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流れ行く時間の中で…。
深い眠り…。
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数日間、『森の聖域』に滞在し、ルークの魔力が安定してきたので、いよいよ『世界樹』の中に入ることになった。
『世界樹』の大きな木の前には、不安そうに見守る木霊達、土霊達、『クルーラ』の村長ヒナキ、ジュジュ。
ジュジュによれば、ここに来たときよりも、魔力の波長が安定しているので、今が一番安全だと言われたからだ。
皆が見守る中、『世界樹』のユグが姿を表しリーンを見る。
「頑張ってみるよ」
ユグが持つ、時間の魔法に期待するしかない。
「お願い。ユグ」
リーンはそう答えると、少し顔色が良くなったルークの方を見る。
「ルーク。今度は私が待っている」
「ああ、行ってくるよ」
ルークが微笑み、リーンはルークに口付ける。
「行ってらっしゃい」
リーンが微笑むと、ルークの身体はユグに支えられて『世界樹』の中へと引き込まれていく。
ルークとリーンの視線は互いに見合ったまま、ゆっくりとルークは『世界樹』の中に入っていった。
そしてヒナキとジュジュの大きなため息が出て、リーンはハッとする。
「リーン。ここらから中のルークの様子が見えるから…」
ヒナキに言われて『世界樹』の後ろ側へリーンが向かうと、木々の隙間から緑色の水液に浮かぶルークの様子が見えた。
ルークはココにいる…。
「記憶にある、あの頃のルークの姿になるまで、どれくらいかかるか分からないけど…」
リーンはルークの姿をじっと見つめて…。
「ルーク。いつまでも待ってるよ」
ルークの姿が、目の届くところから見えるので、リーンはホッとしていた。
そして自分に言い聞かせるように心の中で念じた。
…ルークはココにいる。
リーンはルークが『世界樹』の中に眠りについてから、しばらくは落ち着き無く暮らしていた。
いくら『世界樹』ユグが認めているとは言え、拒絶反応を見せるかも知れないからだ。
時間があれば『世界樹』の側で本を読み、ルークがココに存在しているのだと、自分の目で確かめていた。
人族には、今の肉体を無くしたときに、生まれ変わると言う言い伝えがある。
ただ、生まれ変わったとき、前の記憶を持っている者は、全くおらず、幼い頃に夢の中で見て、目覚めると忘れていると言うのがほとんどだ。
リーンが出会った者達の中に、そんな話をしてくれた人がいた。
まだ、ルークの命は尽きない。
人族の時間の流れから、飛び出してしまうことになってしまうが、それでもリーンには、いつ、どこに生まれ変わるか分からない、ルークの事を待つことは出来なかった。
自然の摂理に反してしまうが、そこは譲れなかった。
…ルークに出会って、欲張りになったのかも…。
リーンは苦笑いしながら、隙間からルークの姿を見て、きっと自分が眠っているとき、ルークも同じ様に、ココから私を見ていたのだと思うと、照れくさかった。
数日後、『世界樹』の木霊ユグが姿を表し、ルークの身体が拒絶反応を起こさないと確信したリーンは、ヒナキとジュジュにルークの事を頼んで、『森の聖域』の外に出た。
ルークの事で頭が一杯で、森の事を後回しにしていたからだ。
『風霊』が呼んでいる…。
季節外れの雪が森の奥で積雪し、周囲に住む森の民が埋もれそうになっている。…と。
炎の魔法は得意ではないが、グオルクにも炎の魔法を使える者の応援を呼んで、先行してもらっている。
リーンは後続の者達と合流して向かう手筈になっていた。
炎で溶かした雪解け水を、無理無く大地に染み込ませ、または『天水球』を作って水を溜め込むために…。
…ルーク。
私は私の役割を果たすよ。
そしてルークの元に帰ってくるから…。
リーンは急ぎ足で合流地点に向かった。
『世界樹』の大きな木の前には、不安そうに見守る木霊達、土霊達、『クルーラ』の村長ヒナキ、ジュジュ。
ジュジュによれば、ここに来たときよりも、魔力の波長が安定しているので、今が一番安全だと言われたからだ。
皆が見守る中、『世界樹』のユグが姿を表しリーンを見る。
「頑張ってみるよ」
ユグが持つ、時間の魔法に期待するしかない。
「お願い。ユグ」
リーンはそう答えると、少し顔色が良くなったルークの方を見る。
「ルーク。今度は私が待っている」
「ああ、行ってくるよ」
ルークが微笑み、リーンはルークに口付ける。
「行ってらっしゃい」
リーンが微笑むと、ルークの身体はユグに支えられて『世界樹』の中へと引き込まれていく。
ルークとリーンの視線は互いに見合ったまま、ゆっくりとルークは『世界樹』の中に入っていった。
そしてヒナキとジュジュの大きなため息が出て、リーンはハッとする。
「リーン。ここらから中のルークの様子が見えるから…」
ヒナキに言われて『世界樹』の後ろ側へリーンが向かうと、木々の隙間から緑色の水液に浮かぶルークの様子が見えた。
ルークはココにいる…。
「記憶にある、あの頃のルークの姿になるまで、どれくらいかかるか分からないけど…」
リーンはルークの姿をじっと見つめて…。
「ルーク。いつまでも待ってるよ」
ルークの姿が、目の届くところから見えるので、リーンはホッとしていた。
そして自分に言い聞かせるように心の中で念じた。
…ルークはココにいる。
リーンはルークが『世界樹』の中に眠りについてから、しばらくは落ち着き無く暮らしていた。
いくら『世界樹』ユグが認めているとは言え、拒絶反応を見せるかも知れないからだ。
時間があれば『世界樹』の側で本を読み、ルークがココに存在しているのだと、自分の目で確かめていた。
人族には、今の肉体を無くしたときに、生まれ変わると言う言い伝えがある。
ただ、生まれ変わったとき、前の記憶を持っている者は、全くおらず、幼い頃に夢の中で見て、目覚めると忘れていると言うのがほとんどだ。
リーンが出会った者達の中に、そんな話をしてくれた人がいた。
まだ、ルークの命は尽きない。
人族の時間の流れから、飛び出してしまうことになってしまうが、それでもリーンには、いつ、どこに生まれ変わるか分からない、ルークの事を待つことは出来なかった。
自然の摂理に反してしまうが、そこは譲れなかった。
…ルークに出会って、欲張りになったのかも…。
リーンは苦笑いしながら、隙間からルークの姿を見て、きっと自分が眠っているとき、ルークも同じ様に、ココから私を見ていたのだと思うと、照れくさかった。
数日後、『世界樹』の木霊ユグが姿を表し、ルークの身体が拒絶反応を起こさないと確信したリーンは、ヒナキとジュジュにルークの事を頼んで、『森の聖域』の外に出た。
ルークの事で頭が一杯で、森の事を後回しにしていたからだ。
『風霊』が呼んでいる…。
季節外れの雪が森の奥で積雪し、周囲に住む森の民が埋もれそうになっている。…と。
炎の魔法は得意ではないが、グオルクにも炎の魔法を使える者の応援を呼んで、先行してもらっている。
リーンは後続の者達と合流して向かう手筈になっていた。
炎で溶かした雪解け水を、無理無く大地に染み込ませ、または『天水球』を作って水を溜め込むために…。
…ルーク。
私は私の役割を果たすよ。
そしてルークの元に帰ってくるから…。
リーンは急ぎ足で合流地点に向かった。
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