神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

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流れ行く時間の中で…。

見守るリーン 6 魔女の森

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 カザナから山を一つ越え、獣道を登っていけば、『魔女の森』へ入る、裏側の入り口へとたどり着く。
 ココはほとんど人が入らず、人族からは『魔の森』とも呼ばれているが、実際は魔女王の結界があるため、方向が分からず山をさ迷うため、『迷いの森』とも呼ばれている。と、言うことを、ルークと出会ってから知った。
 『魔女の森』への入り口が、どこに有るかさえ知ってしまえば、普通の森と変わらない。
 よっぽどの用事がないと行きたいとは思わないし、誰かを連れていこうとも思わない。
 誰かを連れて入るのは、『魔女の森』の正面からになるし、満月の日でないと表からは入れない。
 しかも満月は『魔女の宴』があるので、余計に行きたくはない。
 けれど裏口は、魔女王の結界を抜けることが出来れば、簡単に入れるのだ。
 リーンは見知った森の中を歩き、『魔女の森』へと入って行った。

 
 『魔女の森』の裏口は、魔女王によって、幻覚の迷宮と化していて、知らずに入れば出ることが出来ないだろう。
 リーンは魔女王が幻覚を作り出すより早く、先を見る。と、言うより先を読む。
 リーンにとっては、魔女王ソフィアとのゲームのようなものだ。
 ソフィアは侵入者を撃退するのが仕事だし、リーンもその例外にはならない。
 外界と『魔女の森』の境目に有る、魔女王の結界を抜ければ、普通の森が広がり、いつも出てくる場所は、山の斜面に有る果樹園だ。
 ソコから瞬脚移動で山を降り、魔女王のお城の側面に出ると、ソコには白獣のユキの墓標が立てられている。
 リーンは墓標の前で足を止め、目を閉じ、祈りを捧げた。
 ほんの一時だが一緒に行動を共にしていた、綺麗な白獣…私の血を舐めて、私の魔力が多すぎて、獣人化してしまった人が眠っている…。
 懐かしく思いながら立たずんで居ると、ふと気配を感じ、振り向くと、少し身長が伸びたミーナが、お城の中から走って近付いて来た。
「ミーナ」
「リーン!」
 ミーナはリーンの腕の中に飛び込んでくると、ギュッとリーンを抱き締めた。
 知らない人達の中で暮らし始め、心細いだろうが、これはミーナの魔力を制御するためだと、自分に言い聞かせ、ソフィアの元に送り出したのは、いつだったか…。
 リーンはミーナの頭を撫でてあげると、ミーナは嬉しそうにヘヘッと笑った。
 そこへ金髪碧眼の魔女王ソフィアが、楽しそうに近付いてくる。
「ふふ。久しぶりの親子の再会って感じね」
「当たり前だろ」
 リーンはそう言ってミーナを抱き締めると、ミーナは嬉しそうに笑い、ソフィアはクスクスと笑う。
「いろいろと、話が有るのよね。中で話しましょう」
 ソフィアはそう言って、お城の中へと戻っていく。
 リーンとミーナは顔を見合せ微笑むと、手をつないでソフィアの後を追った。


 
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