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流れ行く時間の中で…。
病魔…。
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ルークは兄、ローレンスが王になり、王城での仕事が中心となった。
王城にも部屋はあるのだが、少しでも子供達の顔を見て癒されたいがために、ルークは王城のルークの部屋に王都のルークの部屋に繋がる魔法陣を繋げた。
側近達には呆れられたが、屋敷からジーンとユーリがいなくなり、ミーナもいなくなって、ニーナとキースが寂しく思っていないかと、言うのと、子供達が大人になって自分から離れていくのが少し寂しかったのもある。
それに、王城より屋敷にいた方が、リーンに会える確率も高くなるのだ。
時々、通信魔法を使ってリーンと話をするが、やはり実物に会える方が嬉しい。
魔法陣を使って王城に通い、兄王の片腕となって各地を走り回り、城内で奔走していた。
異変は突然やって来た。
急に胸が苦しくなり、息がうまく出来なかったのだ。
何が起こったのか分からなかった。
たまたま部屋には誰もおらず、しばらくすると収まったので、ルークは忙しさにその事を忘れていた。
そして忘れた頃に、それは時々ルークを襲った。
疲れがたまってきているのだろうと、回復薬を飲んだり、なるべく休養を取るようにはしていた。
だが、少しづつ、ゆっくりとルークの身体を蝕んでいた。
異変に最初に気が付いたのは側近のアオだった。
「…最近、食欲…無いですよね」
そう言われて気が付いた。
言われてみれば、食欲があまり無く、以前に比べて食事の量も減っていた。
「…ルーク様。治療院に行きましょう」
そう言われてアオに、強制的に王城内の治療院に連れていかれた。
検査結果は疲労、とだけ…。
そこで出された回復薬を飲んでも回復しないことがバレて、さらにアオに怒られた。
「…リーンさんを呼んで…」
「言うな」
ルークは真剣な眼差しでアオに言う。
リーンは森の中を渡り歩き、今はグオルクのユーリの元にいるはず。
やっとキリトが根負けしてユーリを認め、一緒に暮らし始めたと言っていた。
リーンはヒイロからそれを聞いて、お祝いに行っているのだ。
リーンにとって子供達は、短い時間を生きる儚いもの。
心を閉じていたリーンが、喜怒哀楽を知る切っ掛けになった大切な者達だ。
出会った頃より笑うようになり、子供達が産まれてから、さらに感情が表に出るようになった。
そんなリーンの楽しみの時間を奪いたくないからだ。
「…いずれバレますよ」
アオが苦い顔をしてルークに言う。
「…そうだな…」
それに、リーンには、自分が弱っていく姿など見せたくない。
早く回復して、いつものように何食わぬ顔をして、リーンと笑い会おう…。
ルークはそう思っていた。
なのでコッソリと治癒魔法や回復魔法、回復薬などを試し、早く体調が戻るように努力はした。が、一向に回復しなかったのだ。
次第に回復しないまま時間だけが過ぎていき、リーンと通信魔法で話すときも、ひた隠しに元気な声で話していた。
そして身体を動かすのも怠く、王城に行かず、屋敷で書類を読んで、アオに指図をしている様子を黙って見ていたジェスがリーンに伝言すると、リーンは直ぐに王都の屋敷にやって来た。
疲れて眠り、目が覚めたとき、側に真っ青の泣きそうなリーンの顔を見て、しまったと、思った。
そんな顔をさせたくなくて、遠ざけていたのに…。
「…リーン…」
リーンの名前を呼ぶ自分の声が、かすれて弱々しく聞こえる。
こんなにも俺の身体は弱ってしまったのか…。
リーンがハッとして、視線が合う。
「…ルーク…」
リーンの泣きそうな声…。
「…こんな…姿を…見せたくなかった…」
ルークはベッドに横たわりながら、リーンを見上げて苦笑いして言った。
「…一緒に…旅をする…約束…守れなくて…」
「死なせないよ」
リーンがルークの言葉を切るように断言する。
「…ルークの身体、私に頂戴」
ルークは驚いて、そして優しく微笑んだ。
「俺はリーンのモノだ」
リーンは微笑んだ。
出会った時から、俺はリーンの者だ。
今思えば、ひとめぼれをして、手放したく無くて、魔力の番だと言われて嬉しくて、戻って来てくれる場所のひとつになって、子供が産まれて、孫も産まれ、いずれリーンと一緒に旅をするはずだったのだ…。
どこまでも一緒だ…リーン…。
王城にも部屋はあるのだが、少しでも子供達の顔を見て癒されたいがために、ルークは王城のルークの部屋に王都のルークの部屋に繋がる魔法陣を繋げた。
側近達には呆れられたが、屋敷からジーンとユーリがいなくなり、ミーナもいなくなって、ニーナとキースが寂しく思っていないかと、言うのと、子供達が大人になって自分から離れていくのが少し寂しかったのもある。
それに、王城より屋敷にいた方が、リーンに会える確率も高くなるのだ。
時々、通信魔法を使ってリーンと話をするが、やはり実物に会える方が嬉しい。
魔法陣を使って王城に通い、兄王の片腕となって各地を走り回り、城内で奔走していた。
異変は突然やって来た。
急に胸が苦しくなり、息がうまく出来なかったのだ。
何が起こったのか分からなかった。
たまたま部屋には誰もおらず、しばらくすると収まったので、ルークは忙しさにその事を忘れていた。
そして忘れた頃に、それは時々ルークを襲った。
疲れがたまってきているのだろうと、回復薬を飲んだり、なるべく休養を取るようにはしていた。
だが、少しづつ、ゆっくりとルークの身体を蝕んでいた。
異変に最初に気が付いたのは側近のアオだった。
「…最近、食欲…無いですよね」
そう言われて気が付いた。
言われてみれば、食欲があまり無く、以前に比べて食事の量も減っていた。
「…ルーク様。治療院に行きましょう」
そう言われてアオに、強制的に王城内の治療院に連れていかれた。
検査結果は疲労、とだけ…。
そこで出された回復薬を飲んでも回復しないことがバレて、さらにアオに怒られた。
「…リーンさんを呼んで…」
「言うな」
ルークは真剣な眼差しでアオに言う。
リーンは森の中を渡り歩き、今はグオルクのユーリの元にいるはず。
やっとキリトが根負けしてユーリを認め、一緒に暮らし始めたと言っていた。
リーンはヒイロからそれを聞いて、お祝いに行っているのだ。
リーンにとって子供達は、短い時間を生きる儚いもの。
心を閉じていたリーンが、喜怒哀楽を知る切っ掛けになった大切な者達だ。
出会った頃より笑うようになり、子供達が産まれてから、さらに感情が表に出るようになった。
そんなリーンの楽しみの時間を奪いたくないからだ。
「…いずれバレますよ」
アオが苦い顔をしてルークに言う。
「…そうだな…」
それに、リーンには、自分が弱っていく姿など見せたくない。
早く回復して、いつものように何食わぬ顔をして、リーンと笑い会おう…。
ルークはそう思っていた。
なのでコッソリと治癒魔法や回復魔法、回復薬などを試し、早く体調が戻るように努力はした。が、一向に回復しなかったのだ。
次第に回復しないまま時間だけが過ぎていき、リーンと通信魔法で話すときも、ひた隠しに元気な声で話していた。
そして身体を動かすのも怠く、王城に行かず、屋敷で書類を読んで、アオに指図をしている様子を黙って見ていたジェスがリーンに伝言すると、リーンは直ぐに王都の屋敷にやって来た。
疲れて眠り、目が覚めたとき、側に真っ青の泣きそうなリーンの顔を見て、しまったと、思った。
そんな顔をさせたくなくて、遠ざけていたのに…。
「…リーン…」
リーンの名前を呼ぶ自分の声が、かすれて弱々しく聞こえる。
こんなにも俺の身体は弱ってしまったのか…。
リーンがハッとして、視線が合う。
「…ルーク…」
リーンの泣きそうな声…。
「…こんな…姿を…見せたくなかった…」
ルークはベッドに横たわりながら、リーンを見上げて苦笑いして言った。
「…一緒に…旅をする…約束…守れなくて…」
「死なせないよ」
リーンがルークの言葉を切るように断言する。
「…ルークの身体、私に頂戴」
ルークは驚いて、そして優しく微笑んだ。
「俺はリーンのモノだ」
リーンは微笑んだ。
出会った時から、俺はリーンの者だ。
今思えば、ひとめぼれをして、手放したく無くて、魔力の番だと言われて嬉しくて、戻って来てくれる場所のひとつになって、子供が産まれて、孫も産まれ、いずれリーンと一緒に旅をするはずだったのだ…。
どこまでも一緒だ…リーン…。
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