲く頃』
ヤマツカの屋敷に行けば、会えるかも知れないと言うことなのか?!
ジーンはその手紙をロキの元に持っていき、ジーンの仮説の話をすると、ロキは微笑んで言った。
「その通りだと思うぞ。休みを申請しておけよ」
ジーンは慌てて、この神殿を取り仕切るアミューレ様のもとへ駆け込んで行った。
まだ『桜』は咲いていないのに…。
ジーンは子育てと、神官としての仕事を掛け持ち、日々忙しく過ごしている。
三才になるシロエの魔力が少し安定してきて、今はほとんど獣人の姿で暮らしている。
白い狼獣人は珍しく、シロエを神殿に連れていくと、『世界樹』の参拝に来た者達から、『運が良い』と崇められ、この神殿の御子のようになっている。
『世界樹』の元に現れる白狼の物語を、シロエに置き換えて見ているためだ。
良いのか悪いのか…悩むところだ。
シロエが産まれてから、タミネキ村には獣人族と人族の間に子供が産まれた者達、獣人族と人族が番となって、一緒に暮らしていた人達が、移住して集まって来ていた。
村の山側にある、療養所のスバルさんの家周辺に新しく家を建て、獣人達は神殿の警備、護衛の仕事につき、一緒に暮らす人族は村の宿や食事処の仕事をしている。
スバルさんはロキの弟、獣人のロイと一緒に暮らしていて、庭で薬草を育て、村の薬師のような仕事をしている。
獣人族の移住者は、同族が近くにいる方が安心できるからかも知れない。
タミネキ村の人口は、人族も獣人族も増えてきて、同時に獣人族の子供も産まれていた。
なので神殿の片隅に、学校を作った。
ロキさんにお願いして、狼獣人の里にいる方に、子獣人の育て方を教えてもらうためだ…。
人族が獣人族の子供を育てるのは、自分自身が戸惑いばかりだったので、子供を連れてきて遊ばせたり、育児相談が出きる場、子供達が遊びながら勉強が出きる場所として、開放した。
シロエに友達を作ってあげたかったのもあるし、一緒に遊びながら団体行動や勉強をする、と言うことを覚えてもらいたかった。
僕と同じで不安だった人達が、神殿の学校に来て、同じ様に悩んでいる仲間がたくさんいることを知って、相談しながら子育てをしている。
神殿の警備をしてくれている方の奥さんがほとんどだけど…。
タミネキ村はお父様達が作ったリオナスみたいに、獣人と人族が仲良く暮らせる村に…もしかしたら町になるかもしれないけれど、これからどんどんと、変わっていくと良いな…。
タミネキ村が第二の故郷となったジーンは、未来の村の想像をして、そう思った。
『桜が咲く頃、ヤマツカの屋敷にて』
ソレだけが書かれていた。
ヤマツカの屋敷は、お父様が居なくなって、ジーンが譲り受けた屋敷だ。
ほとんど使うことはないが、弟妹が来たときや、親族の従兄弟達が来たときなどに使われ、リーンと顔馴染みのマークさんが屋敷を管理してくれている。
そう言えば、もうすぐ『桜』が咲く頃だ。
もしかして、リーンが呼んでいるのだろうか。
『ヤマツカの屋敷にて』と、言うことは、たぶんそうなのだろう…。
ジーンはしばらく手紙を眺めて考えた。
そうしてハッと気が付く。
リーンがお父様と一緒にヤマツカの屋敷に来るのか?!
リーンと共に姿を消して、亡くなった事になっているお父様は、表だって歩くわけには行かない…。
『桜が咲く頃』
ヤマツカの屋敷に行けば、会えるかも知れないと言うことなのか?!
ジーンはその手紙をロキの元に持っていき、ジーンの仮説の話をすると、ロキは微笑んで言った。
「その通りだと思うぞ。休みを申請しておけよ」
ジーンは慌てて、この神殿を取り仕切るアミューレ様のもとへ駆け込んで行った。
まだ『桜』は咲いていないのに…。
ジーンは子育てと、神官としての仕事を掛け持ち、日々忙しく過ごしている。
三才になるシロエの魔力が少し安定してきて、今はほとんど獣人の姿で暮らしている。
白い狼獣人は珍しく、シロエを神殿に連れていくと、『世界樹』の参拝に来た者達から、『運が良い』と崇められ、この神殿の御子のようになっている。
『世界樹』の元に現れる白狼の物語を、シロエに置き換えて見ているためだ。
良いのか悪いのか…悩むところだ。
シロエが産まれてから、タミネキ村には獣人族と人族の間に子供が産まれた者達、獣人族と人族が番となって、一緒に暮らしていた人達が、移住して集まって来ていた。
村の山側にある、療養所のスバルさんの家周辺に新しく家を建て、獣人達は神殿の警備、護衛の仕事につき、一緒に暮らす人族は村の宿や食事処の仕事をしている。
スバルさんはロキの弟、獣人のロイと一緒に暮らしていて、庭で薬草を育て、村の薬師のような仕事をしている。
獣人族の移住者は、同族が近くにいる方が安心できるからかも知れない。
タミネキ村の人口は、人族も獣人族も増えてきて、同時に獣人族の子供も産まれていた。
なので神殿の片隅に、学校を作った。
ロキさんにお願いして、狼獣人の里にいる方に、子獣人の育て方を教えてもらうためだ…。
人族が獣人族の子供を育てるのは、自分自身が戸惑いばかりだったので、子供を連れてきて遊ばせたり、育児相談が出きる場、子供達が遊びながら勉強が出きる場所として、開放した。
シロエに友達を作ってあげたかったのもあるし、一緒に遊びながら団体行動や勉強をする、と言うことを覚えてもらいたかった。
僕と同じで不安だった人達が、神殿の学校に来て、同じ様に悩んでいる仲間がたくさんいることを知って、相談しながら子育てをしている。
神殿の警備をしてくれている方の奥さんがほとんどだけど…。
タミネキ村はお父様達が作ったリオナスみたいに、獣人と人族が仲良く暮らせる村に…もしかしたら町になるかもしれないけれど、これからどんどんと、変わっていくと良いな…。
タミネキ村が第二の故郷となったジーンは、未来の村の想像をして、そう思った。
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