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流れ行く時間の中で…。
見守るリーン 1 カザナ
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ルークが『世界樹』の中に眠りについて、『森の聖域』から各地に出掛けるようになった。
今までは、気になる町に行ったり、違う森の中で過ごしたりしていたが、こまめに『森の聖域』に帰るようになった。
『世界樹』に魔力を送り、ルークが深い眠りにつかないように、記憶を失くさないように、私の存在を思い出してもらうためだ。
本来の私の拠点は『森の聖域』だから、当たり前の事なのだが…。
少し気持ちに余裕が出来て、獣人の街グオルクに立ち寄り、ヒイロとチイから、ユーリとキリトの子供が産まれたのを教えてもらった。
最後に見た時は、まだ産まれてはいなかった。
会いに行きたいが、私一人で行くのは寂しかったので、遠くから、子供を抱き上げて笑っているユーリの幸せそうな様子を見て、我慢した。
会いに行くときは、ルークと一緒に…。
そう思ったからだ。
…けれど、ルークの眠る時間が長くなってしまうようなら、会いに行ってしまうかも…。
そう思いながらも、幸せそうなユーリの横がを見て、その場を後にした。
グオルクのヒイロの執務室から、魔法陣を使ってヒイロの家に行き、ヒイロの家にある自分の部屋から、カザンナ王国のカザナにあるルークのお屋敷に向かった。
お屋敷の奥にある小屋に魔法陣が繋がっているので、様子をうかがいながら、この地の『宿り木』ミーネの元にたどり着く。
「ミーネ」
リーンが呼び掛けると、直ぐに姿を表し、微笑みかけてくれた。
『しばらく会えないと…思ってました』
「ルークが眠りについたからね。…目覚めるまで、じっとしている訳にはいかないし、様子を見ながら移動しているよ」
リーンはミーネに微笑みかける。
「ココは、変わりはない?」
『ええ。それほど混乱もなく』
ルークが王城で、兄王の側で仕事をしながら、カザナでルークにしか判断を出来ない書類も回って来ていた。
ソコまでのカザナの仕事は、側近のジェスが中心となり、カズキが補佐をしておこなっていた。
ルークが統治していたカザナを、今、誰が引き継いでいるのか気になり、リーンが屋敷のある方を見ると、ミーネが言った。
『…喜ばれますよ』
と、言うことは、知った顔だと言うこと…。
もしかしたら、そのままジェスとカズキが業務をこなしているのかも知れない。
「行ってみるよ」
期待と不安を胸に抱えながら、リーンはミーネから離れて、屋敷の方に向かった。
ミーネの側から屋敷までは、誰にも会わず、ココに来ていた訓練生達も居ないようだ。
リーンは正面から入るのをためらって、いつもルークがいた執務室の庭に面した窓から中をそっと覗いた。
部屋の中には、ジェスが頭を抱えながら書類にサインをして、カズキが山積みになった書類を読んで、仕分けしている。
見慣れた光景に思わず笑みが浮かんだ。
中に入ろうかと迷っていると、不意にジェスがこちらを見て、目を丸くして椅子から立ち上がり、リーンのいる窓辺に突進してきた。
「リーンさん!」
その声に反応したカズキもこちらを向いて、目を丸くすると、書類を机の上に置いて窓辺に駆け込んで来た。
「リーンさん!」
「こんにちは」
リーンはそう言って微笑んだ。
変わらぬ二人に微笑みを浮かべて、再会を喜んだ。
今までは、気になる町に行ったり、違う森の中で過ごしたりしていたが、こまめに『森の聖域』に帰るようになった。
『世界樹』に魔力を送り、ルークが深い眠りにつかないように、記憶を失くさないように、私の存在を思い出してもらうためだ。
本来の私の拠点は『森の聖域』だから、当たり前の事なのだが…。
少し気持ちに余裕が出来て、獣人の街グオルクに立ち寄り、ヒイロとチイから、ユーリとキリトの子供が産まれたのを教えてもらった。
最後に見た時は、まだ産まれてはいなかった。
会いに行きたいが、私一人で行くのは寂しかったので、遠くから、子供を抱き上げて笑っているユーリの幸せそうな様子を見て、我慢した。
会いに行くときは、ルークと一緒に…。
そう思ったからだ。
…けれど、ルークの眠る時間が長くなってしまうようなら、会いに行ってしまうかも…。
そう思いながらも、幸せそうなユーリの横がを見て、その場を後にした。
グオルクのヒイロの執務室から、魔法陣を使ってヒイロの家に行き、ヒイロの家にある自分の部屋から、カザンナ王国のカザナにあるルークのお屋敷に向かった。
お屋敷の奥にある小屋に魔法陣が繋がっているので、様子をうかがいながら、この地の『宿り木』ミーネの元にたどり着く。
「ミーネ」
リーンが呼び掛けると、直ぐに姿を表し、微笑みかけてくれた。
『しばらく会えないと…思ってました』
「ルークが眠りについたからね。…目覚めるまで、じっとしている訳にはいかないし、様子を見ながら移動しているよ」
リーンはミーネに微笑みかける。
「ココは、変わりはない?」
『ええ。それほど混乱もなく』
ルークが王城で、兄王の側で仕事をしながら、カザナでルークにしか判断を出来ない書類も回って来ていた。
ソコまでのカザナの仕事は、側近のジェスが中心となり、カズキが補佐をしておこなっていた。
ルークが統治していたカザナを、今、誰が引き継いでいるのか気になり、リーンが屋敷のある方を見ると、ミーネが言った。
『…喜ばれますよ』
と、言うことは、知った顔だと言うこと…。
もしかしたら、そのままジェスとカズキが業務をこなしているのかも知れない。
「行ってみるよ」
期待と不安を胸に抱えながら、リーンはミーネから離れて、屋敷の方に向かった。
ミーネの側から屋敷までは、誰にも会わず、ココに来ていた訓練生達も居ないようだ。
リーンは正面から入るのをためらって、いつもルークがいた執務室の庭に面した窓から中をそっと覗いた。
部屋の中には、ジェスが頭を抱えながら書類にサインをして、カズキが山積みになった書類を読んで、仕分けしている。
見慣れた光景に思わず笑みが浮かんだ。
中に入ろうかと迷っていると、不意にジェスがこちらを見て、目を丸くして椅子から立ち上がり、リーンのいる窓辺に突進してきた。
「リーンさん!」
その声に反応したカズキもこちらを向いて、目を丸くすると、書類を机の上に置いて窓辺に駆け込んで来た。
「リーンさん!」
「こんにちは」
リーンはそう言って微笑んだ。
変わらぬ二人に微笑みを浮かべて、再会を喜んだ。
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