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二人の旅の始まり
孫達
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リーンとルークは三日間、家にこもって貪りあい、そのあと数日『森の聖域』とクルーラで木霊達とのんびり過ごし、無事に目覚めた報告をしに各地に向かった。
獣人の街グオルクに行って、ヒイロとチイに報告し、念願のユーリとキリトの子供達に会いに行った。
ルークが眠る前、ユーリのお腹にいた子供は人族のリシト。
ユーリと同じ黒髪の、キリトと同じ金色の瞳、三才になるリシトは恥ずかしがりやで、キリトの足に隠れてなかなか顔を見せてくれなかった。
なれるまでに少し時間がかかるだろう…。
そしてもう一人、産まれたばかりの獣人族のユリトはユーリの腕の中で眠っていた。
キリトと同じ灰色がかった黒髪の間から、小さな耳がピクピクと動いて可愛い…。
リーンは眠るユリトを抱っこして、ムニムニと動く口元を見て微笑んだ。
「…可愛い…」
リーンが無意識に呟くと、隣からルークが覗き込んで、言う。
「もう一人、作るか?」
リーンが驚いてルークを振り向いて見ると、ルークはニヤリと笑って言う。
「『魔女の宴』を利用すれば、出来るみたいだしな」
そう、最初のジーンとユーリが出来たときも、三つ子のミーナとニーナとキースが出来たときも、『魔女の宴』の時だった。
絶対とは言えないが、宿す確率は高い。
『魔女の宴』では、魔女達が子供が宿るように、魔法陣を発動させ、発情期に似た行為に及ぶのだ。
「…考えておく…」
リーンはそう答えて、頬を染めた。
そんな様子をユーリとキリトは苦笑いして眺めていた。
その日は一晩、ユーリ達の家に泊まった。
皆で談話室で話をしていると、キリトの胡座の上に座っていたユリトが急に立ち上がり、ちょこちょこと歩いてルークの元に行き、ルークの胡座の上にちょこんと座った。
「「「おーっ」」」
ユリトの行動に思わず声が出てしまった。
恥ずかしがっていたユリトが、やっと慣れてくれたようだ。
そして時々、ルークに寄りかかって見上げ、ニヘラっと笑うのが可愛くて、ルークと二人で悶絶し、目尻を下げてユリトの頭を撫で回した。
孫って良いな…。
子供達も可愛いかったが、その子供達となると、また、別の可愛らしさがある。
ジーンの所も、大きくなってるだろうな…。
こっそりと覗いていたが、実際には会っていない…。
早く抱き締めてみたい…。
「…そう言えば、ヤマツカ町の屋敷の『桜』が、そろそろ咲く時期だったはずたが…今年は見れるか?」
キリトにそう言われて気が付いた。
「もう、そんな季節か…」
リーンは思い出していた。
初めて見た『桜』の淡いピンク色の美しさ。
咲いている時期は短く、ヒラヒラと舞い落ちる花びらがとても綺麗だった。
『桜』の木霊モモが、もうすぐ目覚める時期…。
「…せっかくだから、皆で集まらないか」
ルークはユリトの頬をぷにぷにとつつきながら言った。
「マークに連絡して、桜が咲く頃、ヤマツカの屋敷で花見をしようか」
「そうだね。全員は無理でも、ルークが秘密裏に生きていることを知らせるには、各地を回るより確実だね」
下手に顔を見られて、ルークが若返って生きていることが分かれば、色々と問題が起こるような気がする…。
リーンがリシトを抱えるユーリを見ると、ユーリはニコニコと笑って言う。
「もちろん行くわよ。『桜』が咲く頃をマークさんに予測してもらって、ソレまでに、片付けないといけない仕事を終わらせるわ」
キリトも頷いて、部屋を出ていく。
今後の段取りを確認しに行ったんだろう。
リーンはルークと顔を見合せ、微笑んだ。
「『桜』が咲く頃、お花見だね」
「ああ、楽しみだ」
獣人の街グオルクに行って、ヒイロとチイに報告し、念願のユーリとキリトの子供達に会いに行った。
ルークが眠る前、ユーリのお腹にいた子供は人族のリシト。
ユーリと同じ黒髪の、キリトと同じ金色の瞳、三才になるリシトは恥ずかしがりやで、キリトの足に隠れてなかなか顔を見せてくれなかった。
なれるまでに少し時間がかかるだろう…。
そしてもう一人、産まれたばかりの獣人族のユリトはユーリの腕の中で眠っていた。
キリトと同じ灰色がかった黒髪の間から、小さな耳がピクピクと動いて可愛い…。
リーンは眠るユリトを抱っこして、ムニムニと動く口元を見て微笑んだ。
「…可愛い…」
リーンが無意識に呟くと、隣からルークが覗き込んで、言う。
「もう一人、作るか?」
リーンが驚いてルークを振り向いて見ると、ルークはニヤリと笑って言う。
「『魔女の宴』を利用すれば、出来るみたいだしな」
そう、最初のジーンとユーリが出来たときも、三つ子のミーナとニーナとキースが出来たときも、『魔女の宴』の時だった。
絶対とは言えないが、宿す確率は高い。
『魔女の宴』では、魔女達が子供が宿るように、魔法陣を発動させ、発情期に似た行為に及ぶのだ。
「…考えておく…」
リーンはそう答えて、頬を染めた。
そんな様子をユーリとキリトは苦笑いして眺めていた。
その日は一晩、ユーリ達の家に泊まった。
皆で談話室で話をしていると、キリトの胡座の上に座っていたユリトが急に立ち上がり、ちょこちょこと歩いてルークの元に行き、ルークの胡座の上にちょこんと座った。
「「「おーっ」」」
ユリトの行動に思わず声が出てしまった。
恥ずかしがっていたユリトが、やっと慣れてくれたようだ。
そして時々、ルークに寄りかかって見上げ、ニヘラっと笑うのが可愛くて、ルークと二人で悶絶し、目尻を下げてユリトの頭を撫で回した。
孫って良いな…。
子供達も可愛いかったが、その子供達となると、また、別の可愛らしさがある。
ジーンの所も、大きくなってるだろうな…。
こっそりと覗いていたが、実際には会っていない…。
早く抱き締めてみたい…。
「…そう言えば、ヤマツカ町の屋敷の『桜』が、そろそろ咲く時期だったはずたが…今年は見れるか?」
キリトにそう言われて気が付いた。
「もう、そんな季節か…」
リーンは思い出していた。
初めて見た『桜』の淡いピンク色の美しさ。
咲いている時期は短く、ヒラヒラと舞い落ちる花びらがとても綺麗だった。
『桜』の木霊モモが、もうすぐ目覚める時期…。
「…せっかくだから、皆で集まらないか」
ルークはユリトの頬をぷにぷにとつつきながら言った。
「マークに連絡して、桜が咲く頃、ヤマツカの屋敷で花見をしようか」
「そうだね。全員は無理でも、ルークが秘密裏に生きていることを知らせるには、各地を回るより確実だね」
下手に顔を見られて、ルークが若返って生きていることが分かれば、色々と問題が起こるような気がする…。
リーンがリシトを抱えるユーリを見ると、ユーリはニコニコと笑って言う。
「もちろん行くわよ。『桜』が咲く頃をマークさんに予測してもらって、ソレまでに、片付けないといけない仕事を終わらせるわ」
キリトも頷いて、部屋を出ていく。
今後の段取りを確認しに行ったんだろう。
リーンはルークと顔を見合せ、微笑んだ。
「『桜』が咲く頃、お花見だね」
「ああ、楽しみだ」
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