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二人の旅の始まり
ルークの状態確認
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リーンがルークと一緒に、リビングに向かうと、ヒナキがソファーに座って待っていた。
ルークは、用意されていた食事を食べるため、ヒナキからの、身体の状態確認を受けた。
リーンとルークが椅子に座ると、最初にルークに差し出された食事はスープ。
身体が眠ったままだったので、胃の状態も活動停止していて、受け付けないかも知れないからだ。
ルークは細かく刻んだ野菜スープを食べた。
「どう?重たく感じない?」
「大丈夫みたいだ。呼び水になって、余計にお腹が空いてきた」
ルークはそう言うと、ヒナキはサラダを差し出してくる。
「次はこれ」
それをルークは食して『足りない』と、ぼやく。
リーンとヒナキは顔を見合せ苦笑いして、ヒナキは普通に食事を取るように言った。
ただし慌てず、ゆっくりと食べるように。と、ヒナキに念を押されて…。
ルークはここぞとばかりにテーブルに並べられているパンや野菜炒め、煮物を黙々と食べはじめる。
リーンも隣で一緒に食事をしながら、『世界樹』の中で、ルークが眠っていた時、どんな感じだったかを聞いた。
ルークは、しばらくは夢を見ていて、気か付いたら突然、新緑の木々の葉がお生い茂る緑の中にいて、木霊のユグが姿を表し、リーンと出会った頃の話をしては、眠って、を繰り返していたそうだ。
リーンが『世界樹』の中で眠った時と、同じ場所なのだろう…。
そして、ユグに『そろそろ時間だ』と、言われて、身体が重くなり意識を失って、気が付いたら、リーンと一緒にベッドで眠っていたそうだ。
記憶は失くしていないらしく、『世界樹』に眠る前までの事をしっかりと覚えていた。
「ユグにお礼を言わないと…」
頑張って、ルークの記憶を失くさないようにしてくれた。
身体の時間だけ戻って、記憶をそのまま残す…。
リーンの場合は、何度も『世界樹』の中で時間を戻っているので、造作もないことだが、ルークの身体は始めてだし、それまでの記録も無い。
ルークの記憶を便りに、ゆっくりと時間を戻っていくしかないのだ…。
「ヒナキからも、ユグの事を誉めてあげて。きっと喜ぶから」
リーンはそう言って微笑んだ。
ユグはヒナキに誉められる方が嬉しいだろう。
『よくやった!』『スゴいぞ!』と、ヒナキに言ってもらえれば、デレデレになって、ユグはまた成長するだろう。
誉められて育つタイプ…だよね…。
ヒナキは苦笑いしながら頷いた。
「身体の違和感はない?」
リーンがルークに聞くと、飲み物を飲んで返事した。
「ああ。特には…」
「しばらくは、様子見だね。…それにしても若返ったね」
ヒナキはルークを見て言う。
そうだ。
ヒナキは以前、私が『世界樹』に眠るとき、一緒に来たルークしか見ていないから、そう思うのかも知れない。
今の姿は、あの頃より十年以上前のルークの姿だもんな…。
リーンはチラリとルークを見て、頬を染めた。
確かあの頃、ルークの事を特別に好きだと自覚した頃だ…。
リーンは思い出して、あの時のように何故かドキドキしてしまう…。
「少し身体を動かして、違和感がなければ、大丈夫だと思うけれど、無理はしないでね」
「ああ。しばらく身体が慣れるまで、大人しくしている」
ルークはそう言って微笑んだ。
が、ヒナキが帰ると同時にリーンの身体を抱き上げ、寝室へと運んで行った。
ルークは、用意されていた食事を食べるため、ヒナキからの、身体の状態確認を受けた。
リーンとルークが椅子に座ると、最初にルークに差し出された食事はスープ。
身体が眠ったままだったので、胃の状態も活動停止していて、受け付けないかも知れないからだ。
ルークは細かく刻んだ野菜スープを食べた。
「どう?重たく感じない?」
「大丈夫みたいだ。呼び水になって、余計にお腹が空いてきた」
ルークはそう言うと、ヒナキはサラダを差し出してくる。
「次はこれ」
それをルークは食して『足りない』と、ぼやく。
リーンとヒナキは顔を見合せ苦笑いして、ヒナキは普通に食事を取るように言った。
ただし慌てず、ゆっくりと食べるように。と、ヒナキに念を押されて…。
ルークはここぞとばかりにテーブルに並べられているパンや野菜炒め、煮物を黙々と食べはじめる。
リーンも隣で一緒に食事をしながら、『世界樹』の中で、ルークが眠っていた時、どんな感じだったかを聞いた。
ルークは、しばらくは夢を見ていて、気か付いたら突然、新緑の木々の葉がお生い茂る緑の中にいて、木霊のユグが姿を表し、リーンと出会った頃の話をしては、眠って、を繰り返していたそうだ。
リーンが『世界樹』の中で眠った時と、同じ場所なのだろう…。
そして、ユグに『そろそろ時間だ』と、言われて、身体が重くなり意識を失って、気が付いたら、リーンと一緒にベッドで眠っていたそうだ。
記憶は失くしていないらしく、『世界樹』に眠る前までの事をしっかりと覚えていた。
「ユグにお礼を言わないと…」
頑張って、ルークの記憶を失くさないようにしてくれた。
身体の時間だけ戻って、記憶をそのまま残す…。
リーンの場合は、何度も『世界樹』の中で時間を戻っているので、造作もないことだが、ルークの身体は始めてだし、それまでの記録も無い。
ルークの記憶を便りに、ゆっくりと時間を戻っていくしかないのだ…。
「ヒナキからも、ユグの事を誉めてあげて。きっと喜ぶから」
リーンはそう言って微笑んだ。
ユグはヒナキに誉められる方が嬉しいだろう。
『よくやった!』『スゴいぞ!』と、ヒナキに言ってもらえれば、デレデレになって、ユグはまた成長するだろう。
誉められて育つタイプ…だよね…。
ヒナキは苦笑いしながら頷いた。
「身体の違和感はない?」
リーンがルークに聞くと、飲み物を飲んで返事した。
「ああ。特には…」
「しばらくは、様子見だね。…それにしても若返ったね」
ヒナキはルークを見て言う。
そうだ。
ヒナキは以前、私が『世界樹』に眠るとき、一緒に来たルークしか見ていないから、そう思うのかも知れない。
今の姿は、あの頃より十年以上前のルークの姿だもんな…。
リーンはチラリとルークを見て、頬を染めた。
確かあの頃、ルークの事を特別に好きだと自覚した頃だ…。
リーンは思い出して、あの時のように何故かドキドキしてしまう…。
「少し身体を動かして、違和感がなければ、大丈夫だと思うけれど、無理はしないでね」
「ああ。しばらく身体が慣れるまで、大人しくしている」
ルークはそう言って微笑んだ。
が、ヒナキが帰ると同時にリーンの身体を抱き上げ、寝室へと運んで行った。
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