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流れ行く時間の中で…。
深い眠りの中で…。
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ルークは『世界樹』の中で夢を見ていた。
初めは、ジーンが産まれた子供を抱いて、嬉しそうに笑っている夢…。
あれは、ジーンの子供が産まれたと聞いて、ヤマツカ町の屋敷に駆けつけたときだ。
屋敷には転移の魔法陣が置いてあるので、あっという間にたどり着くのだが、仕事が立て込んでいて、なかなかヤマツカ町へ行けなかった。
ジェスに、『顔だけでも一度見て来たら良いですよ』と、言われ、仕事を少し中断出来なければ、いつ孫に会えたか分からない。
初孫が産まれた嬉しさに、仕事中、上の空だったからかも知れないが…。
次に見た夢は、ユーリが心配で、グオルクで仕事をしている様子をこっそり覗きに行って、見つかって怒られた時だ。
キリトには苦笑いされるし、ヒイロには呆れられた。
出世するはずの騎士を止めて、グオルクに行ったのが、大丈夫だろうか…と不安でたまらなかったが、それなりに上手く生活していた。
…子供だと思ってばかりいたが、いつの間にか、大人になっているようだ…。
次に見た夢は、ミーナが魔女王のもとへ行くときだ。
ニーナとキースは泣きじゃくり、リーンに頭を撫でられていた。
別れるのはつらい…。
けれど今の環境では、ミーナの魔力が強すぎて、制御する方法を上手く伝えられない。
魔女王の元に行けば、ミーナの持つ、魔女の魔力を上手く制御出来るようになるだろう…。
ミーナは納得して行くのだ。
止めることは出来ない…。
いつか、ニーナとキースにも、分かる時が来るだろう…。
…過去の記憶をたどる夢だ。
リーンが言っていた、『世界樹』のユグの時間の魔法の中にいるから、身体が戻っていくのと同時に、記憶も戻っているのかも知れない…。
この夢は現実にあったこと…。
決して、忘れない思い出…。
思い出を抱えて、過去に戻っていく…。
時々、暖かい魔力が俺を包む…。
きっとこれは、リーンの魔力だ。
過去に引きずられて、記憶を失くさないように、俺を繋ぎ止めてくれる、暖かな魔力…。
忘れない…。
愛しい人達を…。
ふと気が付けば、ルークは不思議な場所にいた。
新緑の木々に囲まれた、大きな木の枝の上に座っているようだ。
目覚めたわけではないので、ココは夢の中だろう…。
サワサワと葉っぱが擦れる音がして、暖かい風がルークの髪の毛を揺らす。
夢なのに風が吹いている…。
『…やっと…ココに…来た…』
姿は見えないが、聞き覚えのある声がする。
『…ココにいれば…記憶が消えないのは…実証済み…』
「…もしかして…ユグなのか…」
『…そうだよ。貴方に…ヒナキを可愛がる方法を…教えてもらった…』
そう言って、ガサガサと音を立てて、新緑と同じ髪の毛のユグが姿を表し、少し離れた木に場所に座った。
以前ルークは、木霊のユグに人の身体の仕組みを教えてあげた。
ユグが、『ヒナキを気持ち良くしてあげるのには、どうしたら良いの』と、聞いてきたからだ。
俺とリーンが抱き合っているのを覗き見しただけでは、分からなかったらしい…。
ルークは恥ずかしがるリーンの身体を使って、後孔をゆっくりほぐして、中に気持ち良くなる場所があるので、ソコを撫でてあげると良いと教えた。
本来、木霊であるユグには、そういった欲求は無いだろうが、俺たちがしているみたいに、ヒナキに触れて、気持ち良くしてあげたいようだ。
『…ヒナキ、気持ち良すぎて…嫌だって…泣く…』
ルークは頭を押さえた。
「…無茶な事をさせてるわけでは、ないだろうな…」
木霊のユグと種族が違うので、限度が分からないのかも知れない…。
『…でも…とろとろで…気持ち良さそうな…顔をしているんだよ…』
「…。」
何、こんな所で、相談にのっているんだ?
…ユグとヒナキのアレコレを、特に聞きたいわけではない…。
「それよりココはどこなんだ」
『僕の中…意識だけが…起きているんだよ…』
と、言うことは、『世界樹』の中で眠っていて、意識だけが、ユグと話をしていると言うことか。
『…起きているときだけで…良いから…外の世界の話をして…。僕は動けないから…貴方達の暮らしている…世界の事を知りたい…』
「ああ、良いぜ。そうだな…リーンと俺達が出会ったときの事を聞いたか?」
『…知らない』
…俺にしたら懐かしい思い出だ。
「あれは、俺達が馬車で旅をしていた帰り道に、街道沿いに白獣が出たと騒ぎがあって…」
ルークはユグに、リーンと出会ったときの事を話しながら、町の様子を交えて話した。
…そうだな。
本来『世界樹』は、多くの者と接触して、多くの知識を得る。
だが、訪れる者の少ない『森の聖域』では、外の話をしてくれる者は余りいないのだろう…。
それが時間を戻る対価だと思えば良い…。
ルークは時々眠ったり起きたりしながら、いろんな話をユグすると、ユグは興味深く話を聞いていた。
木霊のユグは成長途中だ。
少しずつ興味を持って、意識して、この世界を知っていけば良い…。
初めは、ジーンが産まれた子供を抱いて、嬉しそうに笑っている夢…。
あれは、ジーンの子供が産まれたと聞いて、ヤマツカ町の屋敷に駆けつけたときだ。
屋敷には転移の魔法陣が置いてあるので、あっという間にたどり着くのだが、仕事が立て込んでいて、なかなかヤマツカ町へ行けなかった。
ジェスに、『顔だけでも一度見て来たら良いですよ』と、言われ、仕事を少し中断出来なければ、いつ孫に会えたか分からない。
初孫が産まれた嬉しさに、仕事中、上の空だったからかも知れないが…。
次に見た夢は、ユーリが心配で、グオルクで仕事をしている様子をこっそり覗きに行って、見つかって怒られた時だ。
キリトには苦笑いされるし、ヒイロには呆れられた。
出世するはずの騎士を止めて、グオルクに行ったのが、大丈夫だろうか…と不安でたまらなかったが、それなりに上手く生活していた。
…子供だと思ってばかりいたが、いつの間にか、大人になっているようだ…。
次に見た夢は、ミーナが魔女王のもとへ行くときだ。
ニーナとキースは泣きじゃくり、リーンに頭を撫でられていた。
別れるのはつらい…。
けれど今の環境では、ミーナの魔力が強すぎて、制御する方法を上手く伝えられない。
魔女王の元に行けば、ミーナの持つ、魔女の魔力を上手く制御出来るようになるだろう…。
ミーナは納得して行くのだ。
止めることは出来ない…。
いつか、ニーナとキースにも、分かる時が来るだろう…。
…過去の記憶をたどる夢だ。
リーンが言っていた、『世界樹』のユグの時間の魔法の中にいるから、身体が戻っていくのと同時に、記憶も戻っているのかも知れない…。
この夢は現実にあったこと…。
決して、忘れない思い出…。
思い出を抱えて、過去に戻っていく…。
時々、暖かい魔力が俺を包む…。
きっとこれは、リーンの魔力だ。
過去に引きずられて、記憶を失くさないように、俺を繋ぎ止めてくれる、暖かな魔力…。
忘れない…。
愛しい人達を…。
ふと気が付けば、ルークは不思議な場所にいた。
新緑の木々に囲まれた、大きな木の枝の上に座っているようだ。
目覚めたわけではないので、ココは夢の中だろう…。
サワサワと葉っぱが擦れる音がして、暖かい風がルークの髪の毛を揺らす。
夢なのに風が吹いている…。
『…やっと…ココに…来た…』
姿は見えないが、聞き覚えのある声がする。
『…ココにいれば…記憶が消えないのは…実証済み…』
「…もしかして…ユグなのか…」
『…そうだよ。貴方に…ヒナキを可愛がる方法を…教えてもらった…』
そう言って、ガサガサと音を立てて、新緑と同じ髪の毛のユグが姿を表し、少し離れた木に場所に座った。
以前ルークは、木霊のユグに人の身体の仕組みを教えてあげた。
ユグが、『ヒナキを気持ち良くしてあげるのには、どうしたら良いの』と、聞いてきたからだ。
俺とリーンが抱き合っているのを覗き見しただけでは、分からなかったらしい…。
ルークは恥ずかしがるリーンの身体を使って、後孔をゆっくりほぐして、中に気持ち良くなる場所があるので、ソコを撫でてあげると良いと教えた。
本来、木霊であるユグには、そういった欲求は無いだろうが、俺たちがしているみたいに、ヒナキに触れて、気持ち良くしてあげたいようだ。
『…ヒナキ、気持ち良すぎて…嫌だって…泣く…』
ルークは頭を押さえた。
「…無茶な事をさせてるわけでは、ないだろうな…」
木霊のユグと種族が違うので、限度が分からないのかも知れない…。
『…でも…とろとろで…気持ち良さそうな…顔をしているんだよ…』
「…。」
何、こんな所で、相談にのっているんだ?
…ユグとヒナキのアレコレを、特に聞きたいわけではない…。
「それよりココはどこなんだ」
『僕の中…意識だけが…起きているんだよ…』
と、言うことは、『世界樹』の中で眠っていて、意識だけが、ユグと話をしていると言うことか。
『…起きているときだけで…良いから…外の世界の話をして…。僕は動けないから…貴方達の暮らしている…世界の事を知りたい…』
「ああ、良いぜ。そうだな…リーンと俺達が出会ったときの事を聞いたか?」
『…知らない』
…俺にしたら懐かしい思い出だ。
「あれは、俺達が馬車で旅をしていた帰り道に、街道沿いに白獣が出たと騒ぎがあって…」
ルークはユグに、リーンと出会ったときの事を話しながら、町の様子を交えて話した。
…そうだな。
本来『世界樹』は、多くの者と接触して、多くの知識を得る。
だが、訪れる者の少ない『森の聖域』では、外の話をしてくれる者は余りいないのだろう…。
それが時間を戻る対価だと思えば良い…。
ルークは時々眠ったり起きたりしながら、いろんな話をユグすると、ユグは興味深く話を聞いていた。
木霊のユグは成長途中だ。
少しずつ興味を持って、意識して、この世界を知っていけば良い…。
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