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流れ行く時間の中で…。
憶測
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『森の聖域』に来て、ルークが初めて目を覚まし、ヒナキとジュジュと話した解決策をルークに話した。
確実ではない。
私達の憶測だが…。
そう話すと、ルークは微笑んで言う。
「俺はリーンのモノだ。リーンが後悔しないようにして欲しい」
「…ありがとう…」
このまま何もせず、後悔するよりは、ほんの一滴の可能性を優先する…。
リーンは直ぐに『クルーラ』に向かい、ヒナキとジュジュを交えて、これからの計画をたて始めた。
リーンがヒナキとジュジュと話し合い、大体の流れを確認し、『クルーラ』から戻ってくると、眠るルークのベッドの周囲に木霊達が集まっていた。
この地にいる、ほとんどの木霊達が集まっているのではないかと思うくらい、部屋を埋め尽くしていた。
そしてリーンに気が付き、なにかを訴えるような視線を向けてくる。
一斉にこれだけの木霊達に見られると圧巻だ。
きっと木霊達も、以前、遊んでくれたルークの事が心配なのだろう。
「大丈夫だよ。ヒナキ達と相談して、元気になるよう考えたから…」
リーンはそう言って木霊達に微笑む。
それでも不安そうにこちらを見ている木霊達の頭を一人づつ撫でてあげる。
「大丈夫。時間はかかるかも知れないけれど、元気になるから…」
リーンは木霊達にそう言いながら、自分にも言い聞かせた。
大丈夫、必ず成功させる。
『世界樹』の下で、『世界樹』の木霊ユグは、当たり前のようにヒナキを膝の上に乗せて座り、リーンと対面していた。
ユグはリーン以外を体内に入れて癒したことがないので、不安がっていた。
ユグの時間の魔法は万能ではない。と…。
リーンの時は、意識はそのまま、魔力を持っていた時間に戻しただけで、身体の時間は戻さなかったからだ。
今度は意識を残したまま、魔力だけでなく、身体の時間も戻すのだ。
ルークの魔力の変質が起こる前まで…。
頬を染めながらヒナキは、『ユグなら出来る』と、ユグを鼓舞している。
ユグは、無意識の中でリーンの時間を戻していたみたいなので、意識して身体と魔力の時間を戻すのを怖がっていた。
なのでリーンが時々、『世界樹』に魔力を送り込み、ルークの意識を浮上させて、リーンの存在を意識をしてもらうことによって、『ルーク』という存在を維持し、繋ぎ止めてもらう方が良いと提案してきた。
それで良い。
何もかも初めてすることなのだから、不安要素は無くした方が良い。
ルークの身体が『森の聖域』に馴染み始め、少し安定したところで、『世界樹』の中に入ることになった。
戻る時間は『始まりの宿り木』に向かう前ぐらい…リーンが瀕死の状態になり、ルークが全力で魔力をリーンに注ぎ、リーンを死の淵から取り戻した少し前くらいに…。
あれがルークの体内に異変をもたらす切っ掛けになったのだろうと、今までに有った事をジュジュに話すと、そう推測していた。
…色々有ったもんな…。
それにその時間まで戻ると言うことは、約十年ぐらいは戻ることになる。
三つ子達はまだ産まれておらず、子供達、ジーンとユーリが小等科に通っている頃だ…。
その頃、ルークは人族で言う三十代前半…。
リーンはその頃の姿を思い出して頬を染めた。
一緒に並んで歩くには、見た目の年齢は同じくらいに見えて、良いバランスかも…。
そんな淡い想いをリーンは抱いて、ルークが眠る横顔を見ていた。
ルーク、もう少し待ってて…。
いま、その苦しみから逃れさせてあげるから…。
確実ではない。
私達の憶測だが…。
そう話すと、ルークは微笑んで言う。
「俺はリーンのモノだ。リーンが後悔しないようにして欲しい」
「…ありがとう…」
このまま何もせず、後悔するよりは、ほんの一滴の可能性を優先する…。
リーンは直ぐに『クルーラ』に向かい、ヒナキとジュジュを交えて、これからの計画をたて始めた。
リーンがヒナキとジュジュと話し合い、大体の流れを確認し、『クルーラ』から戻ってくると、眠るルークのベッドの周囲に木霊達が集まっていた。
この地にいる、ほとんどの木霊達が集まっているのではないかと思うくらい、部屋を埋め尽くしていた。
そしてリーンに気が付き、なにかを訴えるような視線を向けてくる。
一斉にこれだけの木霊達に見られると圧巻だ。
きっと木霊達も、以前、遊んでくれたルークの事が心配なのだろう。
「大丈夫だよ。ヒナキ達と相談して、元気になるよう考えたから…」
リーンはそう言って木霊達に微笑む。
それでも不安そうにこちらを見ている木霊達の頭を一人づつ撫でてあげる。
「大丈夫。時間はかかるかも知れないけれど、元気になるから…」
リーンは木霊達にそう言いながら、自分にも言い聞かせた。
大丈夫、必ず成功させる。
『世界樹』の下で、『世界樹』の木霊ユグは、当たり前のようにヒナキを膝の上に乗せて座り、リーンと対面していた。
ユグはリーン以外を体内に入れて癒したことがないので、不安がっていた。
ユグの時間の魔法は万能ではない。と…。
リーンの時は、意識はそのまま、魔力を持っていた時間に戻しただけで、身体の時間は戻さなかったからだ。
今度は意識を残したまま、魔力だけでなく、身体の時間も戻すのだ。
ルークの魔力の変質が起こる前まで…。
頬を染めながらヒナキは、『ユグなら出来る』と、ユグを鼓舞している。
ユグは、無意識の中でリーンの時間を戻していたみたいなので、意識して身体と魔力の時間を戻すのを怖がっていた。
なのでリーンが時々、『世界樹』に魔力を送り込み、ルークの意識を浮上させて、リーンの存在を意識をしてもらうことによって、『ルーク』という存在を維持し、繋ぎ止めてもらう方が良いと提案してきた。
それで良い。
何もかも初めてすることなのだから、不安要素は無くした方が良い。
ルークの身体が『森の聖域』に馴染み始め、少し安定したところで、『世界樹』の中に入ることになった。
戻る時間は『始まりの宿り木』に向かう前ぐらい…リーンが瀕死の状態になり、ルークが全力で魔力をリーンに注ぎ、リーンを死の淵から取り戻した少し前くらいに…。
あれがルークの体内に異変をもたらす切っ掛けになったのだろうと、今までに有った事をジュジュに話すと、そう推測していた。
…色々有ったもんな…。
それにその時間まで戻ると言うことは、約十年ぐらいは戻ることになる。
三つ子達はまだ産まれておらず、子供達、ジーンとユーリが小等科に通っている頃だ…。
その頃、ルークは人族で言う三十代前半…。
リーンはその頃の姿を思い出して頬を染めた。
一緒に並んで歩くには、見た目の年齢は同じくらいに見えて、良いバランスかも…。
そんな淡い想いをリーンは抱いて、ルークが眠る横顔を見ていた。
ルーク、もう少し待ってて…。
いま、その苦しみから逃れさせてあげるから…。
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